当社が2025年11月に実施した提携整備工場へのアンケートでは、設備投資に前向きな工場の割合はわずか25%。残り75%の工場が「現時点で、設備投資を検討していない」と回答しました。しかし、設備は年々老朽化します。人手不足が続く今、作業効率を上げるには設備投資が欠かせません。
工場の機能価値を維持・向上するには、常に設備投資の可能性を探る必要があります。ある工場経営者は、「整備工場のキャパシティーは、まず人。次に駐車場・工場の広さ。そして設備で決まる」と話されます。「人」の増員が難しい現代、「設備」の重要性は増しています。
とはいえ、設備の導入や入れ替えには大きな出費を伴います。そのため、財務状況を見極めながら、設備の状態に加えて、簿価や減価償却費も考慮した計画的な投資が必要です。さらに、合わせて検討したいのが、国や自治体の補助金活用です。同アンケートでは、52%の工場が「これまでに補助金を活用したことがない」と回答しました。その理由の多くは、「時間がかかる」、「面倒くさい」、「何に使えるか分からない」でした。
補助金を活用しようとすると、緻密な事業計画の策定、膨大な書類の準備、難解な申請手順との格闘、厳しい審査、数年間の事業実施報告、従業員の賃上げなど、乗り越えるハードルはいくつもあります。しかし、そのハードルを乗り越えると、「無理だ」と諦めかけていた設備やシステムの導入が、「実現できるかもしれない」に変化し、目の前の景色が一変することがあります。
現在の整備業界を見渡すと、「仕事がない」ことはなく、むしろ「仕事は潤沢にあるのに、儲からない」状況が少なくありません。「この設備があれば効率化できる」、「これがあれば整備士がもっと楽になる」といった設備やシステムがあるのに、その導入を妨げる要因が「資金」であるのなら、補助金の活用も視野に入れてはいかがでしょうか?
それにより、工場の機能価値が向上し、顧客にも従業員にも喜ばれる環境が整うならば、補助金申請のハードルも乗り越えられるのではないでしょうか?

(筆者プロフィール)
田中伸朗 株式会社ナルネットコミュニケーションズ
自動車ディーラーで整備士・フロント業務を経験。その後、整備士教育や現場改善研修を中心に活動。2021年にナルネットコミュニケーションズに参画し、Webメディア「モビノワ」を立ち上げ。整備工場への情報提供や補助金支援を通じて整備業界の活性化に取り組んでいる。