標準スキャンツールに新展開 自動車技術総合機構が基礎OBD情報を一元管理 純正スキャンツール貸し出し制度も新設

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八木 正純
標準スキャンツールに新展開 自動車技術総合機構が基礎OBD情報を一元管理 純正スキャンツール貸し出し制度も新設

 国土交通省は3月19日、AP東京八重洲(東京都中央区)で、第32回 自動車整備技術の高度化検討会を開催した。スキャンツールの機能拡充についての新展開と、検討会のもう1つのテーマである人材確保対策でも新たな試みが発表された。※以下の画像は検討会資料より抜粋

令和7年度困りごと調査結果→純正スキャンツールの困りごと調査

 昨年の7月31日から12月14日まで、自動車特定整備事業者に対して、「整備マニュアル、純正スキャンツールに関する困りごと調査」をWebアンケート方式で実施。503件の回答を得た。

 国産車に関するもの、輸入車に関するものと大きく2つに分けてのアンケートだったが、いずれも大半が整備マニュアルに関するもので、国産車では2000年前後の車種のデータがFAINESで網羅されていないこと、輸入車ではそもそも整備マニュアルの入手窓口が分からない(ディーラーに尋ねても分からなかった)といった声が寄せられた。

 また純正スキャンツールについては、入手窓口が分からない、入手が難しい、購入しようとしたが断られたなどの声が集まった。

 こうした事態を受けて、2026年4~12月の予定で、純正スキャンツールの提供に関する困りごとをより具体的に収集するための窓口を、Webフォーム方式で設置することが発表された(整備振興会を通じて二次元コードで周知予定)。現在、純正スキャンツールでないと対応できない事例が発生している一方で、純正スキャンツールを使いたくとも使えないという当面の状況を解消する取り組みだ。

標準仕様スキャンツールの新スキーム 自動車技術総合機構が情報を一元管理

 純正スキャンツールと同等の標準スキャンツールを策定する、スキャンツールの機能拡充スキームについては新たな動きが見られた。カーメーカーから基礎OBD情報(セキュリティ構築が不要なOBD情報)を一元的に購入し、その情報をツールメーカーに提供する第三者機関が自動車技術総合機構に決定した。

 2026年8月ごろを目処に、基礎OBD情報の提供を開始すべく、急ピッチで準備を進める。併せて、最終的なゴールである、「標準機」(純正同等のスキャンツール)とはどういった定義なのか、国が認定する制度の創設を検討するとした。

純正スキャンツールの活用拡充策として駆け込み寺、短期貸し出し制度を導入

 「標準機」が完成するまでの間、純正スキャンツールでしか対応できない整備については、暫定措置として純正スキャンツールでカバーするほかない。ただし、それを保有することが障壁となっている事業者に向けて、短期貸し出しと駆け込み寺(仮称)を試験導入することも発表された。

 いずれも、上記のようなケースがどれくらいの件数発生するのかが未知数であるため、まずは全国3地域(運輸支局単位を想定、詳細は調整中)に対して試験導入し、その結果次第で対象地域を翌年度以降に拡大する・しないを検討する。

 駆け込み寺は、純正スキャンツールでしか対処できない整備が発生した場合に、その整備を代行してくれる拠点を指し、ツールメーカーが保有・提携する整備拠点等を純正スキャンツール活用拠点として設定するもの。基礎OBD情報の提供開始と同じ、2026年8月ごろ開始予定としている。

 また、短期貸し出しは文字通り、純正スキャンツールの貸し出しを行う施策で、整備事業者からの依頼によって、準備が整ったカーメーカーから2026年度以降順次開始する。

人材確保に向けた取り組み 外国人留学生対応として整備士試験問題にルビを振る

 人材確保対策としては大きく2つの取り組みが発表された。1つは自動車整備業に必要な人材の確保に係る検討で、具体的には今後の取り組みのテーマを3つに設定。

  1. 自動車整備業のイメージアップ
  2. 整備士の認知工場・体験する機会の提供
  3. 整備士の処遇改善

の方向性で、調査・検討事項のターゲットも設定。就学前の児童、小学生~大学生、専門学校生、整備士候補としての整備要員や一度業界を離れた(潜在)整備士を対象として、様々な対応策を検討する。

 取り組みのもう1つは外国人材のさらなる受け入れ環境整備。こちらは取り組みテーマとしては2つで、

  1. 外国人材の長期的な活動に係る不安払拭や問題解決
  2. 外国人材受け入れに係る自動車整備事業者の不安払拭や課題解決

をそれぞれ外国人材、(受け入れ側の)自動車整備事業者、また両方に携わる立場として監理団体等を対象に、対応策を検討する。

 その一方で、より具体的な対応策として、近年、整備専門学校、大学校においても半数以上が外国人(留学生)という状況も相まって、新整備士制度が開始される2027年3月実施の整備士試験(2級、3級のみ)について、すべての漢字にルビを振ることを発表。

 問題が読めなくての不合格という悲劇を生まない取り組みとして、会に出席していた全国自動車大学校・整備専門学校協会の本廣好枝理事からも好評を得ていた。