長安純氏
パシフィック工業 代表取締役社長
日本フィルターエレメント工業会 理事長も務めており、自動車用フィルターの専業メーカーとして、
オイルやエア、エアコンなどの各種フィルターの重要性を啓蒙。適切な交換サイクルの普及に尽力して
いる。
自動車用フィルターの交換サイクルが長期化する一方で、エンジンの保護や燃費維持、車内の空気環境改善といったフィルター本来の役割の重要性は高まっている。パシフィック工業の長安純社長に、整備事業者がユーザーに提案すべき“適正な交換のあり方” について聞いた。
オイルフィルターを取り巻く現状と、整備事業者が意識すべきことは?
フィルターの交換サイクルは長期化している。実はオイルとフィルターの同時交換こそが適正といえるケースが増えている。エンジンの高温化に伴いエンジンのアルミ化が進んでおり、アルミ製のオイルパンで急冷却されることでスラッジが発生しやすい傾向にあるからである。
また、車検ごとにしかオイル交換をしない場合、2回に1回のフィルター交換ではフィルターの使い過ぎになる恐れがあり、燃費の悪化やレスポンス低下を招き、結果としてカーオーナーの不利益につながってしまう。
車検という一過性の時期だけでなく、最適なタイミングでの都度交換を提案できる引き出しを持つことが、顧客の経済的メリットと信頼に直結するだろう。
エアフィルターやエアコンフィルターについてはどうか?
エアフィルターは、近年ブラックボックス化しており、DPF(微粒子除去装置)により黒煙が出にくくなったため、見た目だけでは汚れが分かりにくくなっている。
しかし実際には、細かなダストが奥に詰まっており、清掃の効果は限定的。当工業会が推計する年間約700万個という交換数は、市場の10分の1に過ぎず、多くの車両が目詰まり状態で走行しているのが現状である。
また、エアコンフィルターについても新車時から活性炭脱臭タイプが標準装備される車が増えている。しかし、交換時に安価なノーマルタイプを提案してしまうことも少なくなく、せっかくの高機能フィルターをグレードダウンさせているケースが見受けられる。
整備事業者のフィルター交換を通じた使命とは?
自動車の進化に伴い、消耗部品の内容や交換時期も変化しており、台当たりの整備単価は減少傾向にあるだろう。オイル、エア、エアコンフィルターの適正な同時交換を推奨することは、整備単価の維持だけでなく、環境変化への対応、そして何よりカーオーナーの安全と満足につながるのではないだろうか。
「適正に換えれば本来の性能が回復する」ということを、チラシなどを活用して分かりやすく判別できるように伝える。こうした地道な啓蒙活動も、これからの整備事業者に求められる役割だと考えている。
