事態は沈静化の模様ただし不測の事態に備えて冷静に対処すべし
目詰まりの本質は先行き不安からの過剰発注
6月の状況(本誌編集時点)をまとめると、3月初旬から始まった「令和オイルショック」と呼ぶべき今回の事態は、原材料の絶対的な枯渇ではなく、不安に起因する過剰発注が生んだ流通の目詰まりという構造的な問題であることが明確になっている。直接販売スキームの新設、代替調達の着実な進展、地方運輸局による個別ヒアリングの積み重ねによって、6月以降は状況が改善方向へと向かいつつある。
ただし、米・イラン双方が戦闘終結などに関する覚書に合意したとはいえ、中東情勢の先行きは依然として不透明だ。価格上昇のトレンドがいつまで続くのか、エンジンオイルをはじめとする資材の価格
が整備工賃に転嫁できない構造的問題がどこまで経営を圧迫するか、予断を許さない局面が続く。
品目ごとに需給状況は変化 新たな品不足も発生する?
事態の長期化に応じて各製品ごとに需給状況は日々刻々と変化していたのは記憶に新しく、当初自動車補修用塗料やシンナー類の品薄が叫ばれる中、1 台当たりの使用量も多くはないから大丈夫だろうと見られたエンジンオイルですら後に品不足に見舞われた。
エンジンオイルの目詰まりも解消されつつある一方で、1 回(台)当たりの使用量が多い大型車用のディーゼルエンジンオイルは不足していると聞く(気になる情報ゆえに、MSRwebでの続報にご期待いただきたい)。
また、あまり大々的には報じられていないものの、整備用リフトの作動油も不足気味で、既納品のメンテナンス用を優先的に確保する手前、新規納品分まで確保できず、新工場オープンのめどが立たないとの声も一部から聞こえてくる(そもそも工場建屋の建築資材の納品遅れも相まって、輪をかけて遅れている模様)。
「少量使用だから大丈夫と言われていたエンジンオイルですら不足したのだから、ATFやCVTFはどうなんだ?」との危惧も聞こえてくる。
求められるのは冷静な対処いざとなれば相談を
今、整備事業者に求められるのは、余剰在庫の積み増しという自衛本能ではなく、正確な情報に基づいた冷静な判断だ。緊急事態ゆえに不安に駆られるのも無理はないが、前年並みの生産量・供給量は(もはや)確保されている。
一足飛びに入庫台数・来店客数が増えたら? という心配は多くの場合杞憂に終わるだろう(そうでなかったら、御社には経営の才覚があるということで、そんな御社ならば賢明な判断ができると信じている)。
さて、それでも困難な状況に直面したならば、1人で抱え込まず、国土交通省や経済産業省の窓口、あるいは中小企業庁のセーフティネット支援に積極的に声を届けること。その1件1件の声が、流通の正常化と業界の持続可能性を支える力となる。(MSR編集長:八木正純)
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