【猫バンバン】とは
車のエンジンルームやタイヤの隙間に入り込んだネコを驚かせて逃がすために、乗車前にボンネットを軽く叩いて音を出すアクション
「猫バンバン」と聞いて、冬の寒い朝に行うものだと思っていないだろうか。
実は、JAF(日本自動車連盟)への「エンジンルームに動物が入り込んだ」という救援要請は、冬場だけでなく「6月」にも急増する傾向にある。
「まさか今の時期に?」と油断してエンジンをかけると、猫の命が奪われる痛ましい悲劇が起きるだけでなく、数十万円という高額な修理費用を請求されることにもなりえる。
なぜ、猫は6月にエンジンルームへの侵入してしまうのか、そして猫の命と愛車、財布を守るための正しい【猫バンバン】のやり方を解説する。

なぜネコちゃんは冬ではなく6月の梅雨時にエンジンルームへの侵入が増えちゃうの?
エンジンルームに入り込むのは「暖を取る」ためが一般的な猫の侵入である。
では、猫はどうして6月のジメジメした梅雨の時期にエンジンルームに入り込んでしまうのか。その理由は大きく分けて2つある。
- 春に生まれた子猫が活発に動き出す時期だから
春先(3〜4月)は猫の出産ラッシュになる。6月になると成長した子猫たちが歩き回るようになるが、好奇心が旺盛なことやまだ体が小さいため、タイヤの隙間から簡単にエンジンルームの奥深くへと入り込んでしまうためである。 - 梅雨の雨風をしのぐため
突然のゲリラ豪雨や長雨が続くこの時期、濡れることを嫌う猫にとって、雨風を完全に防げて狭くて薄暗い車のエンジンルームやタイヤハウスは、絶好の「隠れ家」になってしまう。また、猫はもともと狭い場所や暗い場所を好む習性があり、しばらく動かしていない車となると、そこに定着してしまう恐れもある。

気づかずにエンジン始動は大惨事!高額修理と心のトラウマ
考えたくもないが、万が一エンジンルームに猫が潜んでいることに気づかず、そのままエンジンをかけてしまったらどうなるだろう。
回転するファンベルトなどに巻き込まれれば、尊い小さな命が奪われるだけでなく、愛車にも壊滅的なダメージを与えることとなる。そして何より、ドライバー自身の心に一生消えない深い傷を残すことになるのである。
- ベルトの断裂・内部パーツの深刻な破損
- エンジンルーム内の徹底的な洗浄・消臭作業
- 最悪のケースではエンジン丸ごとの交換
動物が巻き込まれてしまった場合の修理は、通常の部品交換よりもはるかに複雑で手間がかかる。洗浄作業なども含めると、最低でも数万円、ひどい場合には10万〜30万円オーバーの高額な修理見積もりが提示されることも少なくない。
この痛ましい悲劇を未然に防ぐためには、車に乗る前の「ほんの数秒の確認」が鍵を握る。それこそが、全国に広まっている【猫バンバン】である。
力任せは逆効果!【猫バンバン】の正しいやり方
「とりあえずボンネットを力いっぱい叩いて追い出せばいいんでしょ?」と思っている腕力自慢のオーナーさんは注意が必要となる。
想像してみれば分かるであろう。あなたが暖かいベッドで熟睡しているところに、突然耳元で爆竹を鳴らされたらどうなるだろう? どんな屈強な大人であろうと間違いなく飛び起きてパニックに陥りることだろう。
猫も全く同じである。突然「バンバン!」と爆音が鳴り響けば、パニックを起こしてエンジンルームのさらに奥深くへと入り込み、身動きが取れなくなってしまう危険性がある。【猫バンバン】は、正しいステップで行うことが何よりも重要である。
1. まずは「無音」で気配を探る
いきなり叩くのはNGである。まずは車の周囲で立ち止まり、「ニャー」というかすかな鳴き声や、カサカサと動く気配がないか、静かに耳を澄ませるようにする。そう、小川のせせらぎを聞くように。
2. ボンネットを「優しく」ノックする
面接室のドアを叩くようなイメージで、指の関節を使ってボンネットを数回「コンコンコン」と優しくノックする。借金の取り立てのように激しく叩くのは、車が凹む原因になるだけでなく、猫を怯えさせて奥へ逃げ込ませてしまうので絶対にやめるべきである。
3. 再び耳を澄ます
ノックをした後、中で何かが動く気配がないか再度確認する。もしかすると、アンティークショップにいそうな猫の男爵や、不思議な太っちょ猫が中で雨宿りをしているかもしれない。
4. 気配を感じたらボンネットを開ける
もし少しでも気配を感じたら、絶対にエンジンをかけてはいけない。ボンネットを開けて猫の姿を確認するようにすることが最善である。 「ほら、美味しいご飯だよ〜」と優しく声をかけて獲れたての新鮮な魚介を見せるも、冷ややかな目で見つめ返されるだけかもしれない。しかし、そこで焦ったり怒ったりするのは禁物である。どうしても奥から出てこない場合は、無理やり引っ張り出そうとせず、JAFやご加入のロードサービスにプロの救援を依頼するのが最も安全で確実な方法だということを忘れないでもらいたい。

愛車への侵入を根本から防ぐ!効果的な予防と対策グッズ
毎朝の出勤前、慌ただしい時間帯に毎回ボンネットを叩く作業を煩わしく感じる気持ちはよく分かる。また、青空駐車場などで日常的に猫の姿を見かける環境であれば、そもそも「車に近づかせない」ための事前対策を打つことが最も効果的である。
猫よけスプレー・忌避剤の散布
猫が嫌悪感を抱く柑橘系やハーブ系のニオイがする忌避剤を、車の周囲やタイヤ周りに撒いておく定番の手法だ。これによって、猫は自然と車を避けるようになる。ただし弱点として、雨で成分が流されてしまう点が挙げられる。梅雨時や悪天候が続くシーズンは、こまめな再散布が必要不可欠だ。
超音波式猫よけセンサーの設置
駐車スペースの付近に、猫が不快に感じる超音波を発するセンサーライトなどを設置するのも有効な手段である。しかし、住めば都ということわざがあるように、猫も同じ音には次第に慣れてしまうたくましさを持っている。導入するのであれば、超音波の波長を自動でランダムに変化させる機能を持つ製品を選ぶのが賢明だ。 さらに一つ注意点がある。この記事を読んでいる大半の読者の耳には届かないだろうが、超音波はモスキート音と同様、子どもや若い世代の耳には鋭く不快に聞こえてしまうケースがあるため、周囲への配慮も忘れてはならない。
たった数秒の思いやりが、愛車と小さな命を救う
動物がエンジンルームに潜り込むトラブルは「冬の風物詩」と思われがちだ。しかし実際には、雨露をしのぐ場所を探す梅雨時や、子猫の行動が活発になる今の季節こそ、最大限の警戒が求められるタイミングである。「ジメジメしているし、まさかこんな日には入っていないだろう」という少しの油断が、猫の命を奪い、オーナーの心を折り、さらには財布に深刻なダメージを与える悲劇を引き起こすのだ。
悲劇的な事故を防ぎ、想定外の高額な修理費に涙を流さないためにも、車に乗り込む前の「コンコンコン」という数秒の確認アクションを、ぜひ今日からの習慣にしていただきたい。
