BYDも教育する明治産業が杉並にEV整備拠点、「EVビジネスの核心はバッテリーマネジメント」と明言

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古瀬 敏之
BYDも教育する明治産業が杉並にEV整備拠点、「EVビジネスの核心はバッテリーマネジメント」と明言

 明治産業(東京都千代田区、竹内眞哉社長)は10月19日、EV整備技術のトレーニングおよび最新設備の検証拠点となる新施設「Seiken e-Garage(セイケン・イーガレージ)杉並」のオープニングセレモニーを開催した。

 同施設は、普及が進む電気自動車(EV)の整備技術、特にバッテリーマネジメントに特化したトレーニング拠点として設立された。施設の1階には「BYD AUTO 東京杉並サービスセンター」を設置し、BYD車両の点検・整備などのアフターサービスを行う。2階の「Seiken e-Garage 杉並」とともに、EVの整備サービスと技術力向上を支える拠点として活用していく。

物販からサービスを含めた販売へ

 オープニングセレモニーの冒頭、明治産業の竹内眞哉社長が登壇。同社の事業モデルが、単なる部品販売から、技術的なサポートやトレーニングといったサービスを含めた形へと変化している現状を語った。その象徴が「Seiken e-Garage」である。

 近年では、日本市場に参入したBYDのディーラー向けにEVの取り扱い方を教育するなど、電動化への対応を強化してきた。竹内社長は、多くの中古EVの価値が下がる一因として、バッテリーの状態が不明確な点を指摘。整備工場がEV整備を敬遠しがちな現状を変え、メカニックに必要な知識と技術を提供することが、この「Seiken e-Garage 杉並」の使命であると強調した。

竹内眞哉社長

EVビジネスの核心はバッテリーマネジメント

 続いてプレゼンテーションを行った小野庸司チーフトレーナーは、杉並の新施設がEVを主軸に、モーター、バッテリー、制御系を体系的に学ぶための拠点であると説明した。同社が展開する「Seikenサービスショップ」ネットワークは、「技術トレーニング」「最新テスターの供給」「整備ネットワーク構築」「部品供給」の四つを柱としており、杉並では特にバッテリーマネジメント関係のトレーニングに注力する。

 EVユーザーが抱える最大の不安は、高電圧バッテリーの性能低下である。この不安を解消することが、EV整備ビジネスの根幹となる。消耗部品が少ないEVでは、従来のビジネスモデルが成り立ちにくいため、付加価値の高いサービスを提供し、工賃を上げていく必要がある。その鍵となるのが、バッテリーの健康度(SOH)を正確に診断する技術だ。

 リチウムイオンバッテリーは使用に伴い、内部にデンドライトと呼ばれる結晶が堆積し性能が劣化する。これに対し、パルス充電器を用いて結晶を除去するメンテナンスを提案。約2時間かかるこのメンテナンス時間を、タイヤやエアコンの点検といった他のサービスを提案するビジネスチャンスと捉える。さらに、バッテリー内の各セルの電圧差を5%以内に保つためのバランシング作業など、専門的なメンテナンスの重要性を説いた。

小野庸司チーフトレーナー

整備効率を上げる最新テクノロジー

 EVビジネスはバッテリーだけでなく、車体全体に及ぶ。特に、静粛性が高いEVではタイヤから発生するノイズが目立ちやすく、重量増により足回りへの負担も大きい。そのため、タイヤの溝やアライメントのチェックが重要となる。同社では、中国スマートセーフ社製の省スペースでBluetooth接続が可能なアライメントテスターを導入し、日本の整備工場が抱える作業スペースの課題に対応する。

 また、先進運転支援システム(ADAS)の校正(キャリブレーション)も不可欠だ。従来は車両とターゲットを正確に正対させる作業に多くの時間を要したが、ドイツのMAHLE社が開発したシステムは、モニター側で位置を自動補正することで作業を大幅に効率化する。さらに、MAHLE社とローデ・シュワルツ社が共同開発したレーダー調整ユニットは、従来3m程度の距離が必要だった作業を50cmの至近距離で可能にし、省スペース化と高効率化を両立させた。

省スペースに対応したエーミングツール MAHLE TechPRO® Digital ADAS2.0

 「Seiken e-Garage杉並」の開設は、明治産業が単なる自動車部品商社から、電動化や自動化といった時代の要請に応え、陸から空までを網羅する総合モビリティ企業へと飛躍するための重要な一歩となる。ここで培われる最先端の技術と知見が、日本の整備業界、さらには物流やインフラの未来をどのように変えていくのか、その挑戦から目が離せない。

Seiken e-Garage 杉並の施設外観