山本 悟氏
住友ゴム工業
代表取締役社長
1982年に住友ゴム工業(神戸市中央区)に入社、営業本部に配属され、営業畑を歩む一方、マーケティングや商品開発にも携わった。そして、2019年3月、代表取締役社長に就任、以降同社の先頭に立ってかじ取りを担ってきた。
日本を代表するタイヤメーカーである住友ゴム工業。代表取締役社長である山本 悟氏に新商品「シンクロウェザー」について話を聞いた。
新タイヤ、シンクロウェザーについて
2024年7月に発表、10月に発売した新タイヤのシンクロウェザーは、多くのメディア、様々な媒体で紹介いただき大変感謝している。このタイヤは、「アクティブトレッド」という新技術を採用したことで、雨の日はタイヤのゴムが水と反応(水スイッチ)して表面だけ軟らかくなることで、濡れた路面でもしっかりと密着、ウエットブレーキ性能を確保する。続いて、雪道、氷上、シャーベット路面でもゴムが硬くならず、軟らかさを維持(温度スイッチ)することで、凍結路面でも安心して走行できる。
一般的にオールシーズンタイヤは氷上路面を走行できないため、氷上路面を走行できる同製品の性能の高さが分かっていただけると思う。また、ドライ路面を走行しても夏タイヤと同等の静粛性とロングライフを実現しており、1年中このタイヤ1本で完結できる新世代オールシーズンタイヤが誕生した。10月の販売以降、順調に販売数を伸ばしている。
シンクロウェザーのプロモーションについて
プロモーションにはメジャーリーグの大谷翔平選手を起用し、テレビコマーシャルや店頭POPで商品を訴求している。おかげさまで、多くの方々から反響をいただき、発売前から多くの消費者に事前予約をいただいた。私も長くタイヤビジネスに関わっているが、このような経験は初めてだった。
発売にあたり、商品特徴・性能の良さを正しく説明していただくための認定店制度を導入し、年内8千店の計画を大きく上回る1万5千を超える店舗に加盟をいただいた。認定店に対しては、価値に見合った価格設定をご理解いただき、商品についても丁寧に説明させていただいた。
シンクロウェザーを発売するのに一番気を付けた点が、全く新しいタイヤであるがゆえに、間違った商品知識でお客様に販売しないよう販売店に対して講習会で丁寧な説明をさせていただいた。このタイヤを買って本当に良かったと思ってくださる消費者も増えているので、それが何よりもうれしい。
シンクロウェザーの今後について
前述した「水スイッチ」、「温度スイッチ」の機能を進化させるだけでなく、さらに第3、第4のスイッチの開発にも着手している。冬商戦、春商戦に向けて買い替えの時期が来るので、そこに向けて認定店に少しでもお役に立てるように様々な準備をしていきたい。
MSR2025年3月号掲載