【最新】「軽自動車の使用実態調査」から読み解く軽自動車市場動向と整備工場の販売戦略

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長谷川 明憲
【最新】「軽自動車の使用実態調査」から読み解く軽自動車市場動向と整備工場の販売戦略

一般社団法人日本自動車工業会は、2025年度「軽自動車の使用実態調査」の報告書を発表した。本調査は1984年から隔年で実施されており、軽自動車の社会的位置づけを把握するための重要なデータである。

この記事では、同調査の最新データを基に、自動車整備工場が軽自動車の販売戦略を立てる上で押さえておくべき「顧客のリアルな実態とニーズ」を解説する。

販売ターゲットを明確にする上で、現在のメインユーザー層の把握は欠かせない。調査結果から、以下の実態が明らかになっている。

軽乗用車ユーザーの平均年齢は51歳であり、そのうち64%を女性が占めている。世帯年収の中央値は447万円で、購入理由の59%が「経済面」であった。

軽キャブバンユーザーは平均55歳(仕事・商用利用が46%)、軽トラックユーザーは平均59歳(同62%)と、シニア層のビジネスを支えている。

整備工場としては、家計を握る女性層や、地元で働き続けるシニア層に対して、維持費の安さなど「経済的なメリット」を第一に訴求することが有効である。

軽自動車の保有割合は、人口の低・中密度地域に約8割が集中している。公共交通機関が不便な地域ほど「軽自動車はライフラインである」という意識が強く、大きい車しか選択肢がなくなった場合、約7割のユーザーが「困る」と回答している。

年代が上がるにつれ「病院への通院・送迎」での利用率が高まる傾向にあった。

「末子が中学生以下」の場合、約7割が「ほぼ毎日」軽自動車を利用しており、家事や育児に不可欠な存在となっている。

地域密着型の整備工場は、単なる車の販売にとどまらず、地元住民の「生活の足」を支える重要なパートナーとして信頼を構築しやすい立ち位置にあると言える。

整備工場が車両を提案する際、強力な武器となるのが「先進安全装備」へのアピールである。調査では、軽自動車ユーザーの5割が「軽自動車は安全な移動をサポートしてくれる」と評価しており、具体的な安全技術への装着意向も非常に高い。

  1. 衝突被害軽減ブレーキ(30%)
  2. ペダル踏み間違い時加速抑制装置(29%)
  3. 後側方衝突防止支援システム(26%)

高齢者や日常的に運転する女性に対して、プロの整備士目線で最新の安全機能の仕組みや有効性をていねいに解説することが、成約率の向上に直結する。

電動車の購入意向については、ストロングタイプのハイブリッド車(HV)が36%、マイルドハイブリッド車が22%と支持を集める一方、電気自動車(EV)は19%にとどまった。

ただし、法人向け市場では状況が異なる。カーボンニュートラル宣言の認知度は全体で約5割、300人以上の企業では約9割に達している。すでにEVを導入している法人は「走行性能」や「乗り心地」への満足度が高く、増車傾向にある。法人営業を行う整備工場は、このEV需要の波を注視すべきだろう。

軽自動車の買い控えや消極的な消費行動の背景には「物価上昇」が大きく影響しており、特に「ガソリン代(42%)」への負担感が強い。燃費の良いハイブリッド車などの提案は、こうした顧客の不安払拭に効果的である。

また、65歳以上のユーザーが免許の自主返納を躊躇する理由のトップは「車に代わる移動手段がない(60%)」ことであり、74%が「生活が不便になる」という不安を抱えている。

今回の調査で、軽自動車が地方部や高齢者、女性にとって代替不可能なインフラであることが再確認された。物価高による買い控えや、代替交通手段不足による免許返納問題といった課題はあるものの、裏を返せば「長く安心して乗り続けたい」というニーズの表れでもある。

自動車整備工場は、車の販売を通して、地域のライフラインを守る役割を担っている。本調査のデータを活用し、顧客一人ひとりのライフスタイルに寄り添った最適な一台を提案してほしい。