特集 外国人材採用の選択肢①

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八木 正純
特集 外国人材採用の選択肢①

 人手不足ははたして自社だけの問題か? 全国的な問題か?データを紐解き、人手不足を解消すべく、外国人採用を考える。

 もはやあたり前となった自動車整備業界の人材不足。とはいえ、実際の状況はどうなっているのだろうか。

 2025年3月に発行された、自動車整備白書(令和6年度版→2024年6月末時点のデータを集計)によると、整備要員(工員)数は全国で計40 万2,025 人(a)、そのうち整備士数は33 万3,047人(b)で、aをbで割った整備士保有率は82.8%となっている。

 整備要員(工員)数こそ、直近の5年間では最も多い数値になっているものの、整備士数、保有割合ともに最も少ない。

 少ない=不足しているとも限らないので、詳しく見ていくと、データ集計の1年前、2024年7月1日時点の整備要員数に対して増加した人数(=入職率)と減少した人数(=離職率)は、専・兼業でそれぞれ6.7%と6.6%と0.1ポイントのプラス。5年前は逆に0.1ポイントのマイナスだっただけに改善はしている。

 同様に入職率と離職率の差を見ていくと、ディーラーは0.9ポイントの入職超過で、同じく5 年前は0.2ポイントの離職超過だったため、こちらも改善した。自家工場のみ1.6ポイントの離職超過となっているが、業界全体ではこの1年間で増加した整備要員は3万8千人、減少した整備要員は3万6千人と、2千人の純増と推計している。

 しかし一方で、「整備要員が不足している」と回答した割合は全体で47.2%。約半数の事業場が人材不足に陥っているということだが、前々年度の調査では「不足している」の回答者が63.1%だっただけに、これでも2年間で15.9ポイントも改善しているのだ。

 この「不足している」の回答者の割合を業態別で見てみると、専・兼業が43.6%で最も低く、次いでディーラーが51.1%、自家が56.3%。これでも、同じく2 年前よりは比率は減少(=改善)しているのだから何とも複雑だ。

 また、何人の不足を補おうとしているのか募集人数を聞いてみると、「1人」がやはり最も多く48.8%、ついで「2人」が30.2%、「3人」が7.5%。まとめると、約半数の事業場が人手不足に陥っていることが分かる。

 さて半数の工場が人手不足を迎えていることが分かった。では、どこに働き手を求めるべきなのか。少子高齢化の折もあって、日本人を欲しても取り合いになることは必至な状況である。

 ならば外国人を! となるのが自明の理だが、実際、国内の整備業界でどれだけの外国人材が働いているのだろうか。ここでは技能実習生、特定技能による在留者に絞って人数を確認する。なお、技能実習は本来、国際貢献に主眼を置いているのであって労働力の当てにするものではないが、事実上は労働力として期待されているため、ここでは便宜上参考とさせていただく。
※なお、こうした建前と実態との乖離を解消すべく、2027年4月1日より、技能実習制度に代わって育成就労制度がスタートする(後述)。

 さて、外国人技能実習機構によれば、2023年度時点(最新発表)での技能実習実施者数は全業種・全国計で67,886人。うち自動車整備は1,198人と実に狭き門だ。全国約92,000工場とすれば、1人の人材を77社で取り合った結果になる(=倍率)。以後も応募人数が変わらないならば、厳しい戦いが予想できる。

 一方、特定技能はというと、出入国在留管理庁の発表によれば、2025 年6月末時点で特定技能1号が全産業総数33万3,123人中、自動車整備分野が3,747人、特定技能2号で総数3,073人中、同73人。技能実習同様に、全認証工場数からみると、前者が約25社、後者に至っては約1,200社で1人の人材を取り合う形となり、技能実習以上に狭き門と言える。

 それもそのはずで、特定技能1号以上になるためには、日本語能力試験(JLPT)のN4等の合格に加えて、技能検定試験3 級や特定技能1号評価試験の合格といったように求められる日本語レベル、知識レベルが相当高く、ここまで挑もうとするには相当の意欲・覚悟を持った人でないと難しいからである。

 逆に言えば、そこまで目指した大事な人材だけに、監理団体(2027年4月以降は監理支援機関)も自分たちの監理する人材を任せるに足る企業なのかどうか、慎重な判断になるのも無理はない。

 だからこそ、こうした監理団体の、受け入れ企業に求める要件に、ばちっとはまればこれほど心強いことはない。すなわち、いかに自社に合う監理団体を見つけられるか、であるのだが、考えてみれば、日本人採用と同じであるとも言える。

 すなわち、売り手市場の現在の就職・転職戦線においては、採用する企業側が求職者を選考するのではなく、求職者側が「この企業は自分が入社するに足る企業なのか」という目線で応募先企業を逆選考していると言われているからであり、ある意味、顧客に選ばれる整備工場になる! と同義でもあろう。

 先ほども触れたが、技能実習制度は廃止され、2027年4月1日より、育成就労制度がスタートする。
技能実習制度が廃止される主な理由としては以下の4つ。

  • 本来の目的:開発途上国への技術移転を通じた国際貢献、人材育成
  • 実態:日本国内の深刻な人手不足を補うための「安価な労働力供給源」として運用されていた
  • 「実習生」という立場:労働者としての権利が制限され、実質的に労働者として扱われながら保護が不充分だった
  • 劣悪な労働環境:低賃金、賃金未払い、長時間労働、ハラスメントなどが横行
  • 転籍の制限:問題があっても企業から抜け出せず、人権侵害を助長した
  • 強制労働の指摘:米国務省の報告書などで「強制労働」、「人身取引」と指摘され、日本の国際的な評価が低下
  • 国際基準との隔たり:人権が守られ、適切な労働環境で働ける制度がグローバルスタンダードとなる中、技能実習制度は時代遅れとなった

 過酷な労働環境や不当な待遇から逃れるため、技能実習生の失踪が過去最多を記録し、制度への不信感が高まった。

 これらの問題を根本的に解決し、外国人材を日本社会に定着させ、育成する仕組みへと転換するため、「育成就労制度」への移行が決定された。

 特定技能含めた、外国人材採用のイメージは下図の通りとなる。詳しくは、厚生労働省のWebサイト、該当ページまで。→厚生労働省 外国人技能実習制度について

出典:厚生労働省(法務省)