軽油1ガロン6ドル(約912円)に高騰、トランプはなぜ原因をウクライナに押し付けるのか

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古瀬 敏之
軽油1ガロン6ドル(約912円)に高騰、トランプはなぜ原因をウクライナに押し付けるのか

 米国のトランプ大統領は13日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアのディーゼル燃料(軽油)関連施設への攻撃を停止するよう要求した。この攻撃が世界的な軽油の供給不足を引き起こし、米国内の価格高騰を招いたと主張している。この発言は、米国の軽油価格が11日に過去最高値を更新したことを受けたものとみられる。

軽油高騰は「ゼレンスキー氏のせい」…トランプ大統領、ロシアのディーゼル燃料施設への攻撃停止するよう要求 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/world/20260914-GYT1T00007

中東情勢ではなく、ロシアとウクライナで起きている事態によるものだ

 米国では11日、軽油の平均価格が1ガロン(約4リットル)あたり6ドル(約912円)を突破し、過去最高値を記録した。11月に中間選挙を控えるトランプ政権にとって、この燃料価格の高騰は大きな打撃となる。価格上昇の背景には、米国による対イラン軍事作戦の影響も指摘されている。

 しかし、トランプ大統領はこうした見方を否定。「中東情勢で引き起こされているのではなく、ロシアとウクライナで起きている事態によるものだ」と一方的に主張し、原因をウクライナの軍事行動に求めた。

フランスでは、軽油の代わりに菜種油を入れる人も……

 燃料価格の高騰は、米国だけの問題ではない。フランスでも価格上昇は深刻化しており、軽油は現在1リットルあたり約2.28ユーロ(約406円)に達している。この状況下で、一部のドライバーはスーパーマーケットで販売されている食用の「菜種油」に目をつけた。報道によれば1リットル約0.80ユーロ(約142.51円)と、軽油に比べて格段に安価である。

 古いディーゼル車であれば、菜種油を燃料としてエンジンが実際に動く場合があるため、タンクに直接注入する人々が現れているという。しかし、この行為は極めて危険であり、専門家は警鐘を鳴らす。フランスでは、一般の自家用車で食用の菜種油をそのまま燃料として使用することは法律で認められておらず、罰則の対象となる可能性がある。さらに、近年のディーゼル車では燃料噴射装置などを損傷させ、高額な修理費につながるリスクも高いため決して真似してはいけない!

ウクライナの責任にすることのはおかしい!

 トランプ大統領の発言や燃料高騰を巡る状況に対し、インターネット上では様々な意見が交わされている。フランスで見られる菜種油の使用については、「菜種油に含まれるグリセリンがエンジン内にへばりついて酷い目に合う」と技術的な危険性を指摘する声や、「日本も戦時中、松根油使おうとしてたからね」と歴史を振り返るコメントが見られた。

 一方、トランプ大統領の主張に対しては批判的な見方が多い。「原油高になった原因はアメリカのイラン戦争ですよ。アメリカの自業自得で、ウクライナの責任にすることはおかしい」として、原因の所在が違うのではないかという指摘がある。また、「なぜトランプはロシアに対して『ウクライナに燃料インフラへの攻撃を止めるように言うから、ロシアもウクライナへのインフラ攻撃はやめてくれ』と、言わないのか」と、トランプ氏の交渉姿勢を疑問視する声も上がった。

 ウクライナによるロシア石油精製施設への攻撃は、反撃の糸口として見いだされた重要な戦術であり、ロシア国内の反戦機運を高める狙いもあると分析されている。そのため、攻撃停止を求めるのであれば、ロシア側からも相応の譲歩を引き出すべきだという意見は根強い。ウクライナが受けたインフラ被害の方が甚大である事実を指摘し、トランプ氏の姿勢に異を唱える側近はいないのかと、その政権運営にまで言及するコメントも見られる。

 エネルギー価格の問題は、単なる経済指標にとどまらず、国際政治の力学や各国の国内事情、そして市民生活の現実に直結する複雑な様相を呈している。トランプ大統領の一方的な要求は、解決に向けた建設的な対話ではなく、責任の転嫁に過ぎないとの批判は免れないだろう。今後、エネルギー安全保障を確立するためには、地政学的リスクを直視し、特定の国に責任を押し付けるのではなく、国際社会が連携して安定供給に向けた道筋を探ることが不可欠となる。