自動車整備業のM&A新時代 工場を残すための前向きな譲渡を実現 MSR2026年9月号特集②

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武井 宏樹
自動車整備業のM&A新時代 工場を残すための前向きな譲渡を実現 MSR2026年9月号特集②

工場を残すための前向きな譲渡を実現 「第二会社方式」で資産価値を守る

大手 M&A 市場の裏で、「借入過多」、「設備評価」の壁に悩む小規模な整備・鈑金塗装工場は多い。従業員の雇用と事業を守り、債務を解消する再生手法とは何か。整備工場特化型のM&A を展開し、「第二会社方式」で数々の円満譲渡を導いてきた M&A カージャパンの山口真社長に、専門特化の強みと M&A を検討・相談すべき経営の黄色信号について聞いた。

M&Aカージャパンは整備工場・鈑金塗装工場が専門のM&A企業だ。現従業員の継続雇用を前提に債務の清算から買い手企業への仲介まで一貫して引き受ける。

「大手M&A企業は黒字で売り上げ規模のある、きれいな案件を主に扱う。しかし自動車整備業界に目を向けると借り入れ過多で悩む小規模な事業者が多く、大手企業に相手にされず宙づりとなっている。ここに我々が貢献できる領域があると考えた」。

そう話すのは山口真社長。2024年、車両販売店より整備内製化に向けて売り手企業を探しているとの相談を受け同社を設立。以来、今日まで締結した案件は全国で10件超。1件の締結には少なくとも半年以上かかるというから、その密度の濃さがうかがえる。

完全成功報酬型で、買い手側・売り手側企業の双方から報酬を得ているが、事業再生スキームを用いた場合、報酬の大部分は買い手側企業が持つことになり、売り手側の負担は少ないケースもあるという。「整備工場の事例は他業種よりもケースの差が大きい、地場の状況や設備、そして債務の状況まで千差万別。

業界専門家たちの助言を受けながら活動している」。自動車業界に特化することで、専門的な知見が集約される。整備工場の価値へ正確に理解がある故に、経営者の悩みに寄り添い適正なマッチングを可能としている。

現在最も多いのは、借り入れが過大で通常のM&Aでは売却できない工場への対応だ。こうした案件に対し同社は状況に応じた様々な再生方法を駆使するが、中でも有効な選択肢の一つとして「第二会社方式」と呼ばれる手法を活用している。

これは中小企業経営者ガイドラインに基づき、既存の債務を金融機関と交渉してカットした上で、買い手に資産を引き継ぐ形を取る。

仮に1億円の借り入れがある工場に対し、買い手が1,000万円を拠出して工場の設備・土地・建物を取得し、その資金を債権者に一部弁済する。破産した場合は資産価値が7割程度に目減りするため金融機関にも一定の回収が見込める同手法は受け入れられやすく、社長の資産が保全される点も大きい。

債務が解消できれば整備工場はタクシーやレンタカー企業の内製化や、大手企業の全国拠点工場として需要が高い。

同社はこれらの交渉を事業再生の第一人者と呼ばれる弁護士や公認会計士らと強力に提携し、チームで対応する。「金融機関とのハードな交渉は各専門家が担う。専門家チームがいるからこそ円滑な交渉と第二会社方式をはじめとした高度なスキームを実現できる」。

工場側としても既存の業態が大きく変わってしまったり、屋号が変わることに抵抗を覚えることもあるだろう。その地域での通り名を考慮してこれまでの屋号で存続、代表も工場長として継続できる事例は多い。こうした理解のある買い手側企業に同社が仲介することで円満な譲渡を実現している。

改めて、経営者はどんな時にM&Aを検討・相談するべきだろうか「大きく3つの兆候が挙げられる。1つ目が売掛金の回収遅れなどのキャッシュフローの不全や物価高などの外的要因による金融機関への返済条件の変更、2つ目に債務超過、最後に3期連続の赤字だ。

これらは経営状況が正常ではないという黄色信号だ。そして保険料などの社会保障の支払いが滞り始めると、より深刻な事態だといえる」。大げさではなく、このような状況にあるならば早急に経営を見直すべきだと山口社長は話す。

「工場と従業員の生活を守るためには不安から目を背けないことが肝心。事業譲渡をマイナスに捉えず、ぜひ気軽な気持ちで相談してほしい」。

[無料相談窓口]
電話:03-4354-0033(代表)
同社WEB:https://ma-carjapan.co.jp/

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