イマドキの整備学生のリアル 若手整備士はどこへ MSR2026年10月号特集①

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渥美 紅里
イマドキの整備学生のリアル 若手整備士はどこへ MSR2026年10月号特集①

やりがいを見い出させ働きやすさを追求すれば彼らからやって来る

人材不足に陥っている整備工場。資格取得者は一定数たしかに存在するのにもかかわらず、なぜなのか。他業界・業種に貴重な人材が流れてしまわないためにはどうすればよいのか。

現在、専門学校の整備科で学んでいる学生の就職先選定の基準を知ることで、業界改善のヒントを探る。

整備業界を悩ませ続ける慢性的な人手不足。作業現場の高齢化が進む一方で若手が定着せず、事業継続の危機に直面している工場は後を絶たない。

人手が不足している理由の 1つとして、「せっかく専門学校を卒業して資格を取得した学生たちが、専業工場を就職先として選んでいない」というものがある。彼らの多くは、安定した資本力や待遇を誇る大手ディーラーへ、あるいは整備士の道自体をあきらめ、他業種へと進んでしまっているのだ。

「せっかく育てても他業種に持っていかれる」。そんな嘆きをよく耳にするが、彼らを惹きつけ、引き留めるだけの魅力が自社にあるのかを今一度、しっかりと考えなければいけない。

イマドキの整備学生のリアル 若手整備士はどこへ MSR2026年10月号特集①
やりがいと働きやすさのマトリックス

では、ディーラーや他業種に貴重な人材を奪われないためには何が必要なのか。まずは整備専門学校・自動車大学校で学んでいる学生たちが、どのような基準で就職先を選んでいるのかを知る必要がある。

そこで、企業や業界の魅力を測る指標として、右のマトリックスを見てもらいたい。言うまでもなく、学生たちが最も理想とする「良い企業」、「良い業界」は①である。

彼らが求める「働きやすさ」とは、生活基盤が安定するレベルの給与や、猛暑を気合で凌ぐのではなく、空調が完備された快適な空間があること。

さらには、定時退勤や気兼ねのない有休取得といったワークライフバランスの充実であり、年齢を重ねて体力が落ちても働き続けられるという「将来への安心感」も要素にある。

一方、「やりがい」も昔とは定義が異なる。この時代、「車いじりが好き」という情熱だけでは、一生の仕事には選ばれない。その職場で働けば何が身に付き、キャリアは何の役に立つのか。将来の昇進ルートはどうなっているのか。

すなわち「キャリアパスの明確化」だ。さらに、IT業界のように「業界自体に明るい未来があるか」という点も、若者はシビアに見極めている。

現在の専業工場の大半はこのマトリックスのどこに位置しているだろうか。夏は酷暑に耐え、給与や休みも充分とは言えず、キャリアの先行きも見えづらい。そう、④の「やりがいも働きやすさもない」状態に陥っている工場が少なくないはずだ。

生き残るためには、一刻も早くこの4から脱却しなければならない。とはいえ、潤沢な資金力を持つ大手企業のように、明日から工場を空調完備にし、初任給を跳ね上げて一気に1を目指すのは、多くの専業工場にとって非現実的だ。

だからこそ、まず目指すべきステップは、②の「働きやすさはないがやりがいはある」状態への移行だ。労働環境の抜本的な改善には多大なコストと時間がかかる。しかし、「やりがい」の創出は、経営者の意識と社内の仕組み作り次第で改善可能だ。

「特定のメーカーにとらわれない幅広い技術を習得でき、将来の独立を支援する」、「頑張りが正当に評価され、出世への道が開ける」といった明確なビジョンを打ち出し、キャリアパスを整備する。「環境は決して快適ではない。だが、ここには成長と未来がある」。

そう確信させることができれば、それはディーラーにはない専業工場ならではの強力な武器となる。

本特集では、次世代に選ばれる工場へのヒントを探るべく、「学生全体」、「専業工場就職希望」、「ディーラー就職希望」の 3つのグループに分けて自動車整備科で学んでいる学生たちのリアルな声を公開する。彼らの率直な意見とデータ。そこから、「業界改善のヒント」を見つけ出してほしい。

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