スズキは2026年度上半期(4~9月)の世界販売台数が182万台となり、前年同期の4位から2位に浮上した。ホンダと日産自動車を抜いた。読売新聞の報道によると、自動車大手7社が10月29日に発表した。上半期の世界販売台数でスズキが2位になるのは初とみられる。
ここでいう「世界販売台数」は、各メーカーが全世界で販売した台数の合計を示す統計項目名である。「2位」は、トヨタ、スズキ、ホンダ、日産、マツダ、SUBARU、三菱自動車という日本の自動車大手7社の比較での順位である。フォルクスワーゲン、現代自動車グループ、ステランティス、GMなど海外メーカーを含む世界ランキングでの2位ではない。
読売新聞
自動車の世界販売台数スズキ2位浮上…2026年度上半期、ホンダと日産を抜く
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20261029-GYT1T00344/
国内大手7社の比較で、スズキは過去最高の182万台を記録した
スズキの世界販売台数は182万台で、前年同期比19.9%増だった。読売新聞は、インドで新型車などを相次ぎ投入したことが寄与し、上半期の世界販売台数として過去最高になったと伝えている。
一方、7社の販売台数の合計は前年同期比1.4%減の1166万台だった。全体が小幅に減少するなかで、スズキは大きく伸びた。両者の対比が今回の順位変動を特徴づけている。
軸となるのはインドでの新型車投入
読売新聞の記事が示す要因は、インドでの新型車の相次ぐ投入である。その背景を理解する材料として、ジェトロ(日本貿易振興機構)が2025年12月に公開したスズキ幹部へのインタビュー記事がある。ただし、以下は当時の見立てや状況であり、今回の上半期の販売増を直接示すものではない。
ジェトロの記事によると、スズキはインドの乗用車市場で約4割のトップシェアを持つ。2025年3月期連結決算では、インドの売上収益は2兆4,476億円でグローバルの42%を占めた。四輪車事業でのインドの販売台数は179万5,000台で、55.4%を占めた。これらは2025年3月期の数値であり、2026年度上半期の数値ではない。
同記事では、インド政府が2025年9月22日に物品・サービス税(GST)の新税率を施行し、スズキが得意とする小型車などの税率が引き下げられたと説明されている。また、2025年9月3日には新型SUV「ビクトリス」を発表した。インドの乗用車市場では販売比率の6割がSUVといわれるが、同社はこの分野の対応が遅れていたという。スズキの幹部は、SUVで来年度以降に巻き返しを図る考えを示していた。さらに、同社初のBEV「eビターラ」も2025年度中にインドで発売予定とされていた。
同記事では、GST引き下げによる需要喚起の影響について、慎重に見る必要があるとの認識も示されている。
同じ期間、トヨタは中国の不振で減少した
比較のために、読売新聞が伝えたトヨタの例を見る。トヨタ自動車の2026年度上半期の世界販売台数(トヨタ、レクサス両ブランド)は、前年同期比4.0%減の505万9014台だった。年度上半期として2年ぶりの減少である。
読売新聞は、中国市場での販売低迷が響いたと報じている。中国では中東情勢悪化に伴うガソリン価格高騰で、ハイブリッド車(HV)やガソリン車の販売が伸び悩み、25.1%減の68万4903台となった。これはトヨタ単体の事例であり、業界全体や他社の状況に当てはめられるものではない。
一方、トヨタの北米は1.8%増、欧州は1.4%増、国内は12.4%増だった。HVの世界販売は8.4%増の236万8674台、電気自動車は2.2倍の23万764台で、いずれも過去最高だった。
インド市場への依存と今後の注目点
今回の順位の変動は、日本の自動車大手7社の比較で、スズキがインドでの新型車投入を軸に過去最高の182万台を記録したことによるものである。7社合計が前年同期比1.4%減となるなか、スズキは19.9%増だった。
では、この伸びはどこまで続くのか。ジェトロの記事では、スズキがインドを製造・輸出拠点として位置付けを強めていること、SUVやEVへの対応を進める方針であることが示されている。一方で、インド依存度の高さは、同国の市場動向の影響を受けやすいことも意味する。ジェトロの記事によると、中国系サプライヤーのインド参入も進んでおり、中国メーカーの価格面での強みは脅威となりうると、スズキ幹部は述べていた。今後は、インドでの新型車の販売動向や、各社の通期の販売台数が注目される。