家族で挑む新店舗の運営
京都府南部に位置する中野鈑金塗装。57年の歴史を持つこの老舗工場から、新たな挑戦が始まっている。2025年10月、中野寛之社長は息子2人とともに新店舗「NAKANO TOTAL CAR SHOP」をオープン。時代に合わせた経営改革を進める。
【工場概要】社長 :中野 寛之 住所 : 京都府京田辺市草内一ノ坪8-1 設立 : 2025年 従業員数 : 7人
伝統から革新へ
NAKANO TOTAL CAR SHOP の敷地内の事務所は内外装ともに木造建築にするなど、洗練された外観は、中野寛之社長が信頼する友人にデザインを依頼した。また、インテリアにもこだわりを持ち、商談スペースには座り心地の良い椅子を、会議室には便利な移動式の机を、と用途に合わせた什器を、実際に販売店へ足を運び選りすぐった。
オープニングイベントは鈑金作業体験やスーパーボールすくいなど、子どもも楽しめる内容とし、地域住民が大勢訪れ、大盛況だったという。「イベントの告知を大々的にしたわけではなかったが約500人が訪れ、駐車場が溢れてしまうほどだった」と新店舗の好調な滑り出しを語る。
スタッフはアルバイトを含め7人体制。保険販売、新車・中古車販売を行い、地域に根付いたサービスを展開している。長男の元稀氏は自動車大学校を卒業後、ディーラーで働いていた経験を活かし、新店舗で専務として勤務。妻や次男も運営を支えており、家族で力を合わせた経営だ。
「昔は中野鈑金という社名だったように車検整備は全部外注だった」と中野社長は振り返る。1993年頃から自社で車検を始め、徐々に業容を拡大。外注だと値段を決められないという課題を解決するため、自社での整備にこだわってきた。結果、昨年の年間入庫台数は車検500~600台で推移、一般整備は約
1,000台。新車、中古車の販売台数は120台にまで増えた。
質を追求する経営へ
「専務が入社してから就業規則を作って……」と中野社長が語るように、息子たちの帰還は会社に大きな変化をもたらした。以前は外注していた業務を自社で行えるように元稀氏が主導となり、本店舗をオープン。また、年間休日を115日プラスαに増やし、有給休暇を充実。さらに就業規則を作り直すなど、働き方改革も積極的に推進した。
あまりの改革ぶりに「自分も最初は腹が立ったけれど」と中野社長は笑う。先代社長であり父親でもある中野勝之氏に長年叩き込まれてきた働き方から、新しい時代に合わせた経営スタイルへの転換は容易ではなかった。しかし、息子との衝突を乗り越え、今では新しい経営方針を受け入れて共に取り組んでいる。
業務効率も改善し、キャッシュレス決済の導入など時代のニーズに合わせたシステム改革も実施。さらにInstagramやWebサイトを活用した集客にも力を入れ、新規顧客の獲得にも成功。実際、インターネット経由での顧客がほとんどを占めている。
台当たりの単価を上げるという方針転換も大きな変化だ。かつては「値段を下げて仕事を取ること」を考えていたが、息子の提案で低単価の仕事を減らし、質の高い仕事にフォーカスする戦略に切り替えた。結果として売上高は増加し、5年後には年商を10億円にするという目標も掲げている。工賃単価も引き上げ、「保険会社にもプレッシャー与えてきた」と業界の適正価格化にも視野を広げる。
家族の絆と地域貢献
「子供たちがいるから幸せ」と語る中野社長。東京で活躍する娘を含め、家族の絆は強い。正月には全員が集まり、カニを食べたりと楽しい時間を過ごした。「仕事をたくさんもらい、この地域で業界一の会社になりたい。そのためにも若いスタッフを採用し、人材不足を解消したい」。
地域に愛され、長い歴史を持つ中野鈑金塗装の新たな挑戦として生まれたNAKANO TOTAL CAR SHOP。親から子へと受け継がれるこの事業は、変わりゆく時代の中で、常に進化し続けている。








