新時代工場のプラスワン・ビジネス MSR2026年7月号特集➀

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武井 宏樹
新時代工場のプラスワン・ビジネス MSR2026年7月号特集➀

乗用車の平均車齢が過去最高齢を更新し続けている今、整備工場には顧客を獲得・グリップするための事業拡張が、「受動の姿勢」から「接点を作る能動」への転換が求められている。

本特集では来店頻度を高める新事業を実践し収益化に成功した先進工場の事例を紹介。
次代の生存戦略を探していく。(構成:武井宏樹)

求められるサービスメニュー拡充 車齢延伸時代の生存戦略

自動車検査登録情報協会の調査によれば、2025年3月末時点での乗用車の平均車齢は9.44年と31年連続で過去最高を更新し続けている。先進安全技術の向上や、実質賃金の伸び悩みによる新車の買い控えなど、要因は様々だが、この傾向は当面続くだろう。

車齢が延伸するに伴い各種メンテナンスや車検の機会が増加するが、その時、あなたの会社は選ばれる工場となっているだろうか。散発的でなく、継続的な入庫へ。顧客のカーライフに根付いた工場となるために、今後どれだけ間口を広げられるか、顧客との接点機会を設けられるかが今後の経営の鍵となってくる。

現在の整備以外の事業を強化する最大の意義は、故障や車検時期を待つ「受動的な姿勢」から脱却し、自ら顧客との接点を作り出す「能動的なアプローチ」へと転換できる点にある。
後半のページでは以下のジャンルについて、事例とともに取り上げていく。

エンジンオイル交換

数ヵ月単位で発生する、最も確実かつ高頻度な来店トリガーである。消耗品交換を起点にピットへ誘導することで、車両点検を自然な形で行い各種の整備提案へつなげる「営業の入り口」として不可欠な要素である。

洗車場運営

日常的な車両管理の場を提供することで、顧客との接触頻度を最大化する。頻繁な来場は車両の細かな異変や劣化にいち早く気づく機会となり、他の整備メニューや車両買い替え提案の機会を増幅させる。

コーティング

施工後の定期メンテナンスや数年単位での再施工といった「継続的な来店動機」を生み出す。顧客の美観維持に対する意欲に直接応え、長期的な信頼関係を構築する基盤となる。

デントリペア

鈑金塗装よりも安価かつ短時間で提供できるため、技術を習得できれば、軽補修メニューとして導入できる。近年被害が深刻化している「ひょう害車両」への迅速な対応も見込め、従来の鈑金修理の枠に収まらない幅広い需要を取り込む武器となる。

各サービスメニューを戦略的に運用し、カーライフのあらゆる場面で接点を保持し続けることが、安定した収益基盤の構築と持続的な成長を実現する。

サービスメニューの拡充により、地域にとってかけがえのない総合病院のようなトータルカーショップを目指すか、あるいは眼科、歯科のように特定の技術で圧倒的な独自性を打ち出すか。自社が進むべき道を見極めなければならない。

顧客のニーズを細かく汲み取り、ひとつひとつ要望を解消していくことで信頼を獲得するか。あるいは自社でしか実現できないサービスを提供するか。いかに顧客の不足を解消していくかが、新事業の本質である。

そして新事業の立ち上げにおいて、もうひとつの道筋を挙げておきたい。「すべての工程を自社で完結させる必要はない」という考え方だ。ガラス交換やエイミングを外部へ依頼するように、専門業者側も、窓口機能を担える整備工場とのパートナーシップを求めるケースは多い。

新規事業を始めるに当たり、リソース不足が懸念されることもあるだろう。サービスのクオリティーを維持するための業務構造は不可欠だが、それを自社単独の力で実現することに固執し過ぎては、ビジネスの円環は途切れてしまう。

自社の強みである技術を核に、他社との協業によって「顧客のニーズ」を解消する窓口機能を最大化させる。これもまた、車齢延伸時代における有効な生存戦略と言えるだろう。

→②へ続く