今の若者はなにを重視しているのか
1. 職種の希望(複数回答)

整備科全体の単一回答では、1位がメカニック整備(83.4%)、2位は営業(4.97%)、3位はメカニック鈑金(3.89%)と整備希望が大半を占めた。
しかし、専業工場は業務が細分化されたディーラーとは異なり、一人で様々な役割を経験できる環境がある。小規模組織ならではの柔軟なキャリアパスを提示することが、採用における大きな差別化につながる。
2. 就職先の希望(複数回答)

整備科全体の単一回答では、1位が国産車ディーラー(42.5%)、2位がカーメーカー(19.9%)、3位が整備指定工場(11.4%)という結果となった。やはり、大企業への就職志向が非常に強い傾向にある。学生たちは、企業のブランド力や経営の安定性、充実した待遇に惹かれているのではないだろうか。
ここに専業工場が対抗するには、特定のメーカーに縛られず多種多様な車両に触れられる面白さや、経営トップとの距離の近さ、裁量の大きさといった「専業工場にしかない強み」を明確に打ち出す必要がある。大手では得られないスピード感のある成長環境をアピールすることが重要だ。
3. 月間給与額

学生の多くが生活基盤を安定させるために高い初任給を望んでおり、待遇面が就職先の選定時のシビアな条件となっていることが分かる。しかし、専業工場が大手企業と初任給の額面だけで張り合うのは正直難しい。
そこで、目先の金額ではなく、「入社後どのように技術を磨けば、将来いくら稼げるようになるのか」という中長期的なビジョンを示すことが重要だ。資格取得やスキルアップに伴う評価・昇給制度を整え、将来的な収入への不安を払拭することが求められる。
4. 年間休日数

完全週休2日制に加えて長期休暇があるなど、ワークライフバランスを重視している学生が大半だ。休日数の少なさは就職先の候補から外される大きな要因。
人手不足の中で休日を大幅に増やすのは容易ではないが、定休日の見直しや、気兼ねなく有給休暇を取得できる仕組みづくりなど、限られた条件の中でも「従業員をしっかり休ませる努力」をしている姿勢を見せることが不可欠だ。働き方に対する柔軟な対応が、若者の定着率を左右する。
5. 社内交流(複数回答)

「仕事とプライベートを分けたい」という層もいる一方で、社員旅行やバーベキュー(屋外での食事会)などのイベントといった業務外の交流を求める学生が予想以上に多いことが明らかになった。職場の人間関係の良さや、アットホームな雰囲気に安心感を抱く若者は少なくない。
経営者や社員同士の距離が近く、家族的な温かさを持つ専業工場にとって、これは大きな強みになる。SNSやWebサイトなどを活用して、風通しの良い組織風土や社内イベントの様子を積極的に発信していくことが採用活動において有効なのではないだろうか。
6. 教育体制への希望(複数回答)

学生が最も求めているのは、先輩から直接学べる実技指導(OJT)や就業時間内の座学研修だ。彼らは「現場で背中を見て覚えろ」と放置されることを好まない。
専属の教育担当を置く余裕がない専業工場であっても、「誰が・いつ・どのように教えるのか」という育成計画を具体的にマニュアル化しておくなどの工夫が必要だ。「熟練の技術者からマンツーマンで直接学べる」という、状況は、大企業にはない、専業工場ならではの強力な武器として響くはずだ。
また、外部研修やメーカー講習への参加支援など、会社としてスキルアップを積極的に後押しする姿勢を示すことも、彼らの学ぶ意欲を掻き立て、将来への期待感を持たせる重要な要素になると考えられる。
7. 作業環境・設備に求めること(複数回答)

単一回答において1位は作業場が整理整頓(5S)されており、安全管理を徹底していること(19.1%)、2位が冷暖房や空調設備が整っていること(14.3%)、3位が工具や設備が整っていること(10.3%)となった。過酷な作業環境を避ける傾向が強く、空調設備の完備を求める声も多い。
また、休憩室やトイレの清潔さも重視されている。若者にとってこれらは、「働く上での最低限の条件」だ。スポットクーラーやウォーターサーバーの設置、トイレの改修など、従業員の健康と働きやすさを気遣う「できる範囲の環境改善」に取り組む姿勢が問われている。
8. 1位に選んだ希望条件

希望条件のトップは「月間給与」だが、それに続いて「職場環境」や「福利厚生」、「年間休日数」が重視されている。これは、給与さえ高ければ過酷な環境でも耐えられるというかつての価値観とは異なり、総合的なバランスが求められていることを示している。
専業工場は初任給での勝負が難しい分、昇給の透明性や手厚い教育体制、風通しの良い人間関係といった「働きがい」を示し、「なぜこの工場を選ぶべきなのか」という理由を明確に作る必要があるだろう。
- 調査対象:整備士を目指す学生1388人(うち留学生457人)
- 調査方法:Webアンケート
- 調査期間:2026年4月15日~5月15日
- 協力校:岡山科学技術専門学校/関東工業自動車大学校/久留米自動車工科大学校/群馬自動車大学校/埼玉自動車大学校/静岡工科自動車大学校/中央自動車大学校/トヨタ神戸自動車大学校/トヨタ東京自動車大学校/中日本自動車短期大学/新潟国際自動車大学校/日本工科大学校/日本自動車大学校
