日刊自動車新聞社、第5回整備事業者アワード2026表彰式を開催

ライター写真
樋口 祥三郎
日刊自動車新聞社、第5回整備事業者アワード2026表彰式を開催

整備業界の発展に寄与する優れた取り組みを表彰

 日刊自動車新聞社は4月20日、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区)で第5回整備事業者アワード2026の表彰式を開催した。
 同賞は、整備業界の発展に寄与する優れた取り組みを広く紹介し、業界全体の活性化につなげることを目的として創設されたもの。事業規模や数値だけでなく、経営の先進性、人材育成、地域社会への貢献など多様な観点から整備事業者を評価・表彰する。

 冒頭の挨拶で、日刊自動車新聞社の花井真紀子社長は「自動車業界及び自動車整備業界は今激動の中にあり、これまで以上に新しい発想や経営手法が求められている。受賞された皆様の取り組みを拝見すると、現場から生まれた創意工夫、そして挑戦に満ちており、業界を超えて多くの気づきや学びにつながるものであった。昨今、海外情勢をはじめとして先行き不透明な状況が続いているが、こうした苦難も必ず乗り越えられると強く確信することができた」と述べ、受賞者の取り組みに改めて敬意を表した。

挨拶をする日刊自動車新聞社・花井真紀子社長

日刊自動車新聞社大賞及び地域貢献賞 赤碕ダイハツ

日刊自動車新聞社大賞及び地域貢献賞を受賞した、赤碕ダイハツの上田啓吾社長

 過疎地での整備網維持に向けた先進的なモデルケースを構築した点が評価された。
 同社の上田啓吾社長は、「公共交通機関が脆弱な地方では、自動車はインフラでありまさにライフラインである。しかし、急激な人口減少、少子高齢化、整備の高度化、働き方改革による従業員の待遇改善、整備士不足など、町の整備工場にとって課題は増えていく。そこで、自分のことだけを考える競争ではなく連携、個社最適ではなく地域最適へと考えを変え、地域内の整備事業者と琴浦モビリティグループを立ち上げた」と、設立の経緯を説明。
 そして、「モビリティを通した問題解決へ向けて、今後は行政ともいっしょになって取り組みを進めていきたい。小さな町の取り組みではあるが、全国にも同じような境遇で悩んでいる人がいると思う。何か困ったことがあったら、ぜひ連絡をしてほしい」と、地方におけるライフラインの維持に向けた取り組みを、全国に広げていく考えを示した。

ブランディング賞 青木自動車販売整備

ブランディング賞を受賞した、青木自動車販売整備の青木孝之社長

 リビルト部品を入り口としたユニークなマーケティング戦略を実行し、結果に繋げていく点が評価された。
 同社の青木孝之社長は、「町の整備工場の強みや良さを真剣に考え、整備士の技術力の高さと、リビルト部品を多用できる柔軟な提案力にあると考えた。そこで、高額修理と高額見積りに対して、価格面、品質面でしっかりと寄り添えるようなブランディングを開始した」と、取り組みを開始した経緯を説明。
 今後は町工場の強みを前面に活かしたブランディングの普及を図り、町の整備工場の価値及び評価の向上につなげていく考え。

DX(デジタルトランスフォーメーション)賞 太陽自動車

DX賞を受賞した、太陽自動車の経営管理室リーダー 金井政諭氏

 RPAを活用して業務効率化を図るなど、積極的にDXに取り組んでいる点が評価された。
 同社の経営管理室リーダー 金井政諭氏は「最初は経営者から見た現場の改善点をコンピューターに任せることから始め、その取り組みが上手くいくと、現場の方から“こういったことができないか”という声が上がり、それをどんどん形にしていくという方法で、取り組みが広がっていった」と紹介。
 その上で、「今後はAIなども取り入れながら、機械でできることをどんどん増やし、人と人とが関われる領域により真剣に取り組んでいきたい」と、今後の展望を示した。

業務効率化賞 いづみ自動車

業務効率化賞を受賞した、いづみ自動車の田村圭会長

 会社一丸となってペーパーレス化に取り組み、業務の効率化につなげたことが評価された。
 同社の田村圭会長は「メカニックからフロントへの連絡用や、お客様に対する報告用など書類が多数あり、同じことを何回も書かなければならない状態だった。その中で転記ミスや漏れが発止し、請求書の作成などに時間がかかっていた」と、ペーパーレス化に取り組んだ事情を説明。
 「最初に入力した内容を、そのまま次につなげていくという考えで、取り組みを開始した。その結果、請求書発行時の工数削減や入力時における転記ミス・記入漏れの改善につながった」とその効果を提示するとともに、さらなるデジタル化を推進する方針を示した。

ES向上賞 山本ヂーゼル工業

ES向上賞を受賞した、山本ヂーゼル工業の山本裕社長

 若手社員が中心となって働き方改革を主導し、人材確保につなげていることが評価された。
 同社の山本裕社長は「Webサイトなども私が作成して10年くらい経過しており、今風ではないということで、若い人に任せて口を出さなかった。そうすると段々採用できるようになり、1人2人加わると会社の雰囲気も変わり、新しく入ったスタッフがまた紹介してくれる、といういい方向に変わっていった」と、取り組みの成果を報告。
 「当たり前のことを一所懸命にやっているが、まだまだ道半ばだと思っている。選ばれる会社、入社して良かったと思える会社を作っていきたい」と、今後も取り組みを継続していく姿勢を示した。

専門性強化賞 工藤自動車

専門性強化賞を受賞した、工藤自動車の工藤和彦代表

 ユーザーニーズを受けて、タイヤのホワイトレターに対するクリーナーを研究・開発し、商品化したことが評価された。
 同社の工藤和彦代表は、「タイヤのホワイトレターの汚れに対しては、一般的には液体タイプのクリーナーを使うことが多いが、タイヤメーカーに問い合わせたところ使用してはいけないという回答があった。そのため、ホワイトレターのクリーニング方法を研究して、特許を取得したホイワイトレタークリーナーが実現した。これは複数の国内タイヤメーカーのカタログにも掲載されている」と、取り組みを紹介。「少人数の企業でも、タイヤメーカーに認めてもらえる商品を作ることができるということを皆さんにも知っていただきたい」と受賞の喜びを表した。

ウェルネス賞 旭モータース

ウェルネス賞を受賞した旭モータースの大岩哲之社長

 ドライビングシミュレーターとフィットネスを組み合わせ、健康で運転できる身体作りを推進する新しい視点が評価された。
 同社の大岩哲之社長は、高齢者に免許証の自主返納を求める時流を認識しつつも、免許返納後の高齢者の移動範囲の縮小やそれによる活力低下に関する問題を提起。その上で「運転する年齢を担保するジムを作りたいと思い、フィットネスジムをオープンした。そのジムには、自分の運転の点数や脳年齢がわかるドライビングシミュレーターを導入している。自分の点数を俯瞰的に確認することができ、シミュレーター上で事故を起こすことで、事故を起こした時の嫌な気分を体験できる。そうすると車間距離を意識したり、雨の日の運転を控えたり、人通りが多い時間の運転を避けたりという行動につながり、事故のリスクが大きく減少すると考えている」と、取り組みの経緯と効果を紹介した。

ダイバーシティ賞 Aizawa Corporation

ダイバーシティ賞を受賞したAizawa Corporationの木村雅彦社長

 外国人ドライバーに対して、日本の保険制度や整備の重要性を伝え、保険加入につなげる取り組みが評価された。
 同社の木村雅彦社長は創業のきっかけの一つに、幼い頃に来日した相沢会長の原体験があると説明。当時は外国人であるという理由から必要な情報を充分に受けられなかったり、必要な制度やサービスを受けられないことがあったとし、「車を売るだけで終わらず、言葉の壁によって不利益を受ける人を少しでも減らしたいという思いから取り組みがスタートした」と紹介した。
 現在はスペイン語、ポルトガル語、英語、ベトナム語での対応が可能な体制を構築しており、昨年には伊勢崎市、三井住友海上火災保険と同社で、安心・安全な街づくりに向けた覚書を締結したと報告。「事故はいつどこで起こるか分からないからこそ、行政、企業、地域が連携し、国籍を問わず必要な情報などの支援が届く仕組みを作ることが重要だと考えている。この取り組みを伊勢崎市だけでとどめるのではなく、今後全国に広げていきたい」と展望を示した。

審査委員特別賞 Seibii

審査委員特別賞を受賞したSeibiiの千村真希社長

 自動車整備士の働き方の多様化、機会創出の取り組みが評価された。
 同社の千村真希社長は「当社は出張整備からスタートした会社だが、最近は出張整備以外に8つほどのサービスを展開している。直近では、整備工場を自社で運営したり、整備士をディーラーや整備工場に派遣するサービスなど、様々なシステムを提供する会社になってきている」と、同社の事業内容を説明。
 そして、業界における人材不足を大きな課題として認識した上で、「8,000万台の保有台数を抱える自動車社会を支えているのは整備である。整備士の待遇を変えていく、イメージを変えていくための発信が必要。しかし、1社だけでは大きな結果は出ないため、みんなで行動していくことが重要だと認識している。業界の人手不足をどのように解消するかをテーマに事業を推進しており、皆さんといっしょに何か取り組むことができたらおもしろいと考えている」と、業界課題解決に向けた連携を呼びかけた。

審査委員特別賞 市来塾オートクラフト会

審査委員特別賞を受賞した市来塾オートクラフト会の市来広会主

 自動車整備士が学び、ネットワークを形成する取り組みが評価された。
 同会の市来広会主は、「私自身はコンサル事業を営んでおり、そのコンサル先である整備工場12社に所属する13人の社員を1期生として、当会を立ち上げた。自動車の技術開発が進む中で、地域密着した整備工場には様々な車両が入庫してくる。その時に一番困るのは現場である」と、創設の経緯を説明。
 そして、「会員たちは勉強や情報に飢えていた。学びを通じて自信を持って仕事ができるようになり、予防整備の提案などにつながった。その結果、所属している会社にも資金的な体力がついてきた。人材不足という業界の課題を受けて、格好良い整備士を育成していきたいと考えている。若い子たちに格好良い整備士を目指してもらい、安心して車に乗ることができる社会の維持につなげていきたい」と、展望を語った。

第5回整備事業者アワード2026 受賞事業者

受賞部門受賞事業者
日刊自動車新聞社大賞赤碕ダイハツ
イノベーション領域
ブランディング賞青木自動車販売整備
DX(デジタルトランスフォーメーション)賞太陽自動車
経営改善領域
業務効率化賞いづみ自動車
ES(従業員満足)向上賞山本ヂーゼル
専門性強化賞工藤自動車
社会貢献領域
地域貢献賞赤碕ダイハツ
ウェルネス賞旭モータース
ダイバーシティ賞Aizawa Corporation
審査委員特別賞
審査委員特別賞Seibii
審査委員特別賞市来塾オートクラフト会