エンジンオイル不足はいつ解消される? 全部協・森川理事長が語る中東情勢の現状

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八木 正純
エンジンオイル不足はいつ解消される? 全部協・森川理事長が語る中東情勢の現状

森川等氏
全日本自動車部品卸商協同組合 理事長

整備工場やガソリンスタンド、ハイヤー・タクシー・バス・トラック等の運送事業者に自動車補修部品及び関連製品を販売・供給する卸業者「地域部品商」によって構成される全国組織の事業協同組合。
自動車部品・用品の共同購入・あっせん事業、独自ブランド「Zen-ERiC」販売などの経済事業をはじめ、自動車メーカーとの取引条件交渉の支援や関連技術の研究、セミナー・研修の実施、各種情報提供などの活動を通じて、中小企業が多数を占める地域部品商の経営基盤強化や社会的地位向上を目指している。

整備工場に部品・用品、工具などを供給している身近な存在が地域部品商だ。直近の中東情勢に起因して現場の状況はどうなっているのか。部品商の全国組織、全日本自動車部品卸商協同組合(全部協)の森川等理事長に話を聞いた。取材日:6月24日

まだまだ厳しい状況が続いている。さかのぼれば、中東情勢の影響が出始めた時に、一部の部品商が買い占めたという話もある。週刊誌やテレビで、「なくなるのではないか」と報道されたことに敏感に反応したのだろう。

0W-20や5W-30といった主力のものについては、まだまだ需要に供給が足りておらず、2月、3月分のバックオーダーの解消に追われているような状況だ。一方で純正メーカーも供給が足りていないと見られ、たとえば日産自動車でも中国製のオイルを輸入すると発表しているが、結構値段が高く、しかも品質は大丈夫なのだろうかという危惧もある。

中でも特にDH1、DH-2といったディーゼルエンジン用のオイルはまったくものがなく、厳しい状況だ。アドブルーの在庫不足も特に顕著で、一度買い占められてなくなったが、今はほぼ回ってきている。おそらく、買い占めた人が不要になってまた市場に出てきたのだと思う。

パーツクリーナーもメーカーによっては出し渋りをしているのだと思われ、そんなに潤沢には入ってきていない。トヨタモビリティがディーラー向けに受注止めをしているくらいなので、かなり厳しいのだと思う。

タイヤはまったく問題ない。ただし、ブリヂストンが9月に値上げをすると発表しているので、現在、出荷調整に入っている。駆け込みで大量に買われないようにしているのだと想像できる。出荷調整をして値上げを待っている状況ではないか。

ブレーキオイルも供給不足に陥っている。ATFやCVTFは、ペール缶であれば手配できるが、やはり頼んでもすぐに入って来ない場合もあり、在庫のあるところとないところの差は大きいと感じている。

整備工場は大なり小なり何とかしのいでいる状況だと思う。物の有無よりも、そもそも仕事の量を一定数確保できているので、何とかやり繰りできているようだ。むしろ流通業者のほうが、今回の中東情勢とは別に、以前から言われている人手不足の関係で厳しい状況にあるのではないか。

先日、経済産業省にも話を聞いたが、本当にやるべきことはやっていると感じた。中東情勢に関する関係閣僚会議の場で、目詰まり解消や買い占めされないような対策が議論されていると聞いている。

しかし、在庫を抱えている業者やメーカーが協力要請に応じ難いようで、国がどういう施策を打ってくれるか期待したい。7月になって改善するというのは残念ながら希望的観測で、そんなにうまくいかないのではないかと感じている。

国土交通省からオイル直販の話も聞いている。たとえばアスクルのサイトでシンナーが直販できるになったように、エンジンオイルなどもそういったサイトで直販体制を構築してもらえたら、話は変わってくるかもしれない。既存のルートだとなかなか物が出てこないので、早く普通の流通に戻ってほしいと願うばかりで、それがいつになるかは何とも言えない。

経済産業省や関連省庁には、色々なつながりを使って「早く物を潤沢に出してほしい」との要請はしている。ただ、どこまで頑張ってくれるか見えないところがあり、お願いする以外に方法がないのが現状だ。

我々の部品供給ルートで動いたとしても、ないものは出せないという状況なので、あとはメーカーや在庫を持つ流通業者が、利害を度外視して潤沢に供給してくれることを願うばかりだ。

全部協全体としては、今のところ特に動きはない。ただし、そうした備えに目ざとい組合員もいるので、各社で必要なものについては備蓄しているようだ。本部から言われずとも自主的に取り組んでいる部品商が多数いることについては、ひと安心している。

毎年暑くなるのが早くなっているので、エアコン関連部品の動き出しが早くなっている。中東情勢がなければ、むしろそちらのほうに皆の目が向いていたのではないかと感じる。実際、4月ぐらいからエアコン関連部品はすぐになくなった。

整備工場はオイルのことで毎日「早く持ってきてほしい」と言われるが、これから本格的に気温が上がってくるとエアコンの部品が壊れる。場合によってリビルト部品も手配しなければならず、そちらの品が薄くなってくる。今はオイルのことで騒いでいるが、暑くなると今度はエアコンのほうにシフトしてくるだろう。