【航続距離300km以上】トヨタ、新型燃料電池路線バス「SORA」発売—いすゞと共同開発、安全機能と使い勝手を強化

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八木 正純
【航続距離300km以上】トヨタ、新型燃料電池路線バス「SORA」発売—いすゞと共同開発、安全機能と使い勝手を強化

10月5日、トヨタ自動車は水素を燃料とする新型燃料電池路線バス「SORA」を発売した。

いすゞ自動車との共同開発による次世代FC路線バスで、FCシステムの性能向上や安全装備の拡充が特徴だ。本記事では、車両の概要、主な機能、主要諸元を順に整理する。

初代から航続距離を約100km延長、300km以上を実現

新型「SORA」は、いすゞが開発したBEVフルフラット路線バスのプラットフォームをベースに、トヨタが開発したFCシステムを組み合わせた構成となっている。

FCと大容量バッテリーを効率よく使い分けることで燃費を向上。2018年に発売した初代「SORA」と比べ、航続距離を約100km延長し、300km以上(トヨタ測定による参考値)を達成した。

商用車向けに改良した小型・高出力・高耐久性のFCスタックを採用し、スムーズで安定した運行を実現。新たに開発した商用車向け大型水素タンクとともに、FCシステムを屋根上にコンパクトに搭載したことで、バス事業者によるメンテナンス作業のしやすさも向上している。

水素の充填時間は約10分(参考値)で、高い車両稼働率が求められる路線バスの運行に対応。また、新しい高速充填規格にも対応しており、対応する水素ステーションが整備された際には充填時間を約半分に短縮できる。

DSMと連動したEDSSを搭載、前方のブラインドスポットも監視

安全機能の面では、DSM(ドライバーステータスモニター)と連動するEDSS(ドライバー異常時対応システム)を装備した。

ドライバーに異常が発生した場合、車両を自動で減速・停車させ、停車後はパーキングブレーキを自動作動させる。坂道でも安全を確保できる仕様だ。

加えて、自車前方の歩行者・自転車を検知してドライバーに通知する「フロントブラインドスポットモニター」を装備し、車外事故の低減にも対応している。

フルフラットフロア採用、4車型をラインアップ

車室内は段差のないフルフラットフロアを採用。車いすやベビーカーを利用する乗客を含む、すべての乗客がより安全・スムーズに移動できる空間設計となっている。

車いすワンタッチ固定装置はオプション設定(2027年4月ごろより受け付け予定)で、車いすユーザーの乗降と運転士による固定作業をサポートする。

ラインアップは座席配置などが異なる都市型と郊外型の計4車型で、多様な路線ニーズに対応。外部給電器の接続により、災害時などの非常用電源としての利用も可能だ。

主要諸元(都市型モデル)

都市型モデルの主な仕様は以下の通り。

  • 全長/全幅/全高:10,545/2,485/3,440mm
  • 定員:70人(座席19+立席50+乗務員1)
  • FCスタック最高出力:113kW(固体高分子形)
  • モーター最高出力:220kW(110kW×2)
  • モーター最大トルク:970N・m(485N・m×2)
  • 高圧水素タンク:3本(公称使用圧力70MPa、タンク内容積471L)
  • 駆動用バッテリー:リチウムイオン電池

トヨタはこれまでグローバルで100社以上の顧客に3,500基を超えるFCシステムを供給(2026年9月末時点)してきた実績を持つ。新型「SORA」の市場投入により、公共交通における水素利活用の推進を継続していく方針だ。