前回は、社員旅行を単なる福利厚生ではなく、組織を強くするチームビルディング施策として位置付ける重要性を紹介した。
しかし、どれほど充実した社員旅行を実施しても、それだけで組織が変わるわけではない。そこで生まれた一体感は、時間とともに薄れていく。大切なのは社員旅行で深まった関係性を日常へとつなげる仕組みを整えることだ。
人が定着する会社には、意図的につくられたコミュニケーションの場が数多く存在する。経営計画発表会や全体会議、定期面談、社員旅行などは、会社が設ける「公式」の場だ。
参加を原則必須とし、年間スケジュールに組み込み、必要な予算も確保する。経営者が「会社として大切にしている時間」であることを明確に示す必要がある。
一方、組織の一体感を深める上では、仕事の合間や業務外に生まれる「非公式」の場も欠かせない。
休日の過ごし方やクルマの話で盛り上がる昼休みの雑談、一緒に食事へ行く機会、趣味を通じた交流など、肩書きを外した関わりの中で人間関係は深まっていく。会社は、こうした交流が自然に生まれる仕組みも用意したい。
たとえば、社員3人以上で業務時間外に食事やレジャーを楽しんだ場合に補助金を支給する「同好会制度」や、役職者と部下との食事代を会社が補助する制度がある。歓迎会や忘年会、打ち上げなど、目的を明確にした懇親会も有効だ。
重要なのは、単に飲み会を増やすことではない。仕事中には見えない一面を知り、互いの理解を深める機会を増やすことに意味がある。
会社アルバムの作成も効果的だ。イベントや研修、社員旅行、BBQなどの写真をクラウドで共有し、休憩室にも掲示する。写真を見返すことで会話が生まれ、共通の思い出が組織の一体感を何度でも呼び起こしてくれる。
人が辞める原因は、給与だけではない。人間関係や職場への帰属意識も大きく影響する。交流費を単なる経費と捉えれば、採用や教育にかけた投資まで失いかねない。
社員が「この会社の仲間で良かった」と感じる機会を意図的に設計する。その積み重ねが定着率や部門間連携を高め、理念の浸透、顧客満足、業績向上へとつながる。人材不足の時代だからこそ、人と人とのつながりを育てる仕組みに投資することが重要なのだ。
(筆者プロフィール)
關 友信 株式会社チームエル
取締役CMO。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開開始と同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。
