第3回 国土交通省自動運転社会実現本部を実施 金子大臣「自動運転の未来はもうそこまで来ている」

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古瀬 敏之
第3回 国土交通省自動運転社会実現本部を実施 金子大臣「自動運転の未来はもうそこまで来ている」

 国土交通省は6月8日、第3回「自動運転社会実現本部」を開催し、自動運転の普及がもたらす社会変容と、その早期実現に向けた具体的な方策について議論した。会議では、物流、交通、インフラなど多岐にわたる分野での現状と課題が共有され、金子大臣を本部長として省全体で取り組みを加速させる方針が確認された。

「自動運転社会で目指すべき姿」

 自動運転のメリットとして、移動の負担軽減による地域経済の活性化、人中心のウォーカブルなまちづくりの促進、職業運転手の高付加価値業務への移行、そして物流の効率化などが挙げられた。

 具体的に目指すべき姿として5つの項目が提示された。第一に「快適で移動しやすい地域の実現」であり、地方部での移動の足が確保されることで、地域経済の活性化や人々の居住地選択に変化が生じることが期待される。第二に「都市部における移動の足の利便性向上」では、路上駐車の減少や駐車場の不要化により、土地利用の考え方が変わる可能性が示された。

 第三は「自動車・交通産業の構造転換」である。交通事業者や自動車メーカー、システム事業者などの関係性が大きく変化する一方、移動体験そのものを売りにする新たなビジネスの創出も期待される。第四に「物流効率化の実現」では、長距離幹線輸送の24時間無人運行や、自動配送ロボットによるラストマイル輸送の革新が挙げられた。最後に「道路交通の安全性・円滑性の向上」として、路車協調システムによる移動の最適化が示された。

発言する金子恭之大臣

「ラストマイルから港湾、道路維持管理まで」

 続いて、ラストマイル物流における自動配送ロボットの社会実装について説明。すでに運用が開始されている晴海地区での商品配送サービスや、大規模マンション内での館内配送など、先進的な取り組みへの支援を継続する考えを示した。

 港湾分野では、名古屋港における自動搬送台車(AGV)の活用事例を紹介した。コンテナターミナル内での横持ち輸送を自動化することで、作業の効率化と安全性の向上を図っている。特に、ターミナル外から出入りする有人のトレーラーとAGVが同じエリアを走行する点は、海外の事例にはない日本の特徴であると述べられた。

 さらに、安全円滑な移動を実現するためのインフラ連携の方向性を示した。道路構造上、車両のセンサーだけでは補えない死角をインフラ側からの情報提供で補完することや、高速道路でのトラック隊列走行、一般道での自動運転バスなど、走行環境に応じた連携のあり方を提示。また、道路の巡回パトロールや除雪作業といった維持管理業務に自動運転技術を導入し、省人化を進める方針も明らかにされた。

神奈川中央交通の自動運転バス
NEXCO 中日本の自動運転除雪車

「未来はもうそこまで来ております」

 最後に、本部長である金子大臣が総括を行い、今後の取り組みを加速させるため4点の指示を出した。第一に、自動運転の普及に伴う社会変容に的確に対応するため、中長期的な視点で必要な制度・環境整備の検討を進めること。第二に、ドライバーの介入をほとんど必要としない高度な自動運転システム(L2++)を搭載した自家用車の普及を強力に促す施策を検討すること。

日産の自動運転車両
WAYMOの自動運転タクシー

 第三に、国土交通省自らが所管する行政分野、特に直轄国道のパトロールや航空、港湾分野において自動運転を積極的に活用していくこと。そして第四に、社会実装を一層加速させるため、予算要求に向けて万全の準備を行うことを指示した。大臣は、「私たちが子どもの頃に思い描いていた未来の社会は、夢物語ではなくなり、現実のものとして目の前に到達してきている」と述べ、「国土交通省の総力を挙げて果敢に取り組んでいきましょう」と締めくくった。

 今回の会議は、自動運転技術が単なる技術開発の段階を終え、具体的な社会実装のフェーズへと移行したことを明確に示した。今後、技術的な課題解決と並行して、社会変容を見据えた制度設計、インフラ整備、そして国民の理解と受容性の醸成が、未来社会を実現する上で重要な鍵となる。国土交通省が示したロードマップは、その実現に向けた力強い一歩となるだろう。

様々な自動運転車両を視察する金子大臣