ある整備士が現行のスバル・インプレッサを車検整備中、ドライブシャフトのアウターブーツが破損しているのを発見した。車検を通すためには必須の修理であり、早速部品を発注しようと部品屋に連絡を取ったところ、予期せぬ回答が返ってきた。ブーツ単体での部品供給はなく、ドライブシャフトアッセンブリー(ASSY)全体での交換が必要だという。この出来事は、現代の自動車整備における「あるある」として、多くのユーザーや整備関係者の間で共感と議論を呼んでいる。
車検整備中にドライブシャフトブーツの破れを発見した整備士は、ごく当たり前の手順として部品屋にアウターブーツを注文した。しかし、部品屋からの返答は「この車、ドラシャのブーツの設定ないみたい」という意外なものだった。ブーツ単体での部品供給が存在しないというのである。
整備士は食い下がり、分割式のいわゆる「割れブーツ」でもいいから何とかならないかと尋ねたが、それも設定がない。純正部品ですら、ブーツ単体では供給されていないという。目の前でゴム製のブーツが破れているにもかかわらず、交換部品が存在しない。この状況に整備士は困惑し、「じゃあ……どうすれば?」と問うしかなかった。部品屋から告げられた唯一の解決策は、「ドライブシャフトASSY交換」であった。
メーカーがそう言ってる
「ブーツだけでいいんですけど?」という整備士の当然の問いに対し、返ってきたのは「メーカーがそう言ってる」という、現場ではどうにもならない回答だった。壊れているのは数千円程度のゴム部品であるにもかかわらず、まだ十分に機能する金属製のドライブシャフト本体まで含めたアッセンブリー全体を交換せねばならない。
メーカー側は、こうしたASSY交換の方針について「品質確保」を理由に挙げることが多い。しかし、ユーザーや整備現場からすれば、過剰な修理であり、経済的負担を不必要に増大させるものと映る。この「壊れてるのはゴムだけなのに、交換するのは鉄まで」という現実は、多くの整備現場で共有される一種の「あるある」となっている。
発売したての車あるあるですね
この問題は、特定の車種に限った話ではないようだ。他のユーザーからは、マツダ車でロアーボールジョイントブーツの単体設定がなく、社外品も見つからなかったため、ロアーアームASSYを左右とも交換した経験が寄せられた。特に発売から間もない新型車では、消耗部品の単品供給が追いつかず、ASSY交換を強いられるケースは珍しくないという。
こうした事例は、自動車メーカー全体で消耗部品の単品供給を減らし、ユニットごと交換させる傾向が強まっていることを示唆している。ユーザーにとっては修理費用の高騰に直結する問題であり、整備の選択肢を狭める要因ともなっている。
消費者にメリット無いよ
このASSY交換を基本とする方針に対し、ユーザーからは厳しい意見が相次いでいる。あるユーザーは「メーカーの悪徳商法」と断じ、近年増えているLEDヘッドライトの事例を挙げる。かつては数百円の電球交換で済んだものが、LED化によってライトユニット全体のASSY交換となり、修理費用が10万円を超えるケースも出てきたことと構造が同じだと指摘する。

また、「嫌な設計が増えた」「消費者にメリット無いよ」といった声も見られる。部品を細分化せず、ユニットで交換させる設計が蔓延すれば、自動車を長期的に維持・使用することが困難になるとの懸念が示されている。さらに、資源の有効活用をうたうSDGsの理念に逆行する方針ではないかという指摘も上がっている。
メーカーが掲げる品質確保という大義名分と、ユーザーが直面する経済的・環境的負担との間には、大きな隔たりが存在する。部品のモジュール化は生産効率を高める一方で、修理の現場では柔軟性を失わせ、結果としてユーザーの不利益につながっている側面は否定できない。サステナビリティが社会的な重要課題となる現代において、自動車メーカーには、修理のあり方や部品供給のポリシーについて、改めてユーザー視点に立った再考が求められているのかもしれない。