「作成」と「提出・受領」フェーズ
第1回の記事では 自動車販売と自動車整備における官公署提出の書類の把握、その上で自社が行っているサービスで代行を伴うメニューがある場合、その名目が適切であるか、さらにはユーザーに不信感を与えないための名目について検証した。改正行政書士法の改正による車検代行料の名目変更は、クリーンな企業イメージ作りに貢献するとともに、法令違反から自社を守る重要な役回りともなる要素の一つとなる。
今回は実際に行政書士に依頼した際のオペレーションなどについて検証を行う。そこで重要になってくるのが、書類の「作成」と「提出・受領」の各フェーズに分けて考えると分かりやすい。

行政書士が担うのはあくまで書類の作成であり、書類の提出や新車検証、検査標章の受領は行政書士の無資格者でも、原則的に行うことが認められる。したがって依頼者本人が整備事業者に委任を行った上で、本人、もしくは行政書士が作成した書類を持参し、運輸支局の窓口で提出する行為は理論上問題なく、またそれに伴う申請・受領手数料などの請求も可能である。

ただし、申請の種目、地域によって申請手法の事情が異なるケースがある。たとえば、車庫証明の申請に当たっては申請者本人、もしくは行政書士(行政書士証の提示が求められる)のいずれかでないと受け付けをしない警察署窓口があるとの情報があり、注意が必要である。
申請後の書類などの受領については、OSSや電子車検証の普及で方法は変化しており、自社のサービスメニューとしての差別化や効率化が行いやすい。これらの業務をデジタル化すれば、サービスの品質を高められるとともに、サービスの利益率も向上させることができる。
行政書士との提携・連携条件とオペレーション
書類の提出を整備事業者が行う際に留意すべきは、申請書の不備により加筆、修正が伴うケースである。運輸支局近傍の代筆業者であれば、すぐに修正などを依頼できるが、そうでない場合、書類の行き来が伴う。行政書士事務所と新たに業務提携を行った場合などは書類不備の際に、どのような対処や対応を行うかを含めて、業務提携を構築することが望ましい。
特に自動車手続きに不慣れな行政書士の場合は特に注意が必要である。また、万が一の書類の紛失、手続きミスなどが発生した場合に備え、提携する行政書士には、行政書士賠償責任保険に加入しているかの確認も重要だ。

行政書士と連携する場合、ユーザーに示す委託料金には、自社が取り次ぎを行うコストなどをオンしても問題ない。ただし、ユーザーから信頼されるには、「行政書士委託料」や「行政書士委任料」などの名目で、資格者による書類作成を適切に行っている事実を明確にすると分かりやすい。
なお、窓口で不備を指摘された際、慌ててその場で修正してしまう行為もやはりNGである。たとえ、「バレなければいいだろう」と、人目のつかない場所で修正しても、重大な法令違反であることは間違いない。
改正法から「両罰規定」が追加。研修で社内のコンセンサスを
このような修正、追記などの軽微な記入でも行政書士法違反によって無資格者への罰則が適用される。違反を行った者に対し、「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科される。また、従業員が違反した場合は企業に罰金100万円が科される「両罰規定」が改正行政書士法より導入されており、会社としての社会的責任も負うことになる。
このため、改正行政書士法の社内研修を実施するなど、社内にて共有することが重要である。車販の営業マンや整備士に限らず、フロント、間接要員に至るまで全社体制で法令をアップデートすることが望ましい。軽微な追記などが個人判断で行われる可能性も否定できないため、たとえわずかな記入といえども絶対に行わない体制づくりが求められる。
「これくらいなら昔は許された」や「バレなければいい」という時代ではないことを全社員に自覚させるためにも、社内のコンセンサスを確実に得ることがとりわけ重要となる。透明性を確保したコンプライアンス経営の実践は、地域から選ばれる整備工場の第一歩である。
