2026年10月27日、BlackBerry Limitedの事業部門であるQNXは、第2回グローバル調査「Under the Hood: SDV Developer Report 2026」の日本市場分析を発表した。日本のソフトウェア定義車両(SDV)開発者のうち、サイバーセキュリティー脆弱性を最大リスクとした回答は60%で、調査対象8カ国で最も高かった。
本記事では、調査の概要、日本の主な結果、開発課題、規制への見方を順に整理する。
調査概要:8カ国1,100人、日本は100人
調査は、日本、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、中国、韓国の組み込み自動車ソフトウェア開発者1,100人(うち日本100人)を対象に、OnePollが実施した。
データの収集期間は2026年7月20日から8月4日。前年調査は2025年7月25日から8月5日に実施されたが、対象国の構成が一部異なるため、グローバル平均の前年比較は参考値となる。
日本の主な結果:セキュリティーが最大リスク
SDV展開の最大リスクとして「サイバーセキュリティー脆弱性」を挙げた割合は、前年の41%から60%に上昇した。グローバル平均は47%である。
主な結果は次の通り。
- 今後5年で最も重要なスキルは「サイバーセキュリティー」が64%(前年53%)で1位、「AI/ML統合」が63%(グローバル平均49%)で2位
- AIが最も影響を与える領域は「サイバーセキュリティー」が30%で1位(グローバル平均は15%で4位)
- 3年以内にSDVがサイバー攻撃の主要な標的になると考える割合は87%(グローバル83%)
日本では、OTA(無線通信)によるソフトウェアアップデートに対応する車両について、国連協定規則第155号(UN-R155)への適合が義務付けられている。新型車は2022年7月から、継続生産車は2024年7月からである。
開発課題:「テスト」より「統合・調達」
開発者が工数の平均35%を基盤ソフトウェアの統合作業に費やしている点は、日本もグローバルと同水準である。
一方、課題の中身は異なる。グローバルの1位は「デバッグ・テスト」(44%)だが、日本では29%で7位、8カ国で最も低かった。
日本の最大の課題は、「統合の複雑さ」と「長い開発サイクル」(前年それぞれ36%、46%から今回は45%)である。「調達・ライセンス取得の遅れ」は23%から39%、「SoCの柔軟性不足」は21%から37%に、いずれも16ポイント上昇した。
開発遅延の原因は、2025年の「規制の遅れ」(52%)から、2026年は「非効率な開発プロセス」(60%)と「人材不足」(57%)に代わった。
協業については、業界横断的な協業を「重要」とする割合が83%から97%に上昇した。ただし「自社が協調的な開発プラクティスを支援している」は77%(グローバル89%)で、認識と実行の差は20ポイント(グローバルの差は6ポイント)に達する。
規制への見方は改善、対応への自信は低下
新規制が開発スケジュールを「加速した」との回答は、前年の32%から43%に上昇した。「遅延した」は35%から27%に減少した。「規制の枠組みがSDVの進化に追いつける」との回答も、67%から85%に改善した。
一方、規制対応に「非常に自信がある」と答えた割合は、前年の16%から9%に低下した(グローバル30%)。「ある程度自信がある」を含めると74%である。
最も対応が困難な規制は、「サイバーセキュリティー」(56%)と「AI/ML関連」(41%)だった。
グローバルの主な結果
- 開発課題の1位は「デバッグ・テスト」で44%(前年36%)
- 75%が「共通で再利用可能なソフトウェア基盤の欠如がSDV開発を遅らせている」と回答
- AIを「開発ワークフローに統合される」とみる回答は55%から62%に増加
QNXのコメント
QNXの松岡秀樹カントリーセールスディレクターは、「この慎重さは決して遅れではなく、日本の開発現場が積み重ねてきた資産だ」と述べた。
QNXは、安全かつセキュアなOS、ハイパーバイザー、ミドルウェア、ソリューション、開発ツールの提供において業界をリードするとともに、信頼される組み込みソフトウェアの専門家によるサポート及びサービスを提供している。


