初心者マークについての模擬問題が「理不尽」と批判殺到

  • #初心者マーク
  • #理不尽
  • #運転免許学科試験
ライター写真
古瀬 敏之
初心者マークについての模擬問題が「理不尽」と批判殺到

 SNSで投稿されたある運転免許学科試験の模擬問題が、「理不尽すぎる」「これはひどい」と大炎上している。問題は、多くのドライバーにとって馴染み深い「初心者マーク」の付け方に関するもの。しかし、その正解と解説をめぐって、投稿者をはじめ共感の声が殺到する事態となったのだ。

「〜するようにしましょう」のワナ

 物議を醸しているのは、以下の問題だ。

普通免許を取得した初心運転手が普通自動車を運転する場合、その車の前後の定められた位置に初心運転者標識(初心者マーク)をつけて運転するようにしましょう

 多くの人が「初心者マークは付けるべきもの」という認識から「〇(正しい)」を選びそうだが、正解はなんと「×(間違い)」。一体なぜなのか。

 この問題のカラクリは、文末の「〜するようにしましょう」という表現にある。日本の道路交通法(第71条の5第1項)では、免許取得後1年未満のドライバーが初心者マークを付けることは、努力目標やマナーではなく「法的な完全義務」と定められている。「〜しなければならない」のだ。

 一方、問題文の「〜するようにしましょう」は、どちらかといえば「できればやりましょう」といった推奨やマナーを想起させるマイルドな表現。もしこの文章を「〇」としてしまうと、法律上の絶対的な義務を「単なるマナー」として認めることになってしまう。だから試験の理屈としては「×」にせざるを得ない、というわけだ。

引っ掛けて落とすことが目的になっているのでは?

 「受験者をイライラさせるためだけに作られているのでは?」と勘ぐりたくなるような問題だが、出題側(警察庁や公安委員会)には一応、意図があるようだ。

 一つは、「法的な義務」と「任意・マナー」を厳格に区別させるため。ドライバーが「絶対に守らなければならないルール(義務)」を「マナー程度(やらなくても罰せられない)」と誤解していると、実際の道路で簡単にルールを破ってしまうリスクがある。そのため、表現のニュアンスまで厳しくチェックしているのだという。

 もう一つは、「思い込み」や「なんとなくの判断」を排除するためだ。「たぶん大丈夫だろう」という曖昧な判断が、一瞬で重大事故に繋がるのが交通社会。試験問題を通じて、「一文字一文字を正確に読み取り、厳密にルールを判断する」という極めて慎重な姿勢を強制的に身につけさせよう、という側面もあるようだ。

 ちなみに、この手のひっかけ問題は他にも存在する。例えば、

夜の道路は危険なので気をつけて運転しなければならない

 という問題。これも答えは「×」で、理由は「昼夜を問わず気をつけて運転しなければならない」からだ。もはや言葉遊びの領域である。

国語の問題ですね。 否、禅問答かも知れません

 この理不尽とも思える問題に対し、ネット上では批判が殺到している。

「こういうの見るとガチで免許取る気なくす」

「これだと付けなくてもいいだろーって✕にした人が正解になって勘違いする可能性あるよなーと」

「国語の問題ですね。 否、禅問答かも知れません。」

 といった声が相次ぎ、中には「教本の大元は国が作り試験は都道府県が作るので、都道府県は論理的にあってるかどうか決めたくない→教本に書いてある文言と同じかを聞く問題になる→意味不明な問題が生まれる」と、問題が生まれる構造を推測するユーザーもいた。

 法律上、初心者マークの表示義務に違反した場合、反則金4000円と行政処分1点が科される。この事実を知っていればこそ、「〜しましょう」という表現に違和感を覚えて「×」を選べるのかもしれない。しかし、多くの受験者にとっては、安全運転の本質とはかけ離れた「言葉の揚げ足取り」に感じられることだろう。

 ネットに寄せられた「こんな問題をやらせる意味ってなんなんやろなぁ」「何の意味もない。もう見直してもええやろ」という意見は、多くの受験者の本音を代弁しているのかもしれない。安全なドライバーを育成するという試験本来の目的と、現状の出題内容が本当に合致しているのか。一度、立ち止まって考える時期に来ているのではないだろうか。