国交省は6月26日、第1回車両安全対策検討会を開催した。昨年の交通事故による死者数が過去最少を記録する一方で、政府は「令和12年までに死者数1,900人以下」という新たな目標を掲げ、次なる安全対策の具体化に向けた議論を本格化させる。本検討会は、その方向性を定める上で重要な一歩となる。
昨年の交通事故死者数は2,547人と、過去最少
検討会の冒頭、挨拶に立った国交省 物流・自動車局の衣本室長は、昨年の交通事故の現状について報告した。年間の死者数は2,547人となり、過去最少を更新したという。
この成果について衣本氏は、政府全体の交通安全対策の推進や国民一人ひとりの安全意識の向上に加え、「衝突被害軽減ブレーキをはじめとする車両安全技術による影響が大きい」との認識を示した。技術の進化が着実に人命を救っている現状が浮き彫りとなった。
しかし、課題がなくなったわけではない。衣本氏は「高齢運転者による事故や、運転者の漫然運転による事故などが依然として多く発生している」と指摘。より一層、交通事故死傷者数ゼロを目指して取り組む必要性を強調した。

令和12年までに死者数1,900人以下を目指す
こうした課題認識のもと、政府は本年3月に新たな「第12次交通安全基本計画」を決定した。この計画では、究極的な目標として「交通事故をゼロにする」ことを掲げるとともに、当面の目標として「令和12年までに交通事故による死者数を1,900人以下とする」ことを定めている。
この目標達成に向け、計画では「人・道・車」の3つの観点から総合的な交通安全の取り組みを進めることとしている。車両の安全対策は、この国家的な目標を達成するための重要な柱の一つと位置づけられている。
7つの重点分野で車両安全対策に取り組む
「車」の安全確保を担う物流自動車局では、今後の対策の方向性を審議するため、昨年12月に交通政策審議会の下に「技術安全ワーキンググループ」を設置。様々な分野の有識者と共に議論を重ねてきた。
その報告書が今月中に取りまとめられ、公表される予定だ。衣本氏によれば、報告書では「自動運転、高度な運転支援技術、高齢運転者、子どもなど、7つの重点分野を設定」し、車両安全対策に取り組む方向性が示されるという。
今後、物流自動車局ではこの報告書で示された方向性に沿って、各対策を具体化し、安全基準の策定などにつなげていく方針だ。今回の検討会は、その具体的な審議の幕開けとなる。交通事故ゼロという究極の目標に向け、「人・道・車」が一体となった取り組みが、新たなステージへと進む。