人材採用において最も重要なこと、それは「マッチングミスを防ぐこと」だ。募集活動では、とにかく人を採用することを第一に考えがちだが、望んでいない人を採用してしまうと、費用と労力を費やしたにもかかわらず、その活動が無駄になってしまう。
- 望んでいる人が応募してこない
- 採用したいと思っても断られる
- 採用してもすぐに辞めてしまう
これらは、すべてマッチングミスの可能性が高い。
では、マッチングミスを防ぐにはどうしたらよいのか。それは自社が「求める人材像」を明確にすることだ。つまり、会社の理念に合う人、会社の理念に共感して行動する人が求める人材であり、会社に迎えるべき人である。
募集活動は、媒体の選定や媒体の担当者を呼ぶことから始めがちだが、募集活動でまず最初に行うべきは「理想の人材プロフィールづくり」である。自社が求める人物像を明確にすることで、その人に向けた魅力的な募集材料を作ることができる。また、募集活動ばかりでなく、その後の面接においても、理想の人材プロフィールを軸に、様々な見極めの質問をすることができる。
では、この理想の人材プロフィールを作る工程を説明する。
最初のステップは、自社に合う人物像のイメージを列挙することから始める。「どんな人に会社に入ってもらいたいのか」、「どんな人と一緒に仕事をしたいのか」、「どんな資質を持った人が必要なのか」、これらを思いつくままに列挙する。
この作業は、経営者が一人で行うのではなく、募集活動に関わるすべての社員でするのが良い。共通認識ができ、何より楽しい作業になるはずである。「明るい人」、「コミュニケーション能力の高い人」、「誠実な人」、「〇〇の資格がある人」、「営業経験がある人」… …様々な意見が出ると思うが、思いつくままに書き出したい。
次に、挙げたイメージを具体化させる。たとえば、「明るい人」とはどんな人なのか? ただ笑っていれば良いのか? 会社が求める明るさとはどういう明るさなのか?「 コミュニケーション能力が高い」とはどういうことなのか? 「友人と上手に話ができる人」、「物怖じせずに誰にでも話しかけられる人」、「相手のニーズを聞き取り整理できる人」、このように、先に列挙したイメージを具体化していく。
最後のステップで、それらのイメージに優先順位をつけていく。先ほどの作業の結果を見ると、とても素晴らしい人材像ができ上がる。しかし現実の応募者は、そのような理想を兼ね備えた人ばかりではない。せっかく秀でた資質を持っていながら、すべてを兼ね備えていないからといって採用を見送るのは、あまりにもったいない。そこで、先ほどのイメージに優先順位をつける。
優先順位をつける際に重要なのは、後天的に学習が可能な要素、つまり「会社に入ってからも身に付けられる能力」は優先順位を低くすることだ。たとえば、「営業スキルがある」、「整備士2級の資格がある」というのは、入社後の学習や経験を基に習得できるはずだ。
このような「理想の人材プロフィール」は会社の成長過程や実情によって変化することもあるが、一方で、会社の理念は変わらないものである。人材のマッチングミスを防ぐために、募集活動を開始する前に、現在の理想の人材プロフィールを明確にすることから始めてみたい。
(筆者プロフィール)
關 友信 株式会社チームエル
取締役CMO。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開開始と同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。