※取材日時:6月18日
多面的な対応で目詰まり解消へ 事業者の冷静な判断が正常化への鍵
中東危機を発端とする石油化学製品などの供給不安に対し経済産業省は上流での代替調達により年度内の供給にめどを立てた。しかし、現場では過剰発注の余波や複雑な商流による目詰まりが発生し、需要家への供給にミスマッチが起きている。潤滑油やシンナーの目詰まり解消への取り組みと今後の課題を聞いた。
原材料の充足と供給の目詰まり
経済産業省は、主に完成車・部品メーカー、中間財メーカー等と情報交換をしながら、各製品の供給状況の把握に努めている。同省自動車課の伊藤政道課長は「特に中東危機の当初、関連製品の入手不安から、たとえば前年の2~10倍といった過剰な発注が行われたとの話も聞く。この殺到が供給能力を超えると、供給の偏りや目詰まりを招くことになる」と述べる。
同省は現状、国内への石油やナフサの代替調達も進んでおり、日本全体で見れば急に枯渇することはないと、継続的にメッセージを発信している。
中東情勢に関する関係閣僚会議においても、赤澤亮正経済産業大臣から発言があった通り、代替調達の進展によって原油・石油製品について年度内の供給にもめどが立っている。現在の供給問題における直下の課題は、供給プロセスの「目詰まり」の解消だ。
潤滑油・シンナーの安定供給に向けて
潤滑油について、伊藤課長は「全体量としては足りているが、特定の品番については今は在庫がない、というミスマッチも多く発生しているものと思う。メーカー側としても代替調達や切り替えが可能か検証していると聞く」と明かす。
メーカーへの原材料供給量は確保できていると発信しつつも、エンドユーザーからは「入荷できない」、「発注を制限されている」といった個別の相談が同省に寄せられている。
そうした一つひとつの相談に対し、同省では供給元へとさかのぼって連絡を取り状況を確認するという地道な取り組みを続けている。「これは今我々が最も力を入れなければならない責務でもある」。
さらに、4月9日より資源エネルギー庁が先行して燃料の直接販売スキームを新設したのを皮切りに、潤滑油に対しても6月10日より、元売りなどの主要メーカーからの直接販売スキームを開始(→特集④)。すべての業種を対象とし、事業継続に必要な量を確保できるよう着実に潤滑油を供給。調達不安の解消を進める。
そしてシンナーについても、マクロ視点では足りているものの、介在する商社が多く、それだけ目詰まりの可能性が高いという。素材産業課の松原匠課長補佐は、「相談件数はピーク時より減少。供給量が安定に近づいていることから在庫を過剰に保持する企業は減少していくと期待」と話す。
シンナーの目詰まり解消対策として、メーカーからの要請に応じて最大例年の1.8 倍の大幅な供給拡大を可能とする仕組みの申請受け付けを開始。また、川中・川下の各段階で目詰まり・偏り解消などの取り組みを進めている団体名・企業名を同省Webサイトで公表、今まで以上に情報発信に努める。
「需要逼迫による価格上昇も一定程度抑制されると期待する。より需要家に届けるための仕組みづくりを検討していく」。
冷静な判断が供給正常化へ結び付く
各上流からの供給という意味では、平年と同程度の量はすでに確保され、供給が進みつつある。ここで過剰に確保するような行動に出てしまうと、それ自体が新たな目詰まりを生んでしまう。かつてのオイルショックや、コロナ禍初期のマスク不足と同じ構図だ。
「マクロの量は足りているという事実をご理解いただき、今後も落ち着いて対応してほしい。それでも
なお困っているという声があれば、ぜひ我々に届けてほしい。供給要請・情報提供のプラットフォームや、対応チームを用意しており、一つひとつの声に、ていねいに対応していく所存である」。
※経済産業省・中東情勢関連対策ワンストップポータル → https://www.meti.go.jp/chuto_josei/index.html
※供給要請・情報提供窓口 → https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/energysecurity/index.html
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