【業界動向】JobyとトヨタがeVTOL生産の合弁会社設立へ合意

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木下 慶亮
【業界動向】JobyとトヨタがeVTOL生産の合弁会社設立へ合意

 6月30日、Joby Aviation, Inc.(以下、Joby)とトヨタ自動車は、電動垂直離着陸機(eVTOL)の生産を担う合弁会社の設立に合意したと発表した。合弁会社の正式名称は「Joby Toyota Aero Manufacturing Preparation Company」とし、アメリカ・カリフォルニア州を拠点に出資比率はトヨタが51%、Jobyが49%となる。代表者には、昨年6月にタクシー配車アプリなどを展開するGOの新任社外取締役として就任していた鶴田洋介氏が就く。

eVTOLの量産体制構築に向けた準備に着手

 合弁会社設立の目的は、Jobyの先進的な技術開発力とトヨタが長年の‟クルマづくり”を通じて築いてきた「トヨタ生産方式」を融合し、eVTOLの商用利用としての生産を実現することにあるという。具体的な取り組みとしては、まず生産体制の整備に着手し、認証審査に用いる機体の試作や生産性、品質・コストの改善を含む生産準備、そして将来の需要拡大を見据えた生産能力の増強を推進するとした。

 両社の協業関係は2020年1月にeVTOLの開発・生産に関する発表から表面化し、2024年10月にはトヨタがJobyへの追加出資を行い、同年11月には空のモビリティ実現に向けた挑戦の加速を表明していた。今回の合弁会社設立は、約6年にわたるパートナーシップをさらに一段階進める動きとして位置付けられるだろう。

両社トップがコメントを表明

 Joby創業者兼CEOのJoeBen Bevirt(ジョーベン・ビバート)氏は、「トヨタは約10年にわたり、当社の歩みに寄り添い、機体生産の基盤を築いていくうえで計り知れない助言と支援を提供してくれました。本日の発表は、両社の強固な関係性と、私たちが共有する将来の大きな可能性への確信を示すものです」と述べ、トヨタ代表取締役会長の豊田章男氏は以下のようにコメント。「空のモビリティは、トヨタが創業以来掲げる『すべての人に移動の自由をお届けしたい』という理念を陸から空へと拡張し、人々の暮らしや社会のあり方に新たな価値をもたらすものです。今回の関係強化は、未来のモビリティ社会の実現に向けた、大きな一歩になると期待しています」。



 今回のトヨタの動きは、ホンダの苦難の歴史から学びすでにFAA認証プロセスを進めているJobyを選択することで、型式証明取得や独自技術開発にかかる時間を大幅にショートカットする戦略だろうと解釈できる。「すべての人に移動の自由をお届けしたい(Mobility for All)」という理念を空へ拡張する試みは、次世代産業の創出として大きな意義を持つ。しかし、モビリティービジネスの本質的な価値は、機体を生産・販売した後の長期的な運用と保守によって決まる。

 生産コストの低減と航空機レベルの安全性を両立させる量産体制が整ったその先には、機体を安全に飛ばし続けるためのサービスネットワークと、それを支える整備技術者の育成という、巨大なインフラ構築の課題が待ち受けている。合弁会社の設立は、その長く険しい道のりのスタートラインに過ぎない。

飛行風景