みんながわかる! OBD検査 第8回 OBD検査に適合しているかどうやって判定しているの?

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MSRweb編集部
みんながわかる! OBD検査 第8回 OBD検査に適合しているかどうやって判定しているの?

 OBD検査で「特定DTC照会アプリ」が車両OBDを読み取った情報から「適合」、「不適合」をどう決めているのかは、画面に表示される情報以上のことは詳しく公表されていません。そこで今回は、国交省が公開している資料を基に、実際にどのような情報が交換され、どのように合否を判断しているのかを整理してみます。

 検査は「特定DTC照会アプリ」のOBD検査モード画面上で次のような手順で進みます。

  1. 車検証のバーコードやICタグを読み取る、または手入力で、車両の型式や類別区分番号を取得
  2. 「検査要否確認」ボタンを押すと、車両明細情報が機構サーバーに送られ、検査対象車かどうかを確認
  3. 「実行」ボタンを押すと、スキャンツール経由で車両OBDから全DTC(除く未確定)を読み出す
  4. 型式や類別区分番号、読み出したDTC /読み出し先ECU記号をまとめてサーバーに送信
  5. 同時に、排ガス判定に必要な電圧、MIL(排ガス警告灯)の状態、レディネスコードも送信
  6. サーバーが特定DTCリストと照合し、基準に従って適合か不適合かを判定
  7. 判定結果がアプリに返され、画面に表示される

 「実行」ボタンを押して判定結果が表示されるまでにしばらく時間がかかりますが、上記の3から7を連続して行っているからです。

 適合判定の基準は次の通りです。

・特定DTCがリストにあるかどうか(排ガスOBD、安全OBD共通)
サーバーには、あらかじめ各メーカーが提出した「特定DTCリスト」が登録されています。読み出した情報は型式や類別区分番号、DTCコード、読み出し先ECUをキーにして照合され、一つでもリストに該当するDTCがあれば不適合となります。

・排ガス関連の場合の追加条件
排ガスに関わるOBDでは、さらに次の3つもチェックされます。

  1. 電圧が基準範囲内にあるか
  2. 排ガス警告灯(MIL)が点灯していないか
  3. レディネスコードが1つ以上あるか

 これらのいずれかに問題があれば「不適合」となります。なお、排ガス関連DTCが記録されると必ず警告灯が点灯するため、2.の条件は重複しているとも言えます。

 排ガスのレディネスコードはなじみの薄い方も多いと思います。レディネスコードは、排ガスデバイスのうち、どのデバイスの自己診断が実行されたかどうかを示すコードです。「OBD検査結果詳細」画面下部はデバイスごとの自己診断の実施状態を表し、水色が「完了」、灰色が「未完了」、色なしが「未サポート」を意味します。水色が一つでもあれば適合と判定されます。

 図1はレディネスコードと異常との関係を表しています。通常の走行でも頻繁に自己診断が行われますので、入庫時はDTCがなければAは「正常」、DTCがあればBは「故障あり」のどちらかになり、C、Dのレディネスコードなしはあり得ません。

図1 レディネスコードと異常の関係

 おそらくC、Dのレディネスコードなしは整備の過程でDTCをスキャンツールで強制消去し、同時にレディネスコードも消去された状態のまま、自己診断が実行される前に適合判定を実施したためと考えられます。

 この状態ではレディネスコードの強制消去の前に、異常を解消済なのか、あるいは異常を解消しないままDTCを消去したのかを区別できません。そのため、レディネスコードが一つもない場合は自己診断が未実施とみなされ「不適合(判定保留)」とされます。

 実際の市場では、この「レディネスコードなし」による不適合は少なくないようです。この不適合はちょっとした工夫で大幅に減らせますので、別の回で運用上のポイントを改めて説明します。

 検査の適合判定中に「通信不成立」と表示されることがあります。多くはスキャンツールのVCIのOBDコネクタへの差し込み不良が原因で、特にコネクタの位置や角度の関係で差し込みにくい車両では発生しやすいようです。この場合、延長コードを使えば大部分は解消できます。

 通信できなかったからといってすぐに不適合になるわけではありません。自動的に「警告灯判定」の画面が表示され、実際に警告灯が点灯しているかどうかを確認して合否を選択します。これは「特定DTCが発生すれば基本的に警告灯が点く」という原則を利用したものです。

 「OBD検査の適合判定は単に特定DTCの有無だけで判定しているのではなく、排ガスOBDはレディネスコードの有無など、複数の条件を満たしているかどうかで合否が決まる」となります。

 今回はOBD検査の適合判定の基準を調査してみました。判定基準は重要なのでしっかり理解しておく必要があります。今後、本誌と連動して企画中のOBD検査に関するオンラインセミナーでは、図を用いながら、この関係性をより分かりやすく解説する予定です。ぜひご期待ください。 (つづく)

※MSR2025年11月号掲載

(筆者プロフィール)
佐野和昭
 東北大学 工学部卒業後、トヨタ自動車へ入社。アフターサービス部門に配属され、品質管理からサービス企画・改善、部品のマーケティングまで幅広い分野を担当。その後、自研センターの取締役に就任。新しいアルミ修理技法などの修理技術開発を担当し、機械・工具メーカーなどと意見を交わした。現在は、車体整備をはじめとした整備関連業界において複数社の顧問を務めると同時に、セミナー講師やコンサルタントとしても活躍中。