整備業界の後継者不在率は全業種最高の59.7%—ジョイカルジャパンが加盟店研修で問いかけた「黒字でも廃業する時代」への答え

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八木 正純
整備業界の後継者不在率は全業種最高の59.7%—ジョイカルジャパンが加盟店研修で問いかけた「黒字でも廃業する時代」への答え

 全国566店舗(2026年4月1日現在)のネットワークを擁する同社が、「値引きに頼れない市場環境」と「黒字でも後継者不在で廃業する時代」という2つの構造変化を踏まえ、下期戦略・新商品動向・業界課題の解決策を加盟店と共有した。

 代表取締役社長 兼 CEO の早川由紀夫氏が登壇した下期活動方針では、主力サービス「セブンマックス」の現状報告と、新商品「イッカーズ」を軸にした戦略転換が発表された。

ジョイカルジャパン 早川由起夫社長

 「セブンマックス」は稼働店舗約480〜500店舗水準を維持しながら、年間申込件数が15,376件(8年目)まで成長しており、今年で10周年を迎えた。契約形態も従来の7年型中心から3年・5年・7年を同額で選べるプランへと進化し、顧客のライフスタイルに合わせた提案の幅が広がっている。

 今期の重点テーマとして打ち出されたのが、現金一括購入層という「最大の未開拓市場」への本格参入です。新車購入者の56.6%、中古車購入者の約68%が現金一括購入者であるにもかかわらず、カーリース・サブスクのシェアは依然として10%未満にとどまっている。

 同社が2026年4月に実施した独自顧客調査では、現金一括で新車を購入した顧客のうち保有期間が5年以上の割合が約7割、7年以上が半数超に上ることが判明した。また、長期保有者の7割以上が「維持費が負担」と回答しており、「所有したい」という理由で現金購入を選んだ顧客はわずか2.2%だった。

 この調査結果を受け、ジョイカルジャパンは「現金の顧客は崩せない層ではなく、比較提案次第でリースへの関心を持つ余地が大きい」と分析。3年間の維持費込み・クレジットカード決済対応・契約時一括精算という設計の新商品「イッカーズ」を、現場の商談における新たな「入口商品」と位置づけた。現金購入経験者を対象にした調査でも半数以上が同商品に関心を示しているとのこと。

 イベントでは5つのセッションが展開された。「モビリティクイーンズ」セッションでは、全国のジョイカル加盟店でカーリース販売を主導する女性スタッフのプロジェクトが紹介され、全国7店舗の女性スタッフが直近半年(2025年10月〜2026年3月)の販売実績と商談ノウハウを共有した。保険付帯率約9割を達成した店舗も現れており、リース販売とセットでの収益最大化という新モデルを体現している。

 加盟店スタッフのスキルアップを目的とした研修プログラムの紹介では、「知る」から「売れる」状態になるまで約2ヵ月間伴走する育成プログラムの内容が共有された。研修は年内に第103回(5月・満席)、第104回(8月)、第105回(11月)と約3ヵ月に1回のペースで実施される。

 岩手県宮古市の加盟店「オートセンター梅沢」の事例も紹介された。人口約4.3万人の地方都市に立地する同社は、2024年5月に次男が急遽Uターンして経営の立て直しを迫られるという危機的状況から出発し、開業後わずか1〜3月の3ヵ月でセブンマックス約15台、総販売25台、来店客の新規比率約90%を達成している。

 本イベントで最も重い問題提起となったのが、整備業界が直面する「事業承継」の現実。自動車整備業は帝国データバンクの2025年調査において全業種で後継者不在率が最も高い業界と位置づけられており、後継者不在率は59.7%に達している。2024年度の休廃業・解散は382件と過去最多を更新し、整備士の有効求人倍率は5.02倍と15年前の約4倍超に達している。

 また、2024年に後継者難を直接・間接の原因として倒産した企業455件のうち、約4割は経営者の急病・死亡が直接のトリガーでした。黒字廃業の割合は2024年で50%超となっており、「黒字でも廃業する」という事態が常態化している。

 承継形式にも変化が生じており、2025年には内部昇格(従業員承継・36.1%)が初めて同族承継(32.3%)を上回った。M&Aによる第三者承継も20.6%と一般化している。

 事業承継の成功事例として、富山県富山市の富山掛尾店(モービルハウス、代表取締役 松山健一氏)が登壇した。累積赤字7,000〜8,000万円という状況から、「急がない・一歩ずつ」、「店長たちが自ら目標を立てる参加型組織への転換」、「損益分岐点の公開とインセンティブ還元」という3つのアプローチで組織を再建した経験を共有した。登壇の中で「危機感だけでは人は動かない。夢・目標をセットにして初めて想いは伝わる」という言葉が語られている。

 代表の早川氏は「今、自動車整備業界は後継者問題・技術革新・市場変化という三重の課題に直面している。私たちは加盟店の皆様とともに、クルマとの関係をもっと自由に、人の”選べる”をあたりまえにする未来を創り続けたい」とコメントしている。

 次回の「全国JAM 21th」は10月14日(水)に東京マリオットホテル(東京都品川区)にて開催が予定されている。基調講演には「ジュリアナ東京」「ヴェルファーレ」の立ち上げやグッドウィル創業・東証一部上場などで知られる実業家・折口雅博氏が招聘される。

 イベントのダイジェスト動画は公式YouTubeにて公開されている。詳細は同社ウェブサイトにて。

▼「春JAM 20.5th」ダイジェスト動画|https://youtu.be/CVdsBKLSRkA?si=YD-Dqje-FGVpEQME