PPF市場の成長期にアフターマーケットを見つめ直し、新たなビジネスモデルを構築する

  • #NKD JAPAN
  • #PPF
ライター写真
武井 宏樹
PPF市場の成長期にアフターマーケットを見つめ直し、新たなビジネスモデルを構築する

林 威氏 JTW産業 取締役 ✕ 山崎 佳明 NKD JAPAN 代表取締役CEO

山崎氏は2017年に同社を設立。日本においてPPFの普及率が依然として低い現状に着目し、化学品商社で培った経験を活かして市場開拓に乗り出した。2021年には、フィルムの一貫生産体制を有するShanghai Nalinv Technology社の思想と技術に共鳴し、NKODAブランドの総輸入代理店となる。
 その後、林氏が2023年にJTW産業を創業。以降、NKD JAPANはフィルム供給およびビジネスモデル設計を担い、JTW産業は実施工・実証拠点となるモデル店舗として機能するという、実践型のパートナー関係を構築している。

 日本のペイントプロテクションフィルム(PPF)市場は、従来の高価格帯を中心とした施工モデルから、より多くのユーザーの手が届くビジネスモデルへの展開が模索されている。そこでNKODAフィルムの総輸入代理店であるNKD JAPAN(東京都中央区)とフィルム施工店のJTW産業(埼玉県川口市)による協業モデル、そして整備工場との協力体制構築について両社の代表である山崎佳明氏と林威氏に話を聞いた。

NKD JAPANとJTW産業について

山崎 NKD JAPANは2017年に設立。当時から日本のPPF市場の普及率・装着率は他国と比べまだ低く、そこに市場拡大の可能性を見込んだ。2021年ごろから中国のフィルムメーカーのShanghai Nalinv Technolog社(以下、Nalinv社)と協力関係を築き、現在は同社のNKODAブランドの総輸入代理店として日本国内でのフィルム供給と協力店ネットワークの構築を担っている。JTW産業をはじめとする協力店とともに施工体制を整えている。

 JTW産業は2023年創業で、創業時からNKODAフィルムの施工店としてNKD JAPANと実践的なパートナー関係関係を構築している。中国をはじめ各国の施工経験のある技術者を招聘し、現在は月に20~25台をコンスタントに処理している。あらかじめパネルの形に切られたフィルムを使わず、ロール状のフィルムから現場で切り出して貼るバルク貼りをメインに、部品脱着を行わず2~3日でフルラッピングを仕上げる。

NKODAのフィルムについて

山崎 Nalinv社と当社が協力関係を結んだのはその品質の高さが大きい。高品質な日本製ウレタン樹脂を原材料として使用している。自社でフィルムからコーティングまで一貫生産する体制を構築しており、ロシアや中近東、南米といった気象条件の厳しい環境下での使用に耐えうる品質を確立している。現在100ヵ国以上に輸出実績があり、そのクオリティーが日本のカーオーナーの求める品質にもマッチすると見ている。

 カラーPPFのバリエーションが豊富で、塗装だと再現が難しいカーボン調の表現も可能でオリジ
ナリティーを出したいオーナーからの依頼が多い。また同社の透明PPFの上にPVCのカラーフィルムを貼り付け、さらに透明PPFで保護するなど施工方法の選択肢が多いのも魅力だ。

PPF の日本での普及について

山崎 日本のPPF市場は成長期にあると考えており、さらなる伸びしろがある。日本は諸外国と比べて道路環境が良くて、走行距離も短く、飛び石など車体を傷付けるリスクが少ない。また、市場の価格帯もフルラッピングで100~150万円と高く、1,000万円を超えるスーパーカーに需要が偏りがちだ。ここがクリアされれば市場はさらに拡大すると考えている。

 実際、施工車両はメルセデス・ベンツSクラス相当の車両が多い。開業当初はPPFの存在を知らないオーナーがほとんどだったが、現在では新車代替時の依頼が増えており、認知度や需要も広がっている。スクラッチ損傷の際に効果を実感し、オーナー同士の紹介で客層が広がっており、需要は2年前よりも着実に伸びてきている。

JTW産業でNKODAのカラーPPFをバルク貼りする様子。バルク貼りは施工スピードは速いが相応の技術
力が必要となる。同社では日本・中国・米国の3ヵ国の技術者が集まり、高効率に作業を進めている

施工台数の拡大に向けて

山崎 ボリュームゾーン(新車価格500~1,000万円)の需要を獲得するのが今後の目標となる。カラーPPFの登場により、気軽なボデーカラーの変更及び、新車販売や補修時のプラスアルファのサービス提案として、手の届きやすい価格帯のサービスメニュー構築を目指している。これは決して施工技術を安売りしているのではなく、台数を増やして収益を積み上げるビジネスモデルを目指している。

 当社でもボリュームゾーンを狙ったサービスメニューも充分実現できるとNKD JAPANと考えが一致している。1台ごとの収益を高めるより、施工台数を増やすほうが技術者の経験値も高くなり技術者たちのモチベーションや、工場全体の技術力向上にもつながる。

整備工場のPPF 技術習得には?

山崎 整備工場でのサービスメニュー拡大にもPPFは向いていると考えている。車販時の施工で付加価値を付け、メンテナンスによる顧客のグリップが見込める。昨年3月にはNalinv社とともに日本にトレーニングセンターを開設した。今後はJTW産業との連携を深め、同社内の設備環境を活かしトレーニング機関として展開していくつもりだ。興味のある技術者はぜひ気軽に足を運んでほしい。

 社内ではスピードより作業品質の維持向上を徹底している。作業の手戻りは大きなロスである上、顧客からの信頼を損なうのは施工者も同じだと思う。熟達のためにはコンスタントに作業できる環境が必要だ。一朝一夕で身に付けるのは難しい技術ではあるが、まずはボンネットやドアカップ施工など一部からスタートすればハードルは高くない。また当社に施工の様子を見学に来てもらうことも大歓迎だ。

PPF 市場の今後と整備工場との協業について

山崎 日本ではまだ施工台数と技術者が少ないが、世界規模ではアフターマーケットでの存在感は年々増してきている。PPFはもはや一部の高級車のための「高嶺の花」ではない。日本でももっと手軽にPPFを楽しんでほしいという思いがある。
 整備工場にとっても自社のサービスに付加価値を与え、顧客満足度を高めるための強力なツールとなり得るだろう。アフターマーケット全体をともに盛り上げていくパートナーとして協業の体制を整えていく。PPF導入についての相談はいつでも受け付けている。整備業界からもぜひ気軽に声をかけてほしい。

 現在、自社では近隣の5店舗の整備工場と協力関係にある。フィルム施工前の下地処理や自社で受け付けた車検や鈑金・整備を整備工場へ依頼し、整備工場で受けたラッピング施工を当社で引き受ける協業関係を築けており、整備工場の存在はとても大きい。今後もネットワークを広げていきたい。互いに協力関係があれば、自社で作業できなくともそれぞれの分野をサービスメニューに追加できる。技術的な交流も含め、今後も相互の知見を交換していきたい。