システムダウンでも通過できるの? できないの?
2026年7月16日午前8時ごろに全国規模で発生したクレジットカードによる決済が完了しないトラブル。
はたしてETCは通過できるのか?
全国規模で発生した、クレジットカードの大規模なシステム通信障害は、スーパーやコンビニ、ネットショッピングだけでなく、Suicaなどの交通系ICに至るまで、あらゆる決済が使えない状況が報告されており、各店舗では対応に追われている。
だが、我々消費者側のなかで最も心配しているのは今まさに車を運転しているドライバーたちだろう。
「もしかして、この先にある高速道路のETCゲート、開かないんじゃないのか?」、
「カード会社と通信できないなら、料金所でバーに激突してしまう!」
高速道路上という空間では、後ろからは猛スピードの後続車が迫ってくる。 迫る料金所のバーを前に、パニックを起こさないために、今回は「クレカ障害時のETCの挙動」について、今すぐ知っておくべき真実を解説する。 正しい知識さえあれば、焦る必要はない。
そして、現在運転をしている、またはこれから運転する人がいたら知らせてあげてほしい。
結論!クレカが通信障害でも「ETCゲートは無事に開く」
結論から言うと、クレジットカードシステムが完全にダウンしていたとしても、ETCゲートは通常通りに通過できる。 バーが下りたままになることは、基本的にはない。パニックになって料金所の手前で急ブレーキを踏むのが、一番危険である。 まずは深呼吸をして、そのまま安心してゲートを通過してほしい。
決済システムが落ちているのに、なぜ通れるのか。 実は、そこにはETCの非常に賢く、かつ安全を最優先に考えられたシステムが存在することをご存じだろうか。
なぜ?リアルタイム決済をしていないのに通過できる「ETCの賢い仕組み」
日ごろ、我々がクレジットカードを使う際は、レジの端末とカード会社がオンラインで通信し、カードの有効期限や、限度額オーバーをしていないかという信用照会を瞬時に行っている。そこでOKが出ると初めて決済が完了する仕組みとなっている。 今回のシステム障害は、まさにこの通信・照会の部分がストップしている状態である。
しかし、ETCのシステムはクレジットカード決済とは根本から設計が異なる。 もし、ETCゲートを時速20kmで通過するわずか数秒の間に、カード会社とオンライン通信を行っていたらどうなるだろうか。 通信がわずかでも遅延すれば、車はバーに激突してしまう。それどころか追突事故まで招きかねない。 そのため、ETCゲートは「リアルタイムでの信用照会を行っていない」。
では、どのようにカードの有効性を判断しているのか。 ETCシステムが採用しているのは、「ネガリスト(無効カードリスト)方式」と呼ばれる耳慣れないシステムである。
料金所のシステムには、事前に盗難・紛失されたカードや解約されたカードのリスト(ネガリスト)が内蔵されている。 そして、車がETCゲートを通過する瞬間、システムはETC車載器から読み取ったカード情報と、このネガリストを照合する。 そして、「ネガリストに載っていないこと」と「カードの有効期限が切れていないこと」の2点だけを確認し、即座にバーを開けているのである。
つまり、クレジットカード会社が通信障害を起こしていたとしても、カードが有効期限内で、かつネガリストに載っていなければ、ゲートは物理的に開くようなっている。
後日請求はどうなる? 障害復旧後のデータの流れ
さて、無事にゲートを通過できたとしても、通行料金の請求はどうなるか。
ETCゲートを通過した記録は、一時的に道路会社(NEXCOや首都高速など)のシステム内に蓄積されるため、通信エラーでデータがないからといって高額なペナルティを請求されるなどのトラブルを心配する必要はない。
ETC利用時の通行料金は道路会社からカード会社へと決済データが一括して送信される仕組みになっている。そのため、クレジットカード会社の通信障害が完全に復旧したタイミングで、 正しく請求されるようになっている。 二重に請求されることも、未払い扱いになって督促状が届くこともないので、過度に心配をする必要はない。
最も恐れるべきはシステムの不具合ではなく、「ゲートが開かないかもしれない!」と勘違いして、パニックに陥った人間の予期せぬ行動である。
料金所の直前で、前の車が急ブレーキを踏んで止まるかもしれない。 そんな最悪の事態(もらい事故)を防ぐためにも、障害発生時はいつも以上に車間距離を広く取り、十分にスピードを落として料金所に進入してほしい。