特集 外国人材採用の選択肢⑤ 好取り組み事例・ビッグワンオート(千葉県木更津市)

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武井 宏樹
特集 外国人材採用の選択肢⑤ 好取り組み事例・ビッグワンオート(千葉県木更津市)

委員会活動でコミュニケーションと自主性を育む 教育・福利厚生を充実させ誰もが働きやすい工場を実現

 社内制度の再構築を図った際に従業員の離職を経験してしまったという同社。そこからの再起のきっかけとなったのは外国人人材の採用だった。今では9人の外国人技術者が活躍しており、一番就労期間が長い技術者はすでに11年の大ベテランだ。多くの技術者の長期定着を実現している同社の社内体制に採用のヒントを探していく。

 同社は1967年、鈑金塗装工場からスタート。現在は普通車・大型車整備から車販や保険、レッカーにレンタカーと自動車のトータルサポートを掲げる。スタッフ数は総勢48人。そのうち9人が外国人技術者という高い割合だ。

 「10年以上前に社内制度の改革を機に多くの日本人技術者が離職してしまうことがあった。立ち直れないと思った時、縁あって技人国の人材を自動車専門学校から転籍する形で入社してもらったのが採用のきっかけだった」(大里光夫社長)。
※技人国:技術、人文知識、国際業務に従事するための在留資格

 同社に最初に採用されたのはスリランカ出身のパティラゲ・プラバト・アヌルダ・デワプリヤ氏。同氏はすでに2 級整備士資格を取得しており、日本語も巧みであった。「コミュニケーションの面でも、技術の面でも新卒の日本人専門学生とまったく遜色ないくらい働いてくれた。外国人の技術者とも一緒に働けるんだ、と既存のスタッフに印象付けてくれた」。以来11年同社に勤めている。

 非常に良い出会いで、海外人材採用の好スタートを切れたと当時を振り返る大里社長。その後も採用を続け、技人国はアヌルダ氏が1人、特定技能が2人、そして技能実習生が6人となっている。福利厚生は彼らの入社に併せて、これまでになかった独身手当・住宅手当などを拡充。年収500万円を超える技術者もいるという。

大里社長(後列左端)と同社で活躍する外国人技術者たち。アヌルダ氏(後列左から4人目)は今年で入社11年を迎える

 順調に見える同社も社内での問題がまったくなかったわけではない。「外国人技術者の日本語の習熟度によっては、複雑な意思疎通が難しい場合もあり、社員同士の衝突も少なからずあった。そうした際の両者の意見の吸い上げなど心理的なフォローは欠かさなかった」。

 さらに、同社独自の制度として社内の委員会活動を設けており、社内の技術研修を自主的に企画する教育委員会のほか全部で3つの委員会を設置。整備・鈑金部門、そして国籍を問わず各委員に振り分けてコミュニケーションの機会を活発化。先に挙げたアヌルダ氏をはじめ、各スタッフの長期定着を実現している。

 また、同社は複数の送り出し機関や企業を併用していたこともあり外国人人材の日本語の習熟度にばらつきがあった。そのため日本語教育も改めて社内で実施。さらに、「自身も分教場で指導しているが、業務と並行した語学教育はやはり難しい。アウトソーシングでの対応を検討している」と、先のレポートに登場したチェングロウスの提供する語学及び技能の講習を利用していくという。

 「千葉県の分教場での指導現場で協力関係にあり、当社のフィリピン人材の3級ガソリン自動車整備士の取得も同社カリキュラムで取得した。社内と社外、両方の教育体制を整えていく」。

 今後も外国人人材の採用を検討していく工場に対して、「当社も順風満帆ではなかった。最初から全部うまくいくと思わない方が良い」と本音を語る大里社長。だが、それでも人材に窮しているなら検討するべきだという。

 「現場の人手不足で技術者達に負担をかけているのであれば、そこを整えるのが先決。年々監理団体や送り出し機関、そして企業のサポートは向上している。よく連携を取れば安心して業務を遂行できる」。

 今後も継続的に外国人技術者を採用していくという同社。人手不足を解消した先には、顧客へ充実したサービスが提供できるトータルショップへの道が拓けている。