旭産業 代表取締役社長 石田明義 氏
エアゲージの業界標準ともいえる、「ゲージボタル」でおなじみの旭産業(石田明義社長、本社=東京都大田区)が2026年4月、創業から80周年を迎えた。
戦後の復興から、世界に類を見ない高度経済成長を支えたモータリゼーションの足元を常に照らしてきた同社。その歩みを回顧するとともに、創業80周年を記念する様々な企画、そしてタイヤ整備の現状と展望について、石田明義社長に話しをうかがった。
限定80台!高級感際立つ「80thゲージボタル」
――旭産業が創業80周年を迎えた感想は?
旭産業の創業者である仁多見一は、友人を自動車事故で亡くしたことで、自動車の安全に寄与したいと考え、エアゲージの製造を始めた。まずはアメリカで棒状のエアゲージを購入し、それを手本に第一号機を開発した。この創業者の思いが、旭産業が掲げる「安全」のものづくりの原点となっている。
その後のモータリゼーションの発展により、エアゲージの車載が規定され、自動車メーカーに納めるようになった。また、エアゲージばかりでなく、様々なものづくりにもチャレンジするとともに、世界40ヵ国に製品を輸出してきた歴史もあり、先輩方のチャレンジ精神には感服している。
――80周年を迎えて様々な企画が進んでいる
当社では創業80周年を記念してアニバーサリー企画を行っている。そのうちの一つに旭産業の歴史を振り返るAnniversaryページをWebサイト上に開設した。1946年(昭和21年)の創業以来、連綿と続くものづくりの歴史をカタログから紐解いて公開している。
実はこれまで、旭産業の歴史についての記録がなく、今回のAnniversaryページでは、カタログの整理から始め、製品の系譜を辿った。ゲージボタルがどのように開発されていったかも踏まえて、ぜひ皆様にご覧いただきたい。
――「80thゲージボタル」が話題を呼んでいる
80周年の記念企画は若い社員が率先して集まって、アイデアを出してくれた。その中で、「記念の何かを作りましょう」という声が出て、記念製品の企画がスタートした。そのうち、「スペシャルゲージを作ろう」となり、今回の「80thゲージボタル」に決定した。
当社ができる最高のゲージを作ることを目標に据えて、開発をスタート。特にこだわったのが目盛盤で、四層のレイヤーで立体感を出した。社員は通常業務の合間を縫って部品など一つひとつを造りこんでいき、目盛盤は手作業のハンドメイドとなっている。
「80thゲージボタル」は80周年にちなみ、80台限定とした。通信販売サイトの「ゲージボタルねっと」にて、9月30日まで二次締め切りを受け付けている。製品の詳細などは、「ゲージボタルねっと」をご覧いただきたい。
この他、80周年記念グッズは「80thマフラータオル」も限定にて販売中。ゲージボタルがあしらわれたクールなデザインで、こちらも要注目アイテムとなっている。
正しい測定は、適正かつ定期的な較正から
――整備の現場で感じていることは?
エアゲージへの理解は深まってきたが、いまだ測定器として適切に取り扱われていないケースもあるように感じている。乱暴に取り扱うと、測定値に誤差が生じてしまう。エアゲージも検査機器と同様に適切な取り扱いが重要だ。
――貴社は較正の啓発を常に行ってきた
1年に1度の較正を推奨している。しっかりと品質管理を行う整備事業者は定期的に較正を行っていただいている。推奨する適切な使用であれば、たとえばゲージボタルのケースだと、平均で3年間は問題なく使用できるが、3年を超えると怪しくなってくる。1年、ないし2年での較正は行っていただきたい。
もう一つ、エアゲージ精度チェッカーによる精度管理も当社は推奨している。たとえば、ディーラーのサービス工場のように、多店舗展開を行うケースで有効だ。このチェッカーを使用すれば、自社でエアゲージの精度チェックができるため、精度誤差があれば修理に出すことができ、効率的な管理が行える。ディーラーをはじめ、多店舗展開で多くのエアゲージを保有する整備事業者にメリットがある。
また、精度チェックの機器としては廉価版のデジタル・イージー・マスターゲージというツールもあり、今秋にはさらに求めやすい機種の発売も予定している。
――運転支援装置などADASの整備で空気圧への関心が高まってきた
エイミング作業時は車両の空気圧が適切であることが前提となっている。検査機器と同様に、エアゲージのチェックが現場で盛んに言われるようになった。このため近年は車体整備でもエアゲージをしっかり保有する流れが定着した。
タイヤ溝を正確に効率的に測定するタイヤ溝ゲージ
――昨年はタイヤ溝ゲージを発売した
4本分のタイヤの残溝データを1画面で表示するタイヤ溝ゲージ(TDG-415U)は一定の評価をいただいた。これまでは手の甲やメモ用紙にメモしていたタイヤの溝測定数値だが、この機器は4本の数値が表示されるため、記録ミスの低減と点検時間の短縮を図ることができる。
また、USBを内蔵しているため、記録データをCSVで出力することも可能であるとともに、一部のスキャンツールでは、整備記録簿へのデータ反映にも対応する。
――今後に向けた製品開発の展望は?
近年、デジタル化が進んでいるが、表示をデジタル化するだけでは真のDXではないと考えている。当社が考えているDXはデジタルで高精度を追求するとともに、作業性を向上し、ミスを低減する、製品開発を進めている。これからも自動車の安全を第一に、自動車整備業界に貢献したい。
旭産業(本社=東京都大田区)
タイヤの空気圧管理を中心とするエアゲージ専門メーカー。1946年4月の創業以来、2026年で創業80年を迎えた。まさに国内のモータリゼーションを足元から見つめ続けてきた自動車整備機器メーカーである。
同社の主力製品「ゲージボタル」はエアゲージのスタンダードモデルであり、ロングセラーモデルとして、国内外のメカニックに愛用されている。





