改正行政書士法解説 自動車整備の徹底対応策 第3回 手続き代行サービスを再構築する

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泉山 大(プロジェクトD)
改正行政書士法解説 自動車整備の徹底対応策 第3回 手続き代行サービスを再構築する

 改正行政書士法を契機に、極めてグレーな申請代行手続きを行ってきた自動車販売店が手続き担当の従業員に対し契約解除を行ったという話しを聞いた。自動車アフターマーケットの現場は目まぐるしく動いており、変化を迎えている。

「これまで問題なくやってきたのだから」という自動車販売店、整備事業者側の言い分もあるが、認証を受けた整備事業者だけが業として自動車整備が行えるのと同様、公的な書類の作成は資格者が担うことは、法令で決められている以上、当然のことである。

 今回の改正行政書士法は自動車アフターマーケットのみならず、様々な業態に影響を与え、波紋を広げているが、大局的にみると個々の事業者にとってマイナスに働くものでは決してないだろう。むしろチャンスと捉えている事業者も少なくない。

 法令が改正される以前から、行政書士の資格を有する人材を迎え入れ、書類作成の内製化を行ってきた兼業の整備事業者は今回の法改正について「これまで地道に法令順守を行ってきたことをお客様に理解してもらえる機会になった」と語る。

 また、税理士資格と行政書士資格の両資格を有するダブルライセンスの人材をビジネスに繋げる動きも出ている。行政書士の資格も持っているという税理士と契約する整備事業者はこれまで自社の申請のみ、税理士兼行政書士に依頼してきたが、他の整備工場からも申請書作成業務を請け負うケースを視野に入れ、新規ビジネスを計画する。この経営者は改正行政書士法によってコンプライアンスが明確になったことで、行政書士依頼の需要が増加すると睨む。一方、税理士は無試験で行政書士登録が可能であるが、ユーザーの開拓には労力とコストが必要だ。自動車販売、整備事業者の需要を取り込めれば、税理士にとっても大きなチャンスとなる。

これまではグレーゾーンで曖昧な領域だった代行手続きをいかにクリーンなメニューにするかで、企業ブランドは新たな光を放つ。変化はピンチではなく、チャンスと捉えることで新たなビジネスは生まれる。

 整備事業者にはそれぞれ様々な制約があり、代行手続きのスマート化の解は一概にひとくくりすることはできないが、人材不足や働き方改革を含めて、手間(工数)やコストをリカバリーする近道のひとつは業務のデジタル化(DX)である。自動車整備業を持続可能にするためにもDXはもはや避けて通れない要素のひとつだ。ICT(情報通信技術)で処理できうる作業は、極力オンラインで行い、業務の効率化を図ることでサービス品質向上、時間とコストの削減に繋げていくことが可能となる。

 指定工場における検査領域の申請業務は自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)の利用、記録等事務代行でスマート化が実現する。課題はやはり認証工場だが、リソースを最大限に活用した出来うる限りのDXで工数削減を図っていきたい。

 地方の認証工場では、運輸支局に行き来する時間とコストを削減するため、数社が協力して協業する地域連携のグループ企業がある。週に1~2回、持ち回りで定期便を出し、運輸支局まで各社の業務をまとめて行うというもので、代行手続きの業務負担を大きく軽減している。持ち回りの協業なので、依頼料などは発生せず、二重委任にも該当しない。この事例はDXとは言えないが、今後認証工場が生き残っていくためのひとつのお手本になりえるだろう。

 改正行政書士法の施行により、対応を余儀なくされている整備事業者がある一方、コンプライアンスを明確に訴求してブランド醸成を行う事業者や新たなビジネスの機会をうかがう経営者など、手続きの代行を巡って様々な動きが出ている。法改正はピンチか、それともチャンスと捉えるか、それは経営者の見方次第であるが、最も重視しなければならないことは、ユーザーの利益の最大化である。

 無資格者による書類作成はそもそも法令で禁じられていた。つまり、代行手続きの正常化は当たり前の品質である。したがって、今回の法改正によって、ユーザーが不便と不利益を被ることは本末転倒であり、いかにユーザーにベネフィットを提供できるかは、手続き代行というサービスの再構築にかかっている。