Astemoと日立が運転支援AI開発基盤の構築で協業を発表

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長谷川 明憲
Astemoと日立が運転支援AI開発基盤の構築で協業を発表

5月20日、Astemoと日立製作所は、SDV(Software-Defined Vehicle)時代における安全で快適な移動の実現を見据え、運転支援AIの学習・検証・展開プロセスを革新する新たなAI開発基盤を共同で構築すると発表した。

本基盤は2026年度末までの構築を目指し、AI基盤、データ基盤、データセンターを統合した先進的な開発環境として整備される。

両社の強みを結集し、安全思想を設計段階から組み込む

本取り組みでは、Astemoが持つ「走る・曲がる・止まる」を支える車両統合制御技術とAI技術に、日立がミッションクリティカル領域で培ってきたデジタルツイン環境、秘匿情報管理技術(※1)、フィジカルAI(※2)の社会実装力を組み合わせる。

本基盤では、実走行データに加え、実世界では再現が困難な多様なシナリオをデジタルツイン上で再現・創出した膨大なデータを組み合わせる。

部品の劣化、性能のばらつき、急なブレーキ操作といった現実の物理的条件も精緻に織り込んだ上でAIに学習させる。これにより、高度な安全性と、人間が心地よいと感じる自然な運転挙動の両立を追求する。

評価結果を設計へ迅速にフィードバックするサイクルを継続的に実行することで、運転支援AIの開発プロセスの高度化・高速化を図る。

3つの主要ポイント

両社が示す本取り組みの主要ポイントは次の3つ。

  1. フィジカルAIの社会実装ノウハウを運転支援AIに適用
    日立のトップデータサイエンティストチームが中心となり、社会インフラ事業で培ったAI適用の知見を運転支援AIの開発プロセスに反映する。現実には遭遇・再現が困難なシナリオをデジタルツイン上で設定し、複合的な要因を織り込んだ学習・検証を繰り返す。
  2. 自律的かつ高速に回す開発プロセスの確立
    Astemoの車両統合制御に関する知見をデジタル化し、日立の開発フレームワークと運用ナレッジを活用した基盤上で高速な学習・検証を行う。実車両向けテスト項目の自動生成や、Agentic AIの活用によるソフトウェア開発プロセスの自動化も進める。
  3. オープンなプラットフォームとエコシステムの形成
    AIの判断プロセスを可視化してブラックボックス化を防ぐオープンなプラットフォームとして、自動車メーカーやサプライヤーなどのパートナー企業に提供する。パートナー企業は車両技術やサービス開発といった付加価値領域に専念できる環境が整う。

IoVプラットフォームの強化と業界共通基盤への展開を視野に

Astemoは今回の取り組みを通じ、SDVの開発基盤であるIoV(Internet of Vehicle)プラットフォーム(※3)のさらなる強化につなげる方針だ。

将来的には、本基盤を含めたIoVプラットフォームを自動車メーカーやサプライヤーに共通プラットフォームとして展開し、業界全体での活用を目指す。

また、両社はモビリティ分野にとどまらず、物流やエネルギーなど多様な分野へも本基盤を展開し、産業の垣根を越えたデータ連携によるエコシステムの形成を目指している。