令和オイルショックの明日はどっちだ!? インタビュー-国土交通省 物流・自動車局 自動車整備課 MSR 2026年8月号特集⑤

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樋口 祥三郎
令和オイルショックの明日はどっちだ!? インタビュー-国土交通省 物流・自動車局 自動車整備課 MSR 2026年8月号特集⑤

※取材時点:6月19日

昨今、緊迫化する中東情勢を背景とした原油供給の不安定化や価格高騰が、国内のあらゆる産業に影を落としている。自動車整備業界においても、エンジンオイルなどの石油由来の製品の供給遅延・価格上昇が報告されており、先行きの不透明さを危惧する声が上がっている。

整備業界の現状をどのように認識し、いかなる対策を講じているのか。国土交通省 物流・自動車局 自動車整備課の多田善隆課長に、需給バランスの現状に対する認識と「流通の目詰まり」解消に向けた取り組みについて話を聞いた。

まず大前提として、自動車整備業界は自動車の安全を守るために極めて重要な役割を担っている。したがって、資材の不足などによってその重要な業務が停滞するような事態は、絶対にあってはならないという強い認識を持っている。

しかしながら指摘の通り、中東情勢の悪化に伴う原油の供給不足を起因として、整備工場の現場においてエンジンオイルなどの必須資材の入手が困難になっているという声が上がっていることは、国土交通省としても重く受け止め、実態の把握に努めてきた。

マクロな視点、つまり日本全体で見れば、必要とされる石油製品の絶対量は確保されている状況にある。問題は、末端への流通網で起きていると認識している。

本年の3月下旬ごろから、将来的な供給に対する不安感が業界内で高まった。その結果、需要家である自動車整備事業者や中間流通事業者などで、品不足に備えて対前年比で多めに資材を発注する動きが見られた。

こうした不安に基づく「多めの発注」がサプライチェーン全体で積み重なった結果、局地的に需要が供給を上回り、本当に必要なところへ資材が円滑に流れていかない、いわゆる「流通の目詰まり」が発生した。

4月に窓口を設置して以降、6月中旬の段階で約450件ほどの相談が寄せられている。

具体的な内容としては、「サプライヤーからの供給制限を受けている」、「供給自体が停止しており、今後の入荷のめどがまったく立たないと言われた」といった深刻な報告が上がっている。さらに、「この状況がこれ以上長引けば、ユーザーからの整備依頼を断らざるを得なくなる」といった、事業継続に関わる強い危機感を伴う声も寄せられている。

品目ごとに相談件数を確認すると、4月の上・中旬頃はシンナー類に関する供給不安の声がピークに達したが、現在は減少傾向にある。一方、エンジンオイルに関しては5月下旬に相談件数がピークを迎え、6月に入って落ち着きつつあるという状況である。

相談件数はピーク時より減少傾向にあるものの、現場で実際に資材調達に困窮している事業者が存在している事実に変わりはなく、引き続き気を引き締めて対応に当たっている。

具体的には、窓口へ情報を提供していただいた事業者に、本省や地方運輸局の職員が直接1本1本電話をかけ、詳細な状況をヒアリングしている。どこの誰からどのような説明を受けたのかを確認した上で、サプライチェーンをさかのぼって供給の偏りや流通の目詰まりの解消を図っている。通常業務と並行した対応ではあるが、本件を最優先課題として全力を注いでいる。

地道なヒアリングの結果として、現時点で30件程度の目詰まりが解消され、必要な資材が整備工場に届くようになったという実績を得ている。

また6月からは、経済産業省との連携によりエンジンオイルに対する「直販スキーム」の運用を開始した。これは、通常の流通網の目詰まりを回避するため、潤滑油メーカーから直接、必要な整備工場へ販売・供給する仕組みである。情報提供窓口を1つのツールとして活用し、このスキームを円滑に運用することで、現場へのさらなる安心感の醸成につなげていきたいと考えている。

エンジンオイルなどの価格が上昇しているという声は、情報提供窓口にも多数寄せられている。国交省としては、この価格上昇のトレンドがいつまで続くのかをしっかりと注視し、経済産業省とも状況を
リアルタイムで共有した上で、政府としていかなる対応が可能かを継続して検討していく方針である。

持続可能な調達体制については、主に経済産業省が中心となって進めている施策であるが、原油の調達先の多角化が着実に進展していると認識している。現在、中東や米国だけでなく、アジア太平洋、中南米、中央アジア、さらにはアフリカからも原油が届く体制が構築されつつある。この代替調達の効果により、6月では対前年比で約8割、7月には10割の調達の目処が立っている。

非常に難しい課題であると認識している。自動車整備業界は、最終的な顧客が一般のカーユーザーであるという特性上、資材価格の高騰分を単純に整備工賃などの価格に転嫁しづらいという実情があると理解している。

しかし、資材価格の上昇によって経営が圧迫され、結果として整備事業者が廃業するような事態は絶対に防がなければならない。本省としては現状をしっかりと注視し、適切な対応を模索し続ける考えである。

現状、資材が届かずに事業が完全に停止してしまったという報告は受けていないが、将来への不安を抱える事業者は多い。そのため、まずは情報提供窓口を通じて目詰まりを一件ずつ解消していくことを第一の方針としつつ、関係省庁と連携した支援メニューの周知も強化していく。

経済産業省や中小企業庁などが提供する経営相談窓口やセーフティネット貸付、厚生労働省の雇用調整助成金など、既存の支援策を含めて整備業界に広く周知していく方針である。

政府においては、燃料油や石油製品等の供給について、流通や取り引きの状況に影響が及ぶ場合に備えて、事業者からの情報を受け付ける相談窓口を設置している。

1.情報提供の内容
販売事業者名(燃料の調達先)、契約状況(油種、数量、価格、契約期間等)、今後の調達見込み、その他の懸念事項等

2.相談窓口
国土交通省関係の相談窓口は下記の通り。※メールアドレスの「★」を「@」に変更の上、利用のこと

物流・物流自動車局 自動車整備課hqt-jidoshaseibi-kankyo★gxb.mlit.go.jp
北海道運輸局 自動車技術安全部 整備・保安課hkt-hokkaido-zs★ki.mlit.go.jp
東北運輸局 自動車技術安全部 整備・保安課tht-seibi-nenyu_tohoku★gxb.mlit.go.jp
関東運輸局 自動車技術安全部 整備課ktt-seibika★ki.mlit.go.jp
北陸信越運輸局 自動車技術安全部 整備・保安課hokushin-seibi★ki.mlit.go.jp
中部運輸局 自動車技術安全部 整備課cbt-seibi-shaken★ki.mlit.go.jp
近畿運輸局 自動車技術安全部 整備課kkt-gianseibi-youin★ki.mlit.go.jp
中国運輸局 自動車技術安全部 整備・保安課cgt-seibihoan-oil★gxb.mlit.go.jp
四国運輸局 自動車技術安全部 整備・保安課skt-jidousya★ki.mlit.go.jp
九州運輸局 自動車技術安全部 整備課kbt-qst0000000005★ki.mlit.go.jp
沖縄総合事務局 運輸部 車両安全課syaryoanzenka.u8j★ogb.cao.go.jp

3.情報の取り扱い
寄せられた情報について詳細を確認する場合があるため、メールには連絡先を記入すること。また、経済産業省や関係団体と連携し、必要に応じて、情報の内容・扱いについて、確認する場合がある。

4.上記以外の問い合わせ先
総合政策局政策課 電話:03-5253-8111(内線:24-213)

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