ロービーム検査完全移行へ 最新ヘッドライトテスターはこれだ

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八木 正純
ロービーム検査完全移行へ 最新ヘッドライトテスターはこれだ

輸入車を対象としたOBD検査が始まったのも束の間、年が明けて8月以降は全国でロービーム計測による前照灯検査へと完全移行する。ここでは最新のヘッドライトテスターを紹介する。

2026年8月以降、
前照灯の審査が原則ロービームのみに完全移行

 2015年9月1日以降、ヘッドライトテスタによる前照灯の審査を、ロービーム照射による計測へ段階的に移行してきた。2018年6月1日からは、ロービーム計測の全面施行に向けた取り扱いによる基準適合性審査を実施してきたが、昨年で開始より6 年が経過したことから、その取り扱いを見直し、2024年8月1日以降、1998年9月1日以降に製作された自動車(二輪車、側車付二輪車、大型特殊自動車を除く)を対象として、初回検査時はロービーム計測のみでの基準適合性審査を開始している(ロービーム計測で基準不適合でもハイビーム計測は行わない)。


 さらに光軸検査項目として、カットオフラインの折れ曲がる点である「エルボー点」が追加され、また色味の基準が特に白色であることがより厳しく求められるようになるなど、LEDやHIDバルブに交換している場合は、色が基準(3,000~7,000K 程度)を満たしているか事前に確認する必要が出てきた。


 ただし、周知期間中に様々な意見が噴出したことを受けて、完全移行したのは北海道、東北、北陸信越、中国にとどまっているのが現状だ。残る関東、中部、近畿、四国、九州、沖縄は2 年間の猶予期間が与えられ、2026年7月31日まではこれら地域でも初回はロービーム計測のみだが、再検査でロービームが基準不適合の場合に、ハイビームでの計測を行っている。


 すなわち、現状では地域によって2つの基準が適用されていることになるが、年が明けて半年ほど経てば全国一律でロービーム計測が徹底されることになる。猶予期間はあくまで経過措置であって、まだあと半年は大丈夫ではなくて、1日でも早い新基準への対応が求められる。

ヘッドライトテスター「IM2775」

ランプ正対から測定まで全自動! より多くの台数をこなせるハイエンドモデル!

■ アルティア ≫ https://altia.co.jp

 本体自動走行の画像処理方式ヘッドライトテスター。ロービーム/ハイビームを自動で測定し、新基準で肝となるエルボー点は自動追尾する。車両正対用に新採用のCMOSカメラを搭載しており、スコープ不要で誰でも簡単・正確に車両正対を行うことが可能。ランプの中心点を出すため、視認性の高いグリーンクロスレーザーを搭載している。
 配光表示は拡大可能で、判定結果は適合が緑、不適合は赤にて表示するなど、作業者の効率に配慮した視認性の高さもポイント。もちろん、LEDパルス、HIDと幅広い光源に対応し、ライトの測定範囲(取り付け高さ)は25~120cmでフォグランプにも対応。
 支柱横に工具ボックスを標準装備し、細部にまで使いやすさを追求。オプションとして、前後移動や2輪車のすれ違い灯測定にも対応し、同社の車検システム「Smart-VIS」とも通信連動可能など、機能が充実している。

ヘッドライトテスター「IM2775」

ヘッドライトテスター「HLI-2023(左) / 223(右)」

幅広いヘッドライトに対応し、すばやく正確な測定を実現

■ 安全自動車 ≫ https://www.anzen.co.jp

 進化する画像処理方式で、あらゆるヘッドライトに確実に対応し、すばやく正確な測定が可能なカラー画像処理方式のヘッドライトテスター。通常カットライン、Zビームなど様々なランプの配光パターンを画像処理し、照射方向や光度を瞬時に表示。顧客も納得できる提案型整備を実現する。全自動正対
式の「HLI-2023」と手動正対式の「HLI-223」をラインアップ。
 ランプの色味を簡易判断できる色度表示機能を追加。CIE色度図、JIS色度範囲表が表示可能。また、従来のランプ正対はランプの最も明るい部分からランプ中心を割り出して正対を行ってきたが、同機は測定ロジックを細分化し、代表的なランプ形状(マルチリフレクター、プロジェクター)を瞬時に判断。作業スピード、効率が一段とアップした(HLI-2023)。
 手動式の「HLI-223」は、ランプ正対位置をカメラでモニターに表示することで、測定時でもランプ位置を確認しながら測定可能。

ヘッドライトテスター「HLI-2023(左) / 223(右)」

ヘッドライトテスター「ALT-395 (左)/ 376(右)」

業界最大のモニターと業界初の二輪車に対応

■ イヤサカ ≫ https://www.iyasaka.co.jp

 ユーザーインターフェースデザインに優れたヘッドライトテスターのフラッグシップモデル。ランプ正対を自動で行い、カラーCMOSカメラで配光を画像処理し、すれ違い灯・走行灯の照射方向と光度を自動で測定、合否判定結果を業界最大の21インチワイドモニターに表示する。もちろん、ハロゲン、HID、LED(パルス制御式含む)に対応。大画面を活かして測定及び作業情報エリアをゾーニングして
いる他、操作部もメイン操作は支柱の上部に配置(青色で視認性も高い)するなど、作業の効率化に貢献。業界初、二輪車用すれ違い前照灯測定にも対応。一方、支柱の高さを若干コンパクトに収めた(約200mm 低い)同じく画像処理方式(自動正対式)のテスターが「ALT-376」。21インチモニター装備、
ランプ取り付け高さ25cm(最低高)に対応といった機能はそのままに、支柱の操作スイッチはシンプルにした代わりに、操作部は全面受光部分に集約し操作性を高めた。

ヘッドライトテスター「ALT-395 (左)/ 376(右)」

ヘッドライトテスター「HT-538」

新ヘッドランプ対応で車両正対にも一工夫

■ バンザイ ≫ https://www.banzai.co.jp

 最新ヘッドライトテスターシリーズの最高峰モデル。ランプ正対から測定までを自動で行う。CMOSカメラと独自の画像処理技術(細かい画像解析によりモニター上にZ型マークを表示。カットラインの立ち上がりが急な配光パターンも追従表示)を用いた光度と照射方向の測定が可能なため、最新のLEDランプの測定が可能。
 また、従来のテスターでは測定できない、一部の車両で採用されているパルス点灯式LEDランプにも対応。安定した測定や調整が可能に。車両正対はモニターを見ながら行えるため、従来のスコープ式より作業時間を大幅に削減する。
 測定した結果数値は、指定整備記録簿と同じ表記でモニターに表示できる。数値の転記間違いを防ぐなど、意図しないコンプライス違反を生み出さない。オプションで二輪自動車にも対応する。

ヘッドライトテスター「HT-538」