国土交通省が発表!OBD検査対象装置にELKS(緊急時車線維持装置)追加、2035年9月から検査開始

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八木 正純
国土交通省が発表!OBD検査対象装置にELKS(緊急時車線維持装置)追加、2035年9月から検査開始

第6回 OBD検査モニタリング会合が開催

 国土交通省(国交省)及び自動車技術総合機構(機構)は3月9日、第6回OBD検査モニタリング会合をAP新橋(東京都港区)で開催した。同会合ではOBD検査の直近の運用状況が報告されたほか、今後の特定DTC照会アプリのアップデートについての議論、OBD検査対象装置の追加が発表された。

議題1)第5回会合等における宿題事項

 前回、第5回会合で上がった5つの課題・要望について、回答があった。

1.OBD検査/確認モード誤認防止

 OBD検査時にPDF出力される帳票について、検査実施者の氏名も帳簿に記載してほしい。
→指摘を踏まえて、OBD検査時に出力される帳簿に検査実施者の氏名を記載されるよう、今後改修予定(時期は不明)

2.電子保安基準適合証との連携

 OBD検査対象車が、OBD検査未実施の状態でも、保安基準適合証の交付、車検証の更新ができてしまう。未実施のまま交付できないよう、システム側で対策をしていただきたい。
→令和8年度中の連携を予定しており、現在は詳細な仕様について、日整連と調整中。詳細な運用が決まり次第、同会合にて議論・周知する

3.車検証備考欄の記載統一・強調表示

 車検証の備考欄の表記(OBD検査対象)が目立つよう、スミ付きカッコ(【 】)を付ける改修を、2025年度中に行う。
→次に掲げる年月以降に新たに発行される車検証について、備考欄の表記にスミ付きカッコを付ける(OBD検査対象)と券面に表記させる対応を行う
 登録車:2026年4月~ 軽自動車:2026年1月~(対応済み)

4.検査用スキャンツール認定取り消し時の対応策定

 検査用スキャンツールが認定を外れた場合、DTC照会アプリの非認定メッセージ送出に3週間程度かかるため、指定工場がそれに気づかずに検査してしまう可能性もある。リアルタイムに近い形での周知の検討、周知前に検査を実施した場合の行政処分対象外、代替スキャンツール入手までの一定期間の特例措置の検討をお願いしたい。
→検査用スキャンツールが認定を取り消された際の特例措置適用に関する方針案を作成済み(後述)。次回会合までに具体的な通達案の調整を行い、発出予定

5.説明動画の差し替え

 OBD検査ポータルの動画「5 OBD検査の実施」にて、車両情報入力時と検査要否判定時のモードが異なっている。OBD検査とOBD確認のどちらを行っているのか分かりにくいので、動画の修正または注釈を追加してほしい。
→制度施行当初から、これまでのシステム改修によって実際の画面表示と差異が生じているものを含めて、2026年3月末までに修正予定

議題2)OBD検査の運用状況

 2026年1月末時点で、OBD検査の対象型式は1,481型式。前回会合発表時から約100型式が増加。検査対象台数は約604万台(同)で、こちらも前回発表時から約40万台増加した。

 2024年10月から2026年1月末までの累計検査実績は704,082台。前回発表時の約53万台から約20万台が検査を実施したことになる。内訳は指定整備工場で606,271台、機工で46,153台、軽自動車検査協会(軽検協)で51,658台。不適合あり率はそれぞれ、3.2%、6.4%、2.5%、全体合計では3.4%と大きくは変わらず。

出典:国土交通省(第6回OBD検査モニタリング会合資料より、以下同じ)

 2025年5月以降、人気車種が初回車検の時期を迎えたことにより、OBD検査実施台数が大きく増加したと見られ、一方で2025年10月からOBD検査が開始された輸入車は、検査実績が754台と少なく、現時点での分析は難しく、引き続き状況を注視するとした。

 2026年1月一ヵ月の検査実績に占める不適合あり率は2.1%と、累計で見るよりも減少傾向にある。このうち、排出ガス系の不適合は、レディネスコードなし(652台)、通信不成立(599台)となっているが、検査全体に占める割合は1%未満と、より減少傾向にある。

 レディネスコードなしの推定原因としては、DTC消去後にレディネスコードが記録される前に検査を実施したことが考えられる。また、通信不成立の推定原因としては、検査準備のミス(VCIの差し込みが不充分、原動機を始動していない等)、車両情報の誤入力(燃料の種類を誤入力、EV→ガソリン等)が考えられる。

 また、事前にOBD確認を行った認証工場が機構でOBD検査を行う場合に、検査実施から5日以内であれば検査コースでのOBD検査を省略できる措置が講じられたことから、今回から検査省略台数実績も発表。2026年1月一ヵ月で、機構では535台、軽検協で347台と、全体の検査実績に占める割合としては約7%。徐々に増えてきてはいるが、まだ認知度は充分ではないといったところだ。

議題3)報告されている課題

 新たに報告されている課題は全部で5つ。

1.クライアント証明書発行に要する長時間

 OBD検査システムへの登録時にクライアント証明書の発行が必要だが、その発行に時間を要する(申請翌日になる場合あり)。発行されないと、初期設定を進めることができず、作業に時間を要する。
→OBD検査システムへの認証にはクライアント証明方式を採用しているが、2026年8月以降、段階的により簡易な方式であるメール認証に移行する予定

2.車両情報誤入力時のアラート

 車両情報を手入力時に、燃料の種類に誤った情報を入力したことに気づかずにOBD検査を実施→一部検査が実施できない事例があった。明らかに誤入力だと考えられる場合に、照会アプリ上でアラートを出せないか。
→特定DTC照会アプリにおいて、燃料の種類を手入力した際の誤入力を防止するため、2026年8月に、入力内容の誤りが想定される場合に確認メッセージを表示する改修を行う予定

3.過去の実施履歴の誤認識

 OBD検査時、過去のOBD検査実施履歴が表示されるが、「きちんと確認しないと」OBD検査がすでに完了していると誤認識してしまう可能性がある。
→前回の判定結果が「検査要否確認」欄に、現在の判定結果が「実行」欄に表示されるが、これらをご認識する可能性は低いと考えている

4.特定の車両でのOBD検査が完了しない

 特定の車両にOBD検査を実施したところ、検査が完了しない(アイコンがぐるぐる回っている状態から進まない)事象が発生した。その後、検査場に持ち込んでOBD検査を実施したところ、自工場で実施した際と同様に検査が完了せず、適合/不適合の判定が出なかった。
→後付け装置(ステアリングコラム内に取り付けられた、OBDを経由した社外の車速感応式集中ドアロックシステム)が影響していた可能性が判明した(当該装置取り外し後は正常に検査が完了した)。カーメーカーが想定していない後付け装置の取り付けにより通信に異常をきたし、正常にOBD検査が実施できない可能性があることから、車両の通信に影響しうる社外品の後付け装置が取り付けられている場合は、当該装置を取り外した上で、OBD検査を実施すること

5.コネクタ構造が独特な輸入車のOBD検査誤認

 ある輸入車ディーラーにおいて、コネクタの構造が特殊である特定の型式について、検査用スキャンツールを接続せず、警告灯の確認のみでOBD検査を実施すると誤認していると思われる事例があった。※特殊な構造で通信が難しいために、OBD検査システムから警告灯判定を行うよう応答される型式の件と思われる
→本件はコネクタの形状は一致しているものの、ピン配列が異なるために正常な通信ができず、警告灯判定を行うよう応答されたもの。OBD検査は、警告灯判定を行うよう応答されることが明らかな車両であっても、検査用スキャンツールを接続し、OBD検査システムからの指示に従って実施する必要がある(除く特例措置適用時)。これに従わなかった場合、適切にOBD検査が行われていないとして行政処分を受ける可能性があるので、同様な事例があれば指定整備事業者に適切な助言を要請する

議題4)OBD検査システム・検査用スキャンツール技術連絡会の報告

 OBD検査システム・検査用スキャンツール技術連絡会からは3つの報告があった。

1.検査用スキャンツールの認定取り消し時の特例措置等

 検査用スキャンツールの型式認定が取り消された際の特例措置の取り扱いを規定する通達案「検査用スキャンツールの認定取消しに係る取扱細則について」を作成し、関係者でのレビューを進め、OBDモニタリング会合において最終的な議論を行うこととなった。

 そのほか、型式認定が取り消されたスキャンツールにより誤ってOBD検査が行われることを可能な限り防ぐため、かかる負担を踏まえつつ、システム改修も含めて運用方針を検討することとなった。

2.Android版特定DTC照会アプリに関する議論

 Android版アプリを使用できるSDKの設定や、今後のアプリリリーススケジュールについて議論を行った。また、Android OS・SDKバージョンアップ時における基本方針や認定試験スケジュールの要否判断について議論を行った。

3.Windows10搭載端末への特例措置適用除外

 Windows11への入れ替えについてこれまでも周知を進めてきたことから、2027年4月をもってWindows10搭載端末を使用している場合、特例措置の一部(スキャンツールに係るものに限る)を適用しない方針を示すこととなった。

議題5)検査用スキャンツール型式認定取り消し時の特例措置

 現在の取り扱いでは、型式認定が取り消された検査用スキャンツールは、ただちにOBD検査で使用ができなくなり、買い替え等まで一定の時間がかかっても、その間はOBD検査を実施できない。

 そこで、今後はスキャンツールの型式認定取り消しに係る取扱細則を設けることとし、

  • 型式認定取り消しとなった検査用スキャンツール※1を備える指定工場について、「買い替え等の対応が進められている場合に限り」特例措置※2の適用を可能とする
  • 早期の買い替え等を促す策を設けた通達を次回会合までに発出する

方針が決定された。
※1 機構が認めるものに限る ※2 機器による検査に代え、異常を示すテルテール点灯または点滅していないことにより適合と判断する検査の方法

議題6)Windows10搭載端末への特例措置適用除外

 Windows10の公式サポートは2025年10月をもって終了していることから、今後、Windows10におけるOBD検査は実施付加となる可能性がある。早めのWindows11への入れ替えを呼びかけるべく、国交省及び機構は「Windows10搭載端末への特例措置適用に係る整理について(周知依頼)」と題した事務連絡をこの3月中に発出することを発表した。

事務連絡案より抜粋した特例措置の適用可否一覧表

議題7)OBD検査対象装置の拡充

 現在、全部で11の装置がOBD検査対象装置に指定されているが、今回、「7 運行補助機能」と「9 車線逸脱警報装置」の両機能を併せ持つと見られる「緊急時車線維持相思(ELKS)」がOBD検査対象装置に新たに加えられることが発表された。

 検査対象車両としては、2032年9月以降の新型車、OBD検査の開始時期としては、2035年9月と少しばかり先の話となる。忘れずに対応したい。なお、輸入車については、それぞれ上記時期の1年後から適用となる。

議題8)自動車の設計等に起因するOBD検査未完了への対応について

 特定の車種について、自動車の設計または製作の過程を原因として、OBD検査が完了しない事象が発生している。現状では暫定措置として警告灯判定を目視で行うため、検査効率が非常に悪くなっている。

 「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方について(最終報告書)」では、この暫定措置を行うところまでは規定されているが、その先について特段の規定がなかった。OBD検査は基本的に現場の負担軽減を目指すとの方針もあることから、今後の対応として、一般的なルールの策定を予定していることが発表された。

 当該メーカーとの協議により、市場措置がおおむね完了する時期に合わせる形で、事前準備をした上で段階的に本来の方法(通信によるDTCの確認)に戻す恒久措置を取ることとした。出席者からは、検査の未完了が車側の問題なのか、スキャンツール側の問題なのかを現場で即座に判断することは困難であり、周知方法の迅速化を求める声が上がった。

 そのほか、中長期的課題と対応状況については大きく変わることはなく、今後の会合の開催方針については、輸入車のOBD検査が始まってから1年後に当たる第8回までは3ヵ月に一度の開催とし、その後は1年に1回の開催を基本とすること、また、検査の運用状況については、7月以降毎月、OBD検査ポータルサイトで発表するとの方針などが示された。次回、第7回は6月開催予定。