不適合検出率は減少傾向に
OBD検査の開始から1年が経過し、この10月からは輸入車のOBD検査もスタートした。そのOBD検査の運用状況を確認する第4回目のOBD検査モニタリング会合が9月17日に開催された。
OBD検査の運用状況では5月以降に人気車種が初回車検の時期を迎えたことで、OBD検査の実施台数が増加していること。また、検査の累計で、登録車の台数が軽自動車を初めて抜いた点がトピックスとして挙げられる。今後、輸入車が検査対象車に含まれてくることから、OBD検査の台数はますます増加すると見られる。
OBD検査の実績としては指定工場、持ち込みの検査とも、不適合の検出率は減少傾向を示している。その理由として、スタート当初、不慣れだった検査オペレーションが現場になじんできた点が挙げられる。また、安全系の不適合についても、DTCの未消去が特定DTCの検出要因である可能性が周知されたことで、DTCの消去が促進されたことが、不適合の検出率を低減させたと見られる。しかしながら、登録車の持ち込み検査では依然として10%を超える不適合が検出されており、その要因分析などが求められる。

検査員の異動によるOBD 検査システムのID 登録変更
報告された課題として多店舗展開する指定工場から寄せられた、OBD検査システムに登録したIDに関する報告が議論された。この報告とは「複数拠点を構える整備事業者内にて、ある拠点で選任されていた自動車検査員が別の拠点に異動となった際、利用者管理システム上の利用者情報が適切に修正されなかったため、当該自動車検査員が実施したOBD検査結果が複数拠点に混在するという事例があった」というもの。これに対し、国土交通省、自動車技術総合機構は「利用者情報に変更があった際は、管理している事業者の責任において、速やかな登録変更が必要」であると回答。認証工場以外の人がOBD検査システムにアクセスした場合は「犯罪」との資料を添付し、強調した。これに対し、日本自動車輸入組合(JAIA)から、不正アクセス行為について「ID の取り扱いが正しくなかったり、通達の取り扱い方針に従っていなかった場合、すぐさま罰則に直結するか」との質問が出た。これに対し、国交省は「通達については管理不十分によって他者の不正アクセスを許したりした場合に何らかの指導要因となり得るということで、直ちに不正アクセスと断言されるものではない」と回答する一方、「アクセスの意図や結果を踏まえて判断。場合によってはかなり強い指導をせざるを得なくなる可能性はある」と注意を促した。
国交省は「検査員変更の届出は来年4月からオンライン申請の対象となる予定であり、OBD検査システムで登録情報変更後に国交省にオンラインで変更申請を行うといった運用をセットですることも可能になる」と今後の運用面についても言及した。
多店舗展開を行う整備事業者では、検査員の異動などの際は注意が必要だ。「うっかり」では済まされないケースも出てくるだろう。
■検査システムID等の取り扱いに関する通達
「自動車特定整備事業者及び指定自動車整備事業者におけるOBD 検査システムのID 等の管理に係る遵守事項及び留意事項について」(令和6年3月28日付国自整第267号)
出典:OBD検査モニタリング会合