整備士の健康を守り、夏場の生産性を維持 ウェアラブルとバズーカで安全な職場作りーオートバックス次世代自動車研究所(千葉県浦安市)
年々酷暑が堪える日本の夏。熱がこもる自動車整備工場の暑さ対策は今や待ったなしである。しかしながら、空調導入が困難な整備事業者も珍しくないだろう。だからといってそれを座視するわけにもいかない。できうる限りの暑さ対策を実践し、整備士の安全と安心の職場づくりを推進する、次世代自動車整備のリーダーの取り組みは整備業界の手本となりえるだろう。
事業場ごとに生じる暑さ対策の格差
気候変動による暑さ対策の転換点は大きく分けて、熱中症警戒アラートが全国で運用が開始された2021年、企業による熱中症対策(改正労働安全衛生規則)が義務化された2025年ではないだろうか。
上記対策がなされたこの4年間で、中小企業の暑さ対策が進められ、昨年6月に施行された改正労働安全衛生規則で企業の熱中症対策は決定的なものとなった。
ところが自動車整備業界においては、対策を進める事業者と、進められていない事業者の差が大きいのが現実だ。資金力の差もさることながら、事業場の様々な事情が足かせになる場合があるが、整備士の命に関わる問題に格差が生じてはならない。
あらゆる対策を効果的に講じて暑さ対策のESを促進
高度化する自動車整備において最先端の技術習得をリードするオートバックス次世代自動車研究所(旧車検・鈑金デポ)は、暑さ対策が叫ばれる以前の2020年より、整備士の熱中症対策を講じ、毎年見直しを行いながら、手厚い対策を実践する事業者である。
同社の整備事業場は賃貸契約のため、大規模な空調の導入が行えず、それをリカバリーするためのあらゆる対策を実践してきた。
2020年に整備士1人につき1台のスポットクーラーの導入を皮切りに、その対策は本格化する。整備士が着用するつなぎをはじめ、フロントも含めた夏制服の見直し、冷感と速乾に優れたインナーシャツの支給。
そして2021年、整備士のウェアラブル対策を強化し、保冷剤式水冷ベストに空調服、そしてネッククーラーを導入した。熱中症は体幹部分の深部体温の上昇によって起こるといわれ、深部体温の低下には頸部や腋下など太い血管が通る部位を冷やすことが効果的である。
保冷剤式水冷ベストと空調服のレイヤードにより、効果的な熱中症対策を実現している。整備士からも「めちゃめちゃいい」と上々の評判だ。なお、整備士1人につき2セットを支給する保冷剤は作業場内に設備されている冷凍庫で保管し、整備士は就業中、自由に交換ができる。なお、工場内には飲料用の冷蔵庫と冷凍庫をダブルで配置している。
この他、キャンプ用テントであつらえたクールルームの設置、冷感スプレーやタオル、冷水、塩飴の常備など、可能な限りで整備士の暑さ対策を実施してきた。暑さが激しさを増した近年は、大風量のバズーカを2機導入し、暑さ対策を強化した。
同社の上松禎知社長は「スタッフに快適に働いてもらうことが経営の使命」と語る。暑さ対策はコストではなく、人的資本への投資である。
Photo&Text 泉山 大(プロジェクトD)




