付着物はゼロ! 水を使わず自動車パーツを新品同様に、ドライアイスクリーナー体験会レポート

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古瀬 敏之
付着物はゼロ! 水を使わず自動車パーツを新品同様に、ドライアイスクリーナー体験会レポート

 アスナルが主催、グリーンテックジャパン全面協力のもと、「ドライアイスクリーナー洗浄体験会」が8月18日、あいおいニッセイ同和自動車研究所埼玉センターで開催された。当日はカーディテーリングや中古車販売などに携わるプロフェッショナルたちが集い、次世代の洗浄技術への高い関心を寄せた。

これは必ず日本でも広がるなと確信しました

 主催者であるアスナルの宮崎社長は、4年前に国際オートアフターマーケット展でグリーンテックジャパンのドライアイスクリーナーと出会った。当時は大型の機械しかなく、ディテーリングへの転用は難しいと感じていたが、「来年には小型機種が発売される」という話に大きな期待を寄せたという。

 その翌年、イギリスのディテーリングショーを視察した際、複数のドライアイスクリーナーメーカーが出展している光景を目の当たりにする。現地のディテーリングショップでは、掃除機やリンサーと並んでドライアイスクリーナーが当たり前のように置かれていた。この経験から「これは必ず日本でも広がる」と確信し、小型機種の発売を機に代理店となってカーディテーリング業界での普及を決意した。

 現在、日本でもディテーリングショップや中古車販売店、さらには量販店であるスーパーオートバックスなどでも導入が進んでいる。SNSなどを通じてその活用法は広がりを見せ、新たな収益アイテムとして注目されている。しかし、宮崎社長は「認知度という意味ではまだ低いのが現状」と指摘し、この体験会がその魅力を直接伝える貴重な機会であると語った。

今回の体験会の意義について語るアスナルの宮崎社長

ブラスト力ではなく、熱収縮力・体積膨張力で冷やしてはがす

 続いて登壇したグリーンテックジャパンの潮田執行役員は、同社がドライアイスクリーナー機専門メーカーとして24年の歴史を持つことを紹介した。元々はドイツのグリーンテック社がエアバス社やボーイング社のメンテナンス用に開発したのが始まりで、当初の機械は工場の設備を洗浄するような大型でド派手なものだった。

 しかし、高温多湿な日本の気候や日本人向けの使いやすさを考慮し、ドイツ本社と何度も交渉を重ねて日本仕様の小型モデルを開発。その日本仕様が結果的に世界標準となり、世界に広まっていったという開発秘話を明かした。現在、製品はスロバキアで製造されており、同社は日本国内でトップシェアを誇る。

 潮田氏はドライアイス洗浄の原理を二つの力で説明した。一つは、-78.9度のドライアイスを吹き付けることで付着物のみを瞬間冷却させ、母材との温度差でひび割れ(クラック)を生じさせる「サーマルショック」。もう一つは、そのクラックに潜り込んだドライアイスが個体から気体へ昇華する際に750倍に膨張する「昇華爆発」。この「熱収縮力・体積膨張力」で汚れを剥がすため、単に物理的な力で削り取る「ブラスト」とは根本的に異なると強調した。この原理により、3秒当てて取れない汚れはそれ以上時間をかけても取れないという、結果の早さも特徴である。

デモンストレーションをする潮田氏

樹脂パーツやゴムブーツ、アルミ製の部品が見る見るうちに新車時の輝きを取り戻す

 理論の説明後、実際の車両を使ったデモンストレーションが行われた。エンジンルームの洗浄では、樹脂パーツやゴムブーツ、アルミ製の部品が見る見るうちに新車時の輝きを取り戻していく。特に、従来の方法では困難だったコンピューターのコネクターや複雑な形状の部品周辺も、水を一切使わないドライ工法のため、安全かつ効率的に洗浄できる点が示された。

 ホイールの洗浄では、固着したブレーキダストや錆が瞬時に除去され、ナットの穴の奥といった細部の汚れまで完璧にクリーニングされた。内装では、ペダル類やエアコン吹き出し口のホコリはもちろん、アルカンターラ素材のシートについた皮脂汚れも一瞬で消え去り、潰れていた毛が立つ「起毛」効果で新品同様の風合いが蘇った。さらに、シミが付着したファブリックシートや、タイヤ痕が付いたルーフライニングも、素材を傷めることなく汚れだけが除去された。

 ただし、本革やDIYで塗装された個所、劣化したシールなど、爪で傷がつくようなデリケートな部分には使用できないという注意点も共有された。プロの現場では、施工前のチェックと必要に応じた養生が不可欠となる。

ディテーリングビジネスの新たな収益源へ

 体験会では、ドライアイスクリーナーが単なる洗浄ツールに留まらず、ビジネスの質と収益性を向上させる強力な武器となり得ることが示された。たとえば、コーティング前の下地処理において、エンブレム周りのワックスカスやコンパウンドの除去にかかる時間が大幅に短縮され、マスキングの手間も削減できる。

 アスナルの宮崎社長は、最低でも1時間あたり1万円からのレーバーレート計算を基本とし、既存のコーティングメニューに「ドライアイスクリーニング」という付加価値項目を加えて収益を確保していくべきだと提案した。また、機械の導入にあたっては「小規模事業者持続化補助金」などの公的支援も活用できるという。CO2をリサイクルして作られるドライアイスを使用するこの技術は、SDGsの観点からも補助金の採択を受けやすいという側面も持つ。

 故障が極めて少ないという信頼性も、プロの道具としては重要な要素だ。参加者からはサブスクリプション形式での導入を望む声も上がり、メーカー側も来年以降のサービス開始を検討していると回答した。

 この日、参加者たちは自らガンを手に取り、その洗浄力を体感した。こびりついた汚れが瞬時に消え去る光景を目の当たりにし、誰もがその可能性を確信した様子だった。ドライアイスクリーナーが日本のディテーリング業界の「当たり前」になる日は、そう遠くないのかもしれない。

今回体験したドライアイスクリーナーIC-022

アスナルhttps://www.earthnoal.com/

グリーンテックジャパンhttps://dryicepower-seibi.com/