国土交通省物流・自動車局は、令和9年度予算概算要求の概要(→組織別の要求概要)を8月28日に公表した。総額は一般会計265億円、自動車安全特別会計921億円の合計1,186億円となり、前年度当初予算比1.7倍の規模となる。
自動車整備業に関係する施策は複数盛り込まれており、人材確保・育成への支援強化と、先進安全技術に対応したスキャンツールの導入補助が特に注目される。
自動車整備業の有効求人倍率は5.15倍 人材確保策を強化
自動車整備業の有効求人倍率は5.15倍(令和7年度)に達しており、全業種平均を大幅に上回る人材不足が続いている。
こうした状況を踏まえ、国土交通省は令和9年度予算として「自動車整備業の人材確保・育成の推進」に277百万円を要求した。前年度予算額197百万円から1.4倍の増額となる。財源は一般会計と自動車安全特別会計(自動車検査登録勘定)の双方から充当される。

主な支援内容は以下の通り。
- 整備士の働きやすい職場の先駆的取り組みの調査
- 若年層等への整備士体験や職業PRの実施
- 整備事業者間または他分野間の連携支援
- 円滑な外国人材受入れに関する調査
- 養成施設における人材確保・育成対策(設備・教材・学生確保支援策等)の効果検証
また、修理工賃の実態調査も実施される。多様な車種における事故車修理の標準作業時間の調査と工賃等の動向調査が対象となる。修理工賃は「標準作業時間×工賃単価」の合計で算出されるため、標準作業時間の整備は整備事業者の適正な収益確保にもつながる取り組みと位置付けられている。
スキャンツール導入補助を継続 高度化への対応も調査
先進安全自動車(ASV)の普及に伴い、整備現場でのスキャンツールの必要性は一層高まっている。
国土交通省は「先進安全自動車の整備環境の確保事業」として649百万円を要求した。前年度392百万円から1.65倍の増額となる。財源は自動車安全特別会計(自動車事故対策勘定)から充当される。
スキャンツールとは、自動車のコンピューターに接続し、衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全装置の故障情報を読み出すためのツールだ。先進安全装置の誤作動を防ぐ点検整備には不可欠とされ、自動車の高度化に伴いさらなる高機能化が求められている。

予定している補助の概要は次の通り。
- 補助率:購入価格の1/3または1/4※ ※機能が限定される一部スキャンツールのみ
- 補助上限額:1事業場当たり最大30万円
併せて、スキャンツールの普及促進に向けた実態調査も実施される。自動車の高度化に対応した機能や汎用性、整備事業規模別の使用実態等を調査し、課題と解決策を検討するものだ。
自動車検査登録手続のDXも大幅拡充 2028年1月に次期システム導入予定
自動車登録検査手続のDXに関する予算要求額は12,375百万円で、前年度5,979百万円から2.1倍に増額された。財源は自動車安全特別会計(自動車検査登録勘定)から充当される。

2028年1月に次期MOTAS(自動車登録検査業務電子情報処理システム)の導入が予定されており、これに合わせて以下の3点を推進する。
- ペーパーレス化:自動受け付け機の導入によるデジタル入力の実現
- キャッシュレス化:クレジットカード・二次元コードによる手数料・税の納付
- OSSの利便性向上:対象手続の拡大、平日夕方・土日祝日の審査等
整備事業者が関与する車検手続の利便性にも影響する変更であり、現場での対応準備が求められる。
予算5本柱の全体像
令和9年度の予算概算要求(→全体総括)は、以下の5本柱で構成されている。
- 「総合物流施策大綱」を踏まえた物流革新の抜本的強化(20,948百万円)
- 自動車運送業及び整備業における人材確保等の推進(6,207百万円)
- 自動運転社会に対応したDXの推進等(15,679百万円)
- 脱炭素社会の実現に向けた自動車分野のGXの推進(1,210百万円)
- 自動車事故被害者救済、事故防止・安全対策の推進等(26,101百万円)
整備業界にとって直接関連が深い「人材確保」と「スキャンツール補助」はともに前年度比で増額要求となっており、政府が担い手不足への対応を重視していることが数字に表れている。
