
改正行政書士法による混乱 実質的に無資格者の書類作成は不可
本年1月1日に施行された改正行政書士法により、自動車販売と自動車整備の現場では、今も少なからず混乱が生じている。行政書士法改正は昨年業界内に周知された、事業者の関心は高くはなく、対応が後手にまわった感も否めない。しかも3月の車検繁忙期と重なることで少なからず現場に混乱が生じている。
まず正しい認識として心がけておきたいのは、今回の行政書士法の改正によって、無資格者による官公署提出書類作成が規制されたわけではない点である。法令改正前からも、同行為はご法度であった。すなわち、今回の法改正は、行政書士の立場と報酬範囲を明確にし、罰則が強化されたのである。まずは、事業場内で営業担当者や整備士に対し、周知徹底を行う必要がある。
報酬範囲については、第19条(業務の制限)に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加された。「書類作成料」名目ではなく、別の費目に潜り込ませることも違反行為になる可能性があるとともに、実際に整備工場側が「無料」を意図していても、問題視されるリスクをはらんでいる。
したがって、書類作成について、たとえ「無料サービス」を謳っていても、無資格者による書類作成は、実質的に行うことはできないと考えられる。また、それに伴い、疑われるような怪しげな名目も使用しないことが望ましい。

まず現場が対応すべきは、官公署提出書類の把握、作業名目の検討と変更。そして書類の申請スキーム(オペレーション)の検証と検討、スタッフへの周知である。スタッフへの周知が徹底されていなければ、スタッフ個人の判断で作業が行われ、コンプライアンス違反が生じる可能性は否めない。その場合、罰せられるのはスタッフ個人だけでなく、会社にも罰則が及ぶ。今回の改正行政書士法より両罰規定が設けられたためである。

自動車販売と自動車整備で該当する業務は自動車の登録と検査に関わるそれぞれの申請業務である。行政書士法第19条および施行規則第20条に基づき、日本自動車整備振興会連合会、日本自動車販売協会連合会が代理申請するケースは除外されている。これにより、ワンストップサービスによる継続検査と自動車保管場所証明書(車庫証明)の申請は行政書士を介すことなく申請が可能である。
ただし、車庫証明に必要な保管場所の所在図・配置図についても、やはり無資格者による作成はNGである。たとえ手書きでなく、地図のコピーの切り貼りでも「作成」と判断される可能性がある。ただし、行政書士や申請者本人によって作成されたこれら書類をスキャナーなどで読み取る作業は「作成」には該当しない。

また、申請書類の提出の場面で不備や誤記などが指摘されるケースがあるが、訂正や加筆などにおいても無資格者が行うことはできない。指摘されたことで、慌てて訂正してしまうケースや「それぐらいならいいだろう」は通用しないのである。
見積もりやメニュー表に掲示する名目を検討 曖昧さを回避してクリーンな名目が理想
では、次に見積書や請求書、店頭やホームページ、販促物などに掲示する書類申請費用の名目についての検討である。もし現在も「代行手数料」や「事務手数料」などの名目を使用している場合は変更することが望ましい。その上で整備事業者が書類作成に関与していないことが分かる名目であることが重要だ。

たとえば、行政書士にアウトソーシングして書類作成を行う場合、行政書士取次手数料を謳えば、ユーザーにも理解されやすく、クリーンなイメージを与えることができる。重要なのは曖昧ではなく、書類作成と申請のそれぞれのフェーズを切り離して名目を検討することが望ましい。

Text :泉山大(プロジェクトD)