前回は、採用面接で本当に欲しい人材に出会った時はクロージングが必要であることをお伝えした。今回は採用活動の最後のステップとして、入社直後に経営者や社員が気をつけるべきことをお話したい。
採用した人材は、入社当初は少なからず、入った会社に対する理想と現実のギャップを感じるのが普通だ。面接で会社の姿を余すことなく伝えていたとしても、やはり相手の頭の中で想像している姿と現実の姿には、多少なりともどこか違いが出てしまうだろう。
「あれ? 聞いていたのと違うんだけど……」
「思っていたよりも仕事が難しくて、自分はついていけないかも……」
そんなふうに思われているかもしれない。大切なのは、ここで相手が感じたであろう違和感、理想と現実のギャップを「そのままにしない」ということだ。このためにまず必要なのは、情報収集である。
新入社員に対しては、経営者あるいは採用担当者、直属の上司が頻繁に声をかけ、仕事の感想や社内の雰囲気、人間関係の様子などを聞き出すようにしたい。また、本人の思いをじっくりと聞く時間を設けることも必要だ。週に1回程度の定期的な面談を実施するとよいだろう。
さらに、リーダーや先輩社員からも、新入社員についてヒアリングして、仕事ぶりや人付き合いなどを確認していく。当人の意見だけでなく、他者から見た際の様子も重要な情報なのだ。本人の思いや周囲の情報から、新入社員に理想の人材へと成長いただくために、本人に変えてもらいたい考え方や行動がある場合には、改めて面談を行い、しっかり伝えなければならない。
一方で、変えるべき点は新入社員側のみにあるわけではないだろう。募集要項や採用面接で伝えた会社の姿のほうが違うということもある。
「チームで目標達成を目指す」と言いつつ、忙しさから自分のことで精一杯になり、部下への配慮が足りなかった社員がいる
「成長できる環境がある」と言いつつ、新入社員への教育がおろそかになっている
せっかく来てくれた人材が、がっかりして去ってしまわないように、新入社員が感じる違和感、ギャップは絶対に注視しなくてはならないのだ。もし、新入社員の指摘が、経営者や会社にとって耳の痛い指摘だったとしても「新参者よりも先輩方のほうが正しい」などと決めつけずに、改めて組織を見直したい。
本当に欲しい人材が入社した時、それは、理念に沿った正しい経営ができているかを確認することができる絶好の機会でもあるのだから。
第12回に続く
※MSR2026年2月号掲載
(筆者プロフィール)
關 友信 株式会社チームエル
取締役CMO。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開開始と同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。